わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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夏の病気

光と熱が分離する

不思議な事が起きているように見えました。

連続して白熱電球に触ってやけどをした子がきたんですね。

それも、それなりの年令になっている子どもたちです。

何でだろう。

といろいろと考えていました。

我が家の娘の行動も踏まえて考えていた時に、

思ったことが有るんです。

 

今の子たちはきっと、「光=熱」では無いんだろう。

と思ってしまったんですね。

 

古来、光とは熱でありました。

洞窟の中に住んでいた頃から、光を取るには熱が伴いました。

焚き火から始まり、灯籠やカンテラ、ろうそくなど、様々な明かりがありましたが、

それはいずれも火焔を伴うもの。つまり熱を伴うものでした。

少し前までの日本の家屋も同様に光=熱の図式が伴います。

しかし、第二次世界大戦後にその図式に変化が出てきました。

蛍光灯の登場です。

蛍光灯は、電子の流れと衝突からの放射光がその原理です。

この時、初めて熱=光の図式が崩れました。

でも、まだ蛍光灯は熱かったんですけどね。

 

そして、最新のLEDの登場です。

消費電力が蛍光灯よりも遥かに低いこの発光体は逆に言うと熱となるエネルギーも少ないということ。

したがって、消費エネルギーと発光体の温度が一気に変わりました。

エネルギー消費に比べて発光体の温度が特に低くなったのです。

流石に室内を照らすものでは温度がそれなりなりますが、白熱電球よりも遥かに低くなったのも事実です。

 

そして、その生活に慣れた日本の子どもたち。

そうなんです。明るいものは熱いものという刷り込みは徐々に薄れてきたんですね。

室内でLED、蛍光灯のみの環境に慣れた子達は、旅行先の白熱電球に物怖じせずに触ってしまう。

何ていうこともあるかもしれませんね。

 

世の中の変化に伴い、病気の内容も変化していくものなんです。

というお話でした。

 

子どもの手湿疹は梅雨のうちに治す

いままで、子どもたちの手の湿疹は、春から秋まで一本調子に悪くって、

冬に一気に治すものだというふうに思っていました。

でも、どうも違うんじゃないか?と最近思う用になってきたのです。

 

手湿疹が悪化するのはなぜか?

子どもたちの場合、多くは砂遊びです。

砂に触っていれば荒れる。

なので、夏に悪化、冬に改善のパターンを取るのですが、

夏は夏でも今の梅雨の時期は結構みんな良くなっているんですね・

 

まあ、そうですよね。

雨が降れば砂遊びはしませんからね。

というわけで、多分梅雨の時期の子どもたちの手荒れは良くなっている。

のでしょうね。

きっと。

 

さあ、今のうちに手荒れを直して夏休みに一杯遊ぶことにしましょうか!

0歳児の虫刺されは点ではじまる

虫刺されですね。

でも、0歳児の赤ちゃんの虫刺されはこんなふうには出ませんから。

 

0歳の赤ちゃんの虫刺されは「点」だけです。

大きさも数ミリ程度。

そして、それが拡大することはほとんどなく、落ち着く時はそのまま落ち着いてしまいます。

また。痒みが出ることも有りません。

もう一つの特徴は刺された日には出ないこと。

半日後から翌日くらいに出てくるんですね。

 

なので、お母さんは気が付かないんですね。

実際に診察の時にそのようにお話をするとびっくりするお母さんが多くいるんですよ。

 

知らなかった?というお母さんも多数。

そうなんです。赤ちゃんの虫刺されは年齢によって出きかたが異なるのが特徴なのです。

 

赤ちゃんの虫刺され、刺されていないのではなくて、見逃しているだけだったりして。

 

質問:高齢になっても虫刺されで水ぶくれになることはありますか?

さて、今回の質問です。

中年の方ですね。虫に刺された後に水ぶくれになる。

徐々に症状がつよくなっているようだが、原因はあるのでしょうか?

という内容です。

 

まず、簡単に回答を述べましょう。

「起こりえます」

です。

 

では、解説を。

虫刺されの反応はなぜおきるでしょうか?

虫の注入した毒や唾液成分に対するアレルギー反応が起きるからです。

 

なので、アレルギーの強さには虫側の要因と人体側の要因があります。

 

まず、虫の要因。

これは虫の種類ですね。

まず、水ぶくれを作るような虫に触れば水ぶくれができます。

マメハンミョウやツチハンミョウなどが有名でしょうか?

カンタリジンというタンパク質が毒になり、皮膚を溶かします。

あとは、ネコノミなど、水ぶくれを作りやすい虫もありますね。

こちらは化学的な問題というよりもアレルギーの問題です。

 

次に人側の要因。

アレルギー反応が強くなるような要因があれば、

反応が強くなり、水ぶくれが起きることがあります。

アレルギー反応にも実は色々ありまして、

まず全身の反応のしやすさがあります。

これは一つは遺伝によるもの、もう一つは体調によるもの。

ストレスがかかっているときや何らかの感染症があるときなどは、

アレルギー反応は強く出ることがありますね。

もう一つは、経験値によるもの。

 

経験値は虫ごとにカウントされます。

つまり、ある種類の虫にたくさん刺されると、徐々に反応が弱くなると

言うことですね。

でも、気をつけたいのは虫の種類はものすごくたくさんあり、

そのために経験値はそれぞれ、膨大な数に上ります。

そして、その虫の種類の違いはこちらでは認識していないことも

多々あるんですね。

だから、同じ「蚊」に刺されているつもりでも、実際のところ

別の種類であり、その違いを想定していないがゆえに

思った以上に反応しているということもあります。

これは、引っ越しや転居の後に虫刺されの症状が年齢相応よりも

遥かに強く出ることから十分に考えられます。

 

なので、このような要因が関係し合い、

年齢よりも遥かに強くアレルギーの反応が出ることがあるのです。

 

まあ、そう判断するのは難しいんですけどね。

 

回答は以上になります。

参考になりましたでしょうか?

お役に立てればうれしいですね。

 

 

 

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ステロイド外用薬に日焼け止めの効果はありません

 

そんな話をしている先生がいるとかいないとか?

それは誤解じゃないんですかね。

 

日やけによる影響は短期的なものと長期的なものに分けることができます。

短期的なものは、炎症。

長期的なものは、光によるDNA損傷と、光による組織変化(光老化というものですね)

に分けることができます。

 

ステロイド外用薬で抑えることができるのは前者のみですってば。

 

たしかに、炎症はステロイド外用薬で抑えることができます。

なので、日に焼けたあとに赤くなってヒリヒリしてきたり水ぶくれになったときは

皮膚科に来て、ステロイドを処方されれば良くなりますよ。

 

でも、DNA損傷と、光老化はステロイド外用薬を持ってしても

抑えることはできないのです。

だから、紫外線を抑えたいのであれば、日焼け止めをしっかりと塗ることが必要になるのです。

質問:2年前の虫刺されの影響は続きますか?

今回も当ブログに寄せられたお話からです。

まず、簡単に話をまとめてみます。

 

 

Q:もともとアトピーっけがある子。

2年前にブヨにいっぱい刺されました。

その後手足にぶつぶつができて、なかなか治りません。

他のところも痒くなってきました。

そんなこと、ありますか?

また、治療している先生には、虫さされから来ていることを言った方がいいですか?

 

 

A:あります。

数年間続くこともあります。

 

さて、詳しく見ていきましょう。

虫刺されの中でもブヨはちと特殊です。

アレルギーの反応は強く、長く出る傾向があるんですね。

数年持続することもあります。

 

しかし、この数年、虫だけでありません。

虫刺されからのアレルギー反応が起きている事自体が

更にアレルギー反応を引き起こすという悪循環になっていることがあります。

もともと。アトピー傾向があるということは、

他の人よりもアレルギーの反応が強めに出る子ということでもあります。

したがって、この反応は悪化しやすい傾向にあります。

このように虫刺されのアレルギー反応は強くなりすぎてしまった状態を

「結節性痒疹」という病名で読んでいますが、

最初は虫さされからこの結節性痒疹が起きることもままあります。

 

こうなると、治療は非常に難しく、いろいろな方法を組み合わせないと、

症状を抑えることが難しくなってしまいます。

だから、まず治療してくれる先生には虫刺されがきっかけであること、

そこから悪化したことをしっかりと話しをした方が、

その症状に併せて治療を行ってくれる一つのきっかけになるのではないかと考えれます。

 

結節性痒疹は何もしないでよくなるのにはとても長い時間がかかりますので、

早めに治療を開始した方が良いでしょうね。

質問:虫に刺されたことが無いのですか、そんなことありますか?

 

こうやってブログを書いていると、時に質問メールが飛び込んでくることがあります。

今回はその質問に答えてみることにしましょう。

 

さて、今回のメールは虫刺されのお話です。

虫に刺されたことが無いのだが、それって有るの?

というお話ですね。

では考えてみましょう。

 

虫に刺されたことがあるかないか?

それを証明することは困難です。

ただ、刺されにくい人がいるのは事実です。

 

どんな人か?

一言で言えば汗をかかない人ですね。

虫は汗に寄ってきます。

正確には汗の中に入っている様々な化学物質に対して

誘引されます。

なので、汗をかきにくい人にはよっていかない可能性は十分に考えられます。

実際に、汗のできにくい尋常性乾癬という病気の方には虫さされが少ないというデータがありますし、

先天的に汗をかかない、無痛無汗症、減汗性外胚葉形成不全症の子と話をしていても、

虫刺されの話を聞く事はありませんね。(統計データとしてはありませんが)

 

 

もう一つの可能性は、アレルギー反応そのものがなくなっている可能性。

これは二つに別れまして、

刺され慣れていない場合と、刺されすぎた場合の二つにわけられます。

最初の刺され慣れていない場合。

これは赤ちゃんですね。生後半年くらいまでの赤ちゃんは虫に刺されても全く反応は有りません。

しかし、年齢とともに大きな反応を起こすようになってくるのですが。

もう一つは高齢者。

何回の刺されると、そのうちに虫刺されではアレルギー反応は起こらなくなってきます。

なので、何も起きない。

 

となるわけです。

 

「虫に刺されたことがない」人はいくつかのパターンに分けることができました。

さて、皆さんの周りにはそんな人、いませんか?

 

男性の日焼け止め、胸にもしっかりと塗って下さい。

むう、ぬかったわぁ。

というわけではありませんが、週末に思いっきり日焼けをしてしまいました。

 

頭部は帽子でカバー。首も帽子から垂れる首覆いでカバーしました。

旧日本兵とバカにされましたが・・・

(Amazonで買えるのね・・・びっくりですが)

ちなみに購入したのはこっちです。

 

いやあ、しっかりと日焼けどめを塗っていたのですが、

胸元は盲点でした。

 

考えてみたら、世の中で出回っている日焼けどめを使うべき部位の絵ですが、

女性対応なんですね。

女性は胸元が大きく開く状態では外には出ませんものね。

 

というわけで、男性の方は胸までしっかりと日焼け止めを塗りましょうね。

 

松山英樹選手、リオ辞退。 虫刺されなら仕方ないのでは? その2:治療編

今回は前回に引き続き、虫刺されのお話です。

治療のお話ですね。

 

さて、虫刺されが強いなら治療をすればいいじゃないか。

というお話になったかと思いますが、

これも一筋縄ではいかないようです。

キーワードはドーピングです。

 

虫刺されの治療ですが、市販薬があるよね。と思った方。

実は市販薬は効果は低いです。

パンパンに腫れた虫刺されにはほとんど効果有りません。

 

病院では虫刺されに使用する薬剤は副腎皮質ステロイドです。

こちらは非常に良く効く薬です。

数日から長くても12週間の治療ですので、副作用の心配も特にありません。

一般の方でしたら。

スポーツマンに使う際もあまり心配のない薬剤とされています。

一般的なスポーツでしたら。

 

ただ、この薬、内服はドーピングに当たるために使用できません。

実際に、外来で処方する際に使わないでと釘を刺されたこともあります。

外用はOKなんです。血液には入らないために。

でも、たとえ外用であったとしても面積が広かったり、強い薬をガンガン使うと、

血液に入る可能性が出てしまいます。

そして、その境界線は読めません。

少量であればOKというのはそういうことなんです。

 

だから、読めない。

だったら、リスクを考えて使わない。

と考えるのもまた当然です。

 

では、ステロイド以外で抑えることができるのか?

正直厳しいです。

 

もう一つの治療法は抗アレルギー薬の内服です。

でも、こちらも問題あり。

 

と言うのは副作用で眠くなったりふらついたりすることも有るのです。

そして、炎症の抑制効果はステロイドの比べると弱いものです。

精密さ、集中を要する作業は多くの抗アレルギー薬では注意が必要と

説明書でも記載されているくらいですから

どうも、プロスポーツとは相性が悪いのです。

 

 

したがって、虫刺されの治療一つでも

プロスポーツの場合は一般的な方とは選択肢が変わってしまうわけなんですね。

 

いやあ、世界を股にかけて活躍するのも大変なんですねえ。

 

松山英樹選手、リオ辞退。 虫刺されなら仕方ないのでは? その1:症状編

すみません。ゴルフはやりません。

でも、今回のニュースに関してはゴルフをやっている人からの記事は沢山有るのですが、

虫刺されという観点からの記事がなかったので、書いてみました。

特にゴルフの知識での間違いについてはコメント欄で指摘していただければ幸いです。

 

簡単にまとめましょう。

ゴルフの松山英樹選手が今年の夏に行われるリオのオリンピックを辞退したとのこと。

理由としてはジカ熱の問題もありますが、もう一つ。

「虫刺されのアレルギーが強く出る」からというのが挙げられているようです。

 

では、皮膚科医の立場から少し見ていきましょう。

 

虫刺されの反応が強く出るとありますが、これにはいくつかの条件があります。

1)年齢

2)刺された虫の種類

3)刺された回数

の3点で決まります。後は体質も有るかもしれませんが、

こちらに付いてははっきりとはしませんのでおいておきましょう。

 

まず年齢です。

松山選手は現在24歳。若いですね。

しかし、若いということはアレルギーの反応が活発であるということでもあります。

勿論、アトピーや喘息などの何らかのアレルギー疾患の既往があれば

更にアレルギー反応が強く有ることも十分に考えられます。

したがって、年齢要因も無視できるものではありません。

 

次に刺された虫の種類です。

こちらは、全て細かく別れることに注意が必要です。

つまり、蚊は「蚊」に刺されたという種類ではなく、

「ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)」か「イエ蚊(アカイエカ)」か?というレベルの違いでもありますし、

どうも、更に地域ごとの微妙な蚊の種類の違いも判断しているみたいなんですね。

つまり関東のヤブ蚊と東北のヤブ蚊の違いも体は別個のものとして判断している印象を受けるのです。

 

最後に回数ですね。

それぞれの種類により、反応が異なることは前項でかいたとおりです。

そして反応の強さは回数によって決まるものなのです。

つまり、初回は強い反応。

そして回数を重ねる毎に反応は弱くなるわけです。

(詳しく書くともう少し異なるのですが。過去の記事を参考にしてください)

 

これらの要因を総合的に考えると

「若い人が、初めて行った外国で虫に刺された場合は、

非常に反応が強く出てしまう」

という問題が発生するわけです。

 

松山選手はアメリカであれば何度も行っているでしょうし、

何回も虫に刺されているでしょう。

でも、南米であればそんなに旅行している回数も多くは無いと考えられます。

大きな大会が有るという話も聞きませんし。(情報求む!)

 

つまり、ブラジルに行った場合、単なる虫刺されでも

大きな問題になてしまう可能性は十分に考えられるのです。

 

え、治療すればいい?

いえいえ、そう簡単にはいかなさそうですよ。

 

次は治療について考えて見ましょう。