わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL0422-22-1232


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

ミチーガ

アトピー性皮膚炎の全身療法を実行中の方が転院するときに気をつけること

デュピクセントを始めとする次世代型アトピー性皮膚炎の治療が開始されて4年目に入りました。

オルミエント、リンヴォック、サイバインコ、ミチーガと薬の種類も増え、使用中の患者さんも増えてきています。

それに伴い進学転居などの社会的変化に伴い転院されるかたも増えてきました。
その方にはもちろん転居先で治療を継続するようにお話をし、紹介状を記載しています。

紹介状にはいくつか記入が必要な事項もあるのですが、紹介状にそれが抜けていることを経験したために今回記事にします。

いや、だってこれが書いていないとおくすりを処方できないんですもの。

 

アトピー性皮膚炎の治療薬は非常に高価です。窓口で支払う金額でも十分に高価なのですが、それ以外の7割(から9割)の金額は実は保険者から出ています。

そのお金はもとをたどると毎月給与から引かれている保険料および税金となっています。

医療機関は毎月保険者にレセプトという名前の書類を提出し、その金額を請求することになっているのですが、そのレセプトには必ずいくつかの事項を記載しなければなりません。

特にアトピー性皮膚炎の場合には上記の写真にあるIGA、EASI、BSAというデータを記載する必要があり、そのデータがある数字以上でないと処方できないルールになっております。

で、問題になるのが治療中に転院した場合。調子が良くなって転院すると、転院先の病院でとった数字ではクリアできなくなる可能性があるんです。

この数字は患者さんがある時点でクリアしていることが証明できればいいので、一番合理的なのが全身治療を行う前の調子が悪い段階でのデータを使用することなんです。

なので、転院前の病院が持っているそのデータが一番大事なのですが、その数字が書いていない。となると転院先の病院は途方にくれてしまうのです。

もちろん、一番悪いときのデータを見ることでもともとその患者さんがどのくらい重症なアトピーだったのか、ひいてはどれだけしっかりと治療を行うべきなのかを知ることも大事なのですが。

 

なので、転院前の病院にお願いです。このIGA、EASI、BSAのデータはかならず紹介状に記載してください。処方薬のデータは患者さんのお薬手帳を見ればある程度確認できるのですが、この3点だけは紹介状に記載が無いと全く判断ができません。

あとは患者さんも可能であればこの3つの数字は教えてもらってお薬手帳などにメモしておくと良いかもしれません。実際に起こりうる話ですが、洪水で・地震でクリニックのデータが全部なくなってしまうことも理論的にはありますから。しっかりと自己防衛することも大事ですよね。

 

転居するときには紹介状をしっかりと書いてもらいましょうね。

 

 

(かゆくて)眠れぬ夜にミチーガを(2022年11月)

今回はかゆみのお話です。

痒いって何でしょうね?と言われて、どこからどのように来て痒みが起きるのかの原因を語ることってまだできないんですよね。と考えることが最近多々あります。

神経が関与しているよね。うん、そこはわかる。ではその中で何が起きているのか?そこがわからないんです。

ただ言えることはかゆみが辛いということ。時には人生を狂わせるということ。

 

湿疹があれば痒くなるのですが、どうもそのレベルには個人個人の差がものすごい大きな印象を受けます。

傍から見て面積がそこまで広くないのにとても強いかゆみを感じる人がいれば、広範囲に湿疹があるのにケロリとしている人もいる。

そしてその違いは外からは見えない。それぞれの人のかゆみは比べてみると湿疹の面積や強さに比例しているのか?もわからない。

なにせ、個人の間隔なので。

というところで全部判断が止まってしまうんですよね。客観的な評価が未だにできないと言い換えてもいいかもしれません。

 

ミチーガというおくすりがあります。こちらはアトピー性皮膚炎に使用可能な注射でかゆみを取ることができるという薬です。

いままで数名の方に使用しておりますが、全員にかゆみの効果がありました。それこそ注射したその日から痒みがゼロになるというレベルのお話です。

もちろん湿疹も徐々に減少していますね。

 

かゆみだけをピンポイントで抑えるおくすりができて初めて疑問に思ったこと。

痒みが先?湿疹が先?

今までは湿疹があるから痒いんだと思っていました。でもそうじゃないのかもしれません。痒いから引っ掻いて湿疹を作っているのではないか?

などということも考えるようになっています。

 

…なんかとっちらかった文章になっていますね。まだ頭の中でもはっきりとした物が出ていないのでそれが文章に出ているんでしょう。

でも、かゆみって何でしょうね?湿疹ってなんでしょうね?

痒くないけど悩みで眠れなくなりそうです。

 

 

ミチーガの効果が非常に高いと感じたお話(2022年10月)

今年の8月から使用可能になったアトピー性皮膚炎の新規治療薬ミチーガですが、

当院でも数名に治療を開始しております。

今回はその結果についてお話をしていきましょう。

 

まずはミチーガの立ち位置についてです。

現在アトピー性皮膚炎の治療薬は

・デュピクセント、ミチーガ(注射)

・オルミエント、リンヴォック、サイバインコ(内服)

とありますが、ミチーガはその最後発となる注射剤です。

 

特徴としては他の薬剤よりも軽症のアトピー患者さんにも治療可能であること

(EASIという重症度スコアが10以上。他の薬剤は16以上必要です)

治療間隔は4週間とデュピクセントよりも長いこと。

が挙げられます。

また、内服薬のような感染症のリスクが無いこともメリットと言えるでしょう。

 

ただ欠点もあります。

炎症そのものを抑える他の薬剤と異なり、かゆみだけを抑える薬剤であること。

結果として湿疹がなかなか落ち着かない可能性があります。

また、治験の結果は他の薬剤に一段落ちる状況でした。

その部分が使用するまでは少し心配ではあったんですよね・・・

 

そこで注射可能なEASI10から16以上の患者さんには上記のお話をした上で

治療を希望されるか確認しました。

以前よりかゆみに悩まされていた方でしたので一も二もなく承知。

そのお話を確認したあとに治療開始しました。

 

治療結果です。

結構よいですね。想定以上です。

というのが私の感想です。

 

皆さん、調子良くなっています。

かゆみを抑えるだけでもそれだけ湿疹を抑えることになるんですね。

というのが正直な印象です。

 

症状の改善もそうなのですが、それよりも患者さん本人の感触がより高く

こちらがびっくりするくらいの強さでした。

皆さん、激推ししています。

 

治療効果の低さというデータの問題がありますが、どうもそのくらいの差であれば

実際に問題にはならないようです。

というよりもいずれもデータの数字が良すぎるので比較できないというのがあるのかもしれません。

 

ミチーガ、積極的に治療を勧めていきたいものです。

アトピー性皮膚炎の全身治療を希望の方で「デュピクセントを使うには少し症状は弱いねえ」

と言われた方がもしもおりましたら一度ミチーガについて相談してみてはいかがでしょうか?

当院でも積極的に治療を行っていますよ。

アトピー性皮膚炎内服治療薬の比較(2022年8月版)

アトピー性皮膚炎内服・注射薬の比較2022年8月版

アトピー性皮膚炎内服・注射薬の比較2022年8月版

 

先のブログに記載のとおり、8月から新規アトピー性皮膚炎の注射剤が開始になりました。

種類も増え、それぞれの特徴も出てきましたので簡単にまとめてみました。

院内で患者さんに配布用の資料ですので、一部文面を省略している部分もあります。

興味のある方はそれぞれのメーカーのWebを見て情報を入手してみてください。

また、当院では外来にて随時相談を行っております。

治療を希望される方は一度外来を受診の上、治療法を検討してみてはいかがでしょうか?

アトピー性皮膚炎の治療選択肢が増えます(2022年8月)

2022年8月8日、アトピー性皮膚炎の治療選択肢がまた一つ増えることになりました。

それに伴い対応患者さんも増えることになります。

 

8月より使用開始になる薬剤は「ミチーガ」といいます。

この薬の一番の特徴はかゆみそのものを抑えること。

湿疹を抑えるのではないというのがポイントです。

またもう一つのメリットは対応患者さんの幅が広がったこと。

かゆみ止めを飲んでもステロイドなどの塗り薬を塗っても効果がないことという

条件付きですが、使用できる湿疹の範囲や強さが

EASI16から10まで緩和されています。

今まで症状は強くないのでダメと言われていた患者さんでも使用可能になったわけですね。

(EASIとは全身の湿疹の強さをいくつかの症状・部位別に分けてスコアを算出し、

全身の強さを表したものです。)

 

しかし問題も無いわけではなく・・・

かゆみを止める薬ですので、湿疹を直接止めるわけではありません。

今までの内服・注射薬に比べて治療効果は少し落ちるというデータがあります。

したがって現在内服・注射薬を使っている人に取ってはメリットはあまりないかもしれません。

また現状ではお家に持ち帰り、自分で注射ができないので通院を続ける必要があります。

(といっても月1回のペースですが)

 

ある程度の欠点は見られますが、完璧なおくすりなど存在しません。

少なくとも今まで使えなかった人に効果の高い薬が届くというその1点だけでも

有効な薬剤ではないかと考えています。

 

すでに当院では使用を決定しておりますし、治療開始を希望する患者さんもおられます。

当日すぐに注射を行うことは難しいですが、数日で薬剤は準備可能な状態になっています。

もしも治療を希望されてる方がおりましたら一度外来でご相談くださいね。