わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

病気

あざとは一体なにか?

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あざとは一体何か?

 

簡単なようでいて、なかなか難しい質問です。

というのも、あざの種類はたくさんあり、一言では言い表せないのです。

色でそれぞれ分類してみましょうか。

 

1)くろあざ

生まれた時から有るほくろが相当します。

ホクロはお母さんの体の中にいる時に皮膚に向かって「お引越し」をするのですが、

その時に異常に増殖しながら「お引っ越し」すると、その部分がくろあざになります。

逆に「お引越し」に失敗したものが

2)しろあざ

になると考えられます。

3)ちゃあざ

こちらは原因はよくわかっていません。

先ほどのくろあざとは異なり、ホクロの細胞の数は増えていないようですが、

色素の産生能力が高くなっているようです。

4)きあざ

黄色いのは皮脂のせいです。つまり、油の色。

これは脂腺と呼ばれる皮膚の一部が異常に増殖したものです。

こちらは皮膚ができる時に一緒にできますが、

その際に異常に増殖した物と考えられます。

5)青あざ

蒙古斑も含まれますね。

あおあざは色素のみ皮膚の中に存在している状態です。

ちゃあざやくろあざとはことなり、色素細胞には異常なところはありません。

ただ、色素がたまっているだけと考えていいでしょう。

6)あかあざ

あかあざは血管のトラブルでおきるあざです。

赤いのは血液の色ですが、問題は血管のほう。

普通の血管は寒くなると縮みますが、あかあざの血管は寒くなってもだらんとしています。

血管の問題なのか、その周囲の神経にも問題があるのか。わかっていません。

 

並べてみると、まあ、色々あります。

しかも、原因は多彩です。

このうえ、さらに皮膚にあざを伴う病気たちがありますので、

原因は非常に多くなります。

大きく分けても

・遺伝子や染色体の異常

・増殖の異常

・分布の異常

・機能の異常

など、多彩です。

 

これを一言でまとめろというのも土台無理な話で

厳密にいうと、もうしっちゃかめっちゃかです。

あちらをたてると例外が出てきてしまうので、どうしようもありません。

最終的には、

いままで「あざ」と呼ばれていたものが「あざ」なんだ

などど言われる始末です。

(いや、これ、偉い皮膚科の先生が言ったんですよ。本当に。)

匙を投げているようにしか思えませんが、

それだけ、まとめるのは難しいんでしょう、

 

あざについては、それぞれを見ていったほうがよさそうです。

よく見る「おでき」 粉瘤の診断と治療 その1診断編

今日の晩ご飯をたべるときに、台所から悲鳴が上がりました。

何事かと思って聞いてみると、汁物の中に胡椒を入れようと思ったら

蓋がはずれ、中の胡椒がどばどばとお椀の中に・・・

そんな漫画みたいなコト、あるんですねえ。

 

 

さて、今回はおできの話をしようと思います。

おできと言っても沢山の病気があるのですが、その中でも最も一般的な病気である、

粉瘤についてお話をしていきたいと思います。

まあ、類皮嚢腫やら奇形腫やら、似たような皮膚の腫瘍がいくつもあるのですが、

一番多いのは粉瘤ですね。

なお、ピノコは出来ませんので、あしからず。

(↑ネタ古い?)

 

 

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粉瘤というのは、皮膚の中に皮膚がめり込んでおきる病気です。

結構見られるもので、だれでも一つや2つありますね。

良くできるのは、耳、顔、首など。

もちろん全身にできますが、上半身に多いですね。

 

一般に大きさは普通は数ミリですが、大きいものでは10センチ以上のものもあります。

症状は以下のようになります。

 

1)一般の状態はおとなしいですね。

触ってみても、小さな丸いしこりを触れることもあるくらいです。

疲れた時や体調が悪い時にはしこりが少し大きくなり、痛みを生じることもあります。

 

2)しかし、時に腫れて、ばーんと大きくなることがあります。

大きさは数倍から十倍くらいになることもよくあります。

何もしなくても痛くなることもありますが、触るともっと痛くなります。

これは炎症で容量の増えた内容物が周囲の皮膚を圧迫し、神経を刺激するからと思われます。

 

多くの場合は1)、たまに2)の状態です。

2)の状態になっても、ふつうは1周間から2週間くらいで1)に戻ります。

ただし、何回も2)を繰り返すと、別の状態に移行することがあります。

(もちろんいきなり↓になることもありますが。)

 

2)’ たまに腫れが強くなると、「破裂」することがあります。

破裂するときは大きく腫れた時や、中心部に「へそ」(コメドといいます)がある時などです。

破裂すると、中から血と膿と脂と汗と垢の入り混じったくさーい内容物が溢れてきます。

内容物が出尽くしてしまうと、一般的には1)の状態に戻ります。

 

でも、一つ気をつけてほしいことがあるのですが、何度も破裂すると、そのうちに皮膚の下の内容物が

皮膚の下にバラバラに埋まってしまい、広い範囲に散らばってしまうのです。

 

最後に粉瘤についてよく質問されるのですが、悪性になる(癌になる)ことは普通はありません。

その部分が悪性になる可能性は皮膚から悪性の癌ができる可能性と同程度と考えられています。

まあ、100万分の1くらいでしょうか。

 

次は治療のお話です。

 

川崎病はムズカシイ

今日は武蔵野日赤で循環器の研修会がありました。

皮膚科医なのに、循環器の研修会に参加したのは今回のテーマが川崎病だったからです。

 

川崎病は、皮膚科の立場からすると診断の難しい病気です。

皮膚に出てくる症状は何でもありです。

紅斑、紫斑、水疱、膿疱などなどなど。

皮膚の症状をみて、川崎病か否か診断するのはまず無理なのです。

また、現在まで病因・病態が全くわからいのもより難しくしています。

現在の診断基準もあくまで症状を羅列したものですから、

そこに原因や理由があれば良いのですが、それすらもわからないことが多く、

本当に困ってしまいます。

 

しかし、現在は診断や治療については確固たるものが出てきました。

ガイドラインも出ていますので、治療法も決まってきたのでしょう。

(リンクを貼ろうとしたのですが、Google先生に怒られました。なんでも不正なページの可能性があるそうな。

検索は自己責任でお願いします。)

 

私が一番知りたかったのは原因についてです。

何らかの感染症が誘引と昔から言われてきましたが、現在その分野の研究がどこまで進んでいるのか知りたかったのです。

結論から言うと、原因となる細菌やウイルスの種類には確固たるものはないそうです。

むしろ、免疫反応の強さやクセがおもな原因と言われるようです。

(詳しくは、免疫反応の活性化に伴い高サイトカイン血症となり、全身のさまざまな症状が起きるのだが、

その反応の強さには遺伝子多型による差があり、ある幾つかの遺伝子型の保有により相対リスクが高くなる)

 

なので、ある種類の感染症が流行するとその地域から川崎病が出る可能性が高くなる。

しかし、別の種類の感染症ではそのようなことは起こらない。

また、双子でも同時に発症することはないが、時間差をおいて発症することがある。

などなど。

 

少しずつ頭の中もクリアになってくれるといいのですが、

まだ、難しいですね。

今後も勉強です。

ディオバンに対するある皮膚科医の見解

ディオバンの、論文の改ざん問題はなかなか落ち着かないようです。

 

まとめはさまざまなサイトで見ていただければ良いのですが、

ディオバンの医師主導治験で行われた、データ改ざんにより、

高血圧関連イベントが不正に低く見積もられたことが問題です。

 

皮膚科医として、ディオバンは今後処方する可能性は非常に低いのですが、

この件について何度かノバルティスさんからお話を伺うことが出来ました。

 

というのも、ディオバンに問題に関してはもちろん元社員とされる方に問題が有るのはもちろんですが、

ノバルティスさんが扱っている他の薬剤、特に自分が処方する可能性のある薬剤でも同様の問題が有るかが

知りたかったのです。

 

今回、ノバルティスさんから話を訊くことが出来たのは

その元社員の方は、ディオバン以外の試験には関わっていなかった

との情報のみでした。

ここで、あれあれとおもったので、詳しく話を聞きましたが、

皮膚科関連の薬剤で同様のデータ改ざんが行われたかについては資料がないそうです。

更に聞いてみると、まったく検討していない。

との返事が帰ってきました。

 

 

さて、ここで問題が浮かんできます。

まず、1つ目。

この元・社員という方は、まったく今まで同様の研究に携わることなく、いきなりディオバンの試験に関与し、

初めての研究で大きなデータの改竄に関与し、そのまま退職したのでしょうか。

他の業界では普通は小さな研究や試験に何度か参加しながら、徐々に大きな研究に関与するものでは無いでしょうか。

また、最初の研究でいきなりデータの改竄に関与するものでしょうか。

(心理学的には最初はより小さなことから始まるのでは無いでしょうか)

この方は、最初から研究開発部門にいたのか?営業部門から移ったのか?以前は他社にいたのか?

もしも他社にいたならどんな会社でどこでどんなことをしていたのか?

非常に心配になってしまいます。

なお、この件に関しては後日調べた結果を持ってくるとのことでした。

 

次に2つ目。

果たして他の薬剤は問題ないの?

という心配が出てきます。

このような事件が起きたということは、ノバルティスさんは他の製薬メーカーよりも

同様の事件が隠れている可能性は高いと考えてしまいます。

それを心配しているのですが、返事はまさかの「調べていない」でした。

統計的調査でもやってもらえると良いのですが、どうもその様子も無さそうです。

 

ここまで来ると、ノバルティスさんの姿勢にも疑問を感じてしまいます。

結局、「ディオバンの臨床試験問題」のみを解決することしか考えていないのではないかと疑念が生じてしまいます。

私は心配しているのは、「すべての薬の臨床試験そのものに」対しての疑いの目でみてしまう。

ということなのですが、あまり積極的にその問題に対処しているように見えないのです。

 

現在の薬剤というものは非常に複雑な試験の上に成り立っています。

今回は医師主導型治験という問題であり、ディオバンによる降圧作用そのものには問題はなかったのです。

しかし、国に認可申請するときにデータに意図的な変更が加えられていたら、それを指摘することは専門家でも難しいものです。

 

当然薬を飲んでいる一般の患者さんは、医師が勧めるからその薬をのむわけです。

今回、その医師が確認するデータが信頼の置けるものではないかもしれない

自分が飲んでいる薬が信頼の置けるものでは無いかもしれない

そのように思わせるに至ったところに大きな問題が含まれているのがわかってしまった。

 

また、問題が起きた時に製薬会社が自ら解決することができない。

ということもはっきりと見られてしまいました。

 

このことは今後大きな問題になっていくのでしょう。

何を信じていけば良いかわからない世界が来ているのかもしれません。

Believe no oneと言われるのは、ドラマの中だけで十分なのですが。

ブヨに刺されるとなかなか治らないのはなぜか?

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台風の季節となりました。当院は台風が直撃しない限りは診察しています。

また、雨の日は患者さんの数は少なめです。

ゆっくりと話しをしたいかたにはお勧めですが、小さい子はあまり外出すべきではないですよね

 

毎日、虫さされを診察していますが、数ある虫さされの中でも、ブヨに刺されたと話を聞いた時が一番緊張します。

これはなぜか?

実はよくわかっていません。

理由の一つは、ブヨは「刺す」のではなく「噛みちぎっている」からと言われています。

その分、皮膚表面のダメージが大きく、症状が激しくなるのではないかともされています。

もうひとつは出血です。といっても、血液の赤血球ではなく、問題は血小板。

あかくない「つゆ」がたらりとたれると、その血小板の中から炎症を悪化させる成分が出ると言われています。

そのために、ブヨに刺された傷が治りにくいとされています。

 

あとは、かさぶたの問題もあります。

このかさぶたも実は曲者。

特に小さな子はかさぶたを掻き壊してしまうのです。

すると、皮膚がえぐれ、より深い傷ができ、かさぶたになってしまう。

すると、また掻き壊してしまう・・・

この繰り返しで、深い潰瘍をつくってしまい、治った後が傷跡になってしまいます。

当然、先の血小板の問題も出てきます。

 

本当にひどいブヨの刺し傷は最終的には「結節性痒疹」になってしまいます。

この結節性痒疹は数年も続くことがあります。

この治療には手を焼くことがあります。

当院では、いくつかの方法を組み合わせて治療を行っていますので、

その治療法についてお話をしていきましょう。

 

往診の時に最初にするお話

少しずつ涼しくなってきました。

往診の時にはありがたいですね。

 

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さて、現在当院は数名の患者さんの往診を行っております。

疾患は様々ですが、褥瘡や湿疹などが多いです。

さて、この往診の時に最初に聞くようにしているお話があります。

それは何でしょうか?

 

 

そのお話は「(患者さんあるいは介助者が)ご飯をしっかりと食べていますか」というお話です。

玄関で介護者の方が迎えてくれるのですが、その時に世間話半分、診察に関係する話半分で聞いています。

そうすると、スムーズに現状の確認、問診に移ることが出来るのです。

 

そのお話をすると、なんで皮膚科で食事?と思われる方もいるかと思いますが、

食事の話は大事なのです。

 

往診の患者さんで多く見るのは床ずれ、褥瘡です。

褥瘡はやはり栄養状態が悪くなるとできやすく、治りにくくなることが知られています。

褥瘡は体の一部が死んでしまう病気ですから、治すのにタンパク質をはじめとする栄養分が必要なのです。

そのため、栄養状態の確認は非常に重要になるのです。

また、その他の病気についても栄養状態が良いことは治療を早めることになります。

逆に栄養状態が悪いと、全身にざまざまな問題をきたし、それが皮膚に影響することにもなります。

なので栄養状態の確認は非常に重要な話なのです。

 

また、介助者の食事の摂取状況も大事なお話です。

食事が十分にトレなければ十分に介助できません。介助は重労働なのです。

介助者が元気ないと、患者さんも元気がなくなります。

なので介助者の食事についても把握したほうがいいのです。

 

こうして往診は進められます。

小さな話が大きな治療のヒントになるのです。

すべてのクスリはリスクである。

以前聞いた話です。

或る先生が患者さんの診察をしてひとこと、薬は必要ありませんと言いました。

その患者さんはどうしてもクスリが欲しくて、先生に聞きました。「先生、薬を出してもらえませんか?」

その先生、薬がいらない理由を話して、最後に一言。

「クスリは逆から読むとリスクになります。すべてのクスリはリスクなのです」

今回の話を読んだ後、クスリと笑ってくれるといいのですが。

 

 

さて、医療機関には毎月医薬品安全情報という冊子が届きます。

ここ数週間の医薬品の説明書の改訂がすべて記載されているものです。

私達はその説明書を見ながら、副作用を把握するのですが、

最近多く見られるのが、「スティーブンス・ジョンソン症候群」と「中毒性皮膚壊死」の副作用追加です。

あの薬にもこの薬にも追加されています。

 

この2つの病気は薬のアレルギーにより起こされる症状です。

皮膚が死んでしまうのです。時には命を落とすころも有る怖い疾患です。

皮膚に出る病気ですので、ほとんど皮膚科で治療する病気なのですが、

重症で、数週間の入院が必要になり、時にはICUに入ることも有る病気です。

この症状は極端なことを言えば、どんな薬でも出る可能性があります。

(自分を構成しているタンパク質に対しては本来起きることのない反応ですが、

薬の主剤以外の添加剤でも起こる可能性はあるのです)

 

結構多いものは市販の風邪薬。多分飲む人が多いのでしょう。

当然、病院で処方された薬で発生することもあります。

極端な話、どんな薬でも出ます。

 

これら薬剤アレルギーを診察治療している中で一番やるせないのが、

「念の為に出しておきましょうね」の薬にアレルギー反応を起こしてしまった場合です。

「念の為に」の結果、数週間の入院と、時には一生続く後遺症に苦しめられるのです。

治療をしていて、気の毒になってしまいます。

また、売る側の問題も有るだろうと思わせることもありました。(これはまた今度。)

 

一つ覚えていて欲しいことは、どんな薬にも非常に低い確率でこのようなアレルギーは起こりうるということです。

クスリはリスクとなるのです。

 

なので、当院では必要最低限の飲み薬を出すようにしています。

必要以上に沢山の薬を処方する先生を見るたびに「無茶しやがって・・・」と思うのは、職業病なのでしょう。

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「大」やけどの治し方

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やけどの話、最後は大やけどについてです。

前の話にも書きましたが、大やけどと小やけどの区別は難しい物があります。

今回は入院が必要なやけどのお話だと思って下さい。

 

全身の数十%を超える大きなやけどの治療はとても大変です。

なぜか?ここまで大きなやけどになると、皮膚だけではなく、全身の問題になってしまうからなのです。

 

大きなやけどを受傷した場合、全身はショック状態になります。

この状態になってしまうと、血管から皮膚の下に全身の水分が移行してしまいます。

そうすると困るのは腎臓です。腎臓に流れる血液が減ると腎臓がおかしくなってしまうので、

腎臓からでるおしっこの量で治療を決めていく必要があります。

つまり、おしっこが出てこないと血液の量が少なく、危険というわけです。

そのために一生懸命水分を外から与えなければ行けません。

同様にタンパク質も血管から逃げ出してしまうので、輸血を一杯しなければいけないのです。

 

さて、そうしているうちに腎臓からおしっこが出てきました。

今度は皮膚の下の水分が一気に血管に戻ってきてしまいます。

こうなるとおしっこ、つまり腎臓の問題は落ち着いてくるのですが、今度は心臓と肺の問題が出てきます。

肺の中に水が溜まってきてしまうと呼吸がうまくいかなくなってしまうのです。

かといって、水を外から与えないと、やけどの皮膚から水が漏れてしまうので、水分が足りなくなってしまいます。

こうして、体の水分が多すぎても少なすぎてもいけないという、綱渡りの状態が続いていきます。

 

数日立ってくると、今度はバイキンの問題が出てきます。

死んだ皮膚をエサとして、バイキンが増殖してきます。

そのバイキンはそのままにしておくと血液を通して全身に広がっていきます。

そうなると大変なことになりますから抗生剤を使わなければいけません。

でも、今度はその抗生剤に抵抗力のあるバイキンが増えてくるので、抗生剤の種類を替えて・・・

とイタチごっこが始まります。

やけどから数日たったあとに急に調子が悪くなる場合があるのは、主にこのバイキンの問題が有るのです。

 

また、この頃からは皮膚の問題が出てきます。

多くは深い部分までやけどを追っていますので、その部分の皮膚はなくなります。

そうすると、他の場所から皮膚を持ってきて、移植してあげる必要があります。

同時に死んだ皮膚も取り除かないと、皮膚の移植は上手に進みません。

この手術も大変なものです。またそのためには麻酔をしなければいけませんが、

その麻酔の影響も当然考えなければいけません。

また、大量に出血しますので(皮膚を削り取るので仕方が無いのですが)

輸血も大量にする必要があります。

 

したがって、治療を続けるに当たり、元々の本人の体力も非常に重要なものとなります。

また、栄養失調になると、傷の治りにも影響するので、食事や栄養管理も大事になります。

 

大きなやけどの治療をするためにはこのようなポイントに気をつけながら、進めていく必要があるのです。

やけどのニュースを目にするたびに、本人と医療スタッフのがんばりに想いをはせるのです。

「子」やけどの治し方

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さて、今度は「子」やけどの治し方についてです。

・・・え、「小」の間違いでしょ?いえいえ、それは前回お話をしたので、

今回は子どものやけどについてお話をしたいと思います。

 

子どものやけどと大人のやけどそのものには大きな違いはありません。

でも、子どもには独特なところがあります。

 

まず、こちらのいうことを聞いてくれないこと。

親御さんはいうことを聞いてくれるのですが、肝心の本人は

やけどのそんざいなど、どこ吹く風です。

したがって、どんな生活習慣にも耐えられる治療法を選ぶ必要があります。

また、痛みには我慢できないので、処置中、自宅では極力痛みを伴わない治療を選ぶ必要があります。

逆に子どもであることが有利に働くこともあります。

やけどの傷が早く治ることです。

若いって、いいねぇ・・・と思いながら治療していますよ。

 

さて、痛くない治療法ですが、来れば断然シートの方が良いです。

昔ながらのガーゼと塗り薬だと、ガーゼが傷口にガッチリとくっついてしまい、

剥がす時に痛くなってしまいます。

シートを剥がすほうが痛みは少ないのです。

また、交換の頻度はシートの方が少なくて住みますし、

周りに「つゆ」(浸出液といいます)が漏れることも少ないです。

当然ニオイも少ないです。

 

子どもがやけどになった時には

ぜひ近くのシート治療(閉鎖療法、密封療法、湿潤療法などともいいます)を行っている

医療機関を探してみてくださいね。

もちろん、当院でも治療を行っていますよ。

「小」やけどの治し方

 

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さて、今回は小さなやけどの治し方についてお話をしたいと思います。

「小さな」「大きな」というのはやけどに関してはあくまでも便宜上の区別です。

しかし、体表面積の10%を超えると、場合によっては入院が必要となることもありますので、

治療の方向性が大きく変わることもあります。

今回は、クリニックに通院して治療することができる、それ以下の面積のやけどの話をしたいと思います。

 

さて、やけどとは一体何でしょうか。

体の中ではなにが起きているのでしょうか。

 

やけどは人体に熱を加えると発生します。

温度は50度以上なら起きると言われています。子どもはもっと小さい温度でも起きることがあります。

やけどの正体は熱により皮膚のタンパク質が壊されること。

それにより、皮膚の機能が果たせなくなることが問題なのです。

よく、やけどのあと、水ぶくれになることがありますが、これはあくまでも表面に見える症状です。

その周囲には役目を果たすことの出来ない皮膚が広がっている可能性があります。

また、その影響は時間が立ってから初めて見えることもあるので、油断できません。

一般に数日経過して初めて皮膚の影響がはっきりわかるのです。

(低温熱傷は例外。もっと外まで影響が広がっていることがあります)

 

皮膚に影響した熱の強さにより、皮膚の変化は様々に変わっていきます。

弱い時にはただ赤くなる。そして、ヒリヒリします。

更に強くなった時には水ぶくれになり、

更に強い時にはその部分が焼けたり、こげたりして死んでしまいます。

痛みはあったりなかったり。

でも、実は痛みが無い方が症状は悪いのです。

なぜなら痛みを感じる神経が死んでしまうために痛みすら感じなくなるのです。

なので、痛みが無いときには要注意です。

 

治療ですが、また症状によって変わります。

皮膚が赤くなった時には細胞はまだ生き残っているので、

炎症をステロイドで抑えることで落ち着くこともあります。

 

逆に皮膚の表面が死んでしまった場合はその死んだ皮膚を剥がして、

新しい皮膚を生やして上げる必要があります。

必要があれば皮膚を移植する手術も行うかもしれません。

 

一番、治療の選択にバリエーションが有るのは水ぶくれが見られるときです。

水ぶくれを剥がすべきか残すべきか。

薬を使うか、シートで覆うか。

これは人によりかなり方針が異なります。

当院では破れていない水ぶくれはそのままにし、

上からシートで覆うような治療法を行っています。

これは、水ぶくれの中にはバイキンがいないということ。

中の水には傷を早く治す成分が沢山入っていること。

という事実を基に選択する治療法です。

もちろん、薬が早いと思えば薬を使うこともありますが、大部分は

シートを使います。

あと、シートの利点はもう一つ。

痛みやひりひり感はシートを使ったほうが痛くないのです。

 

なので、当院では8割以上の患者さんにシートを使っています。

軟膏とシートの併用も含めるとほとんどすべての患者さんにシートを使った治療を行っています。

(なお、このシートを使った治療は閉鎖療法や密封療法,湿潤療法と呼ばれています。)