わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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レーザー

Twitterまとめ:いちご状血管腫は早めに紹介状を取りに来て

最近はまとめた記事はTwitterで連投と言う形で投稿しています。

フォローいただけましたらこちらのブログよりも早く読むことが可能かと思います。

 

今回はいちご状血管腫についてです。

厄介な性質を持っている腫瘍なので、その性質と今後に極力影響を残さない対応について

簡単にまとめてみました。

 

アザの子は検診まで待ってよいのか?

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(アザにも色々ありまして・・・)

 

この質問、時々聞かれることがあります。

検診の時に相談すれば良いのか。ということですね。

 

結論から言いましょう。

極力早く連れてきてくださいね。

可能であればウチに来て欲しいところです。

 

周囲の先生との摩擦も有るのであまり強く主張することができませんが、

アザについては検診だけでは不十分な事が多いのです。

 

というのもいくつかの理由があります。

 

まずひとつは検診の先生のスキルの問題。

アザの診断自体は難しくないのですが、

治療法に着いての知識には先生毎に大きな差があります。

皮膚科で専門の先生と遜色ないレベルの先生もいれば、

数十年前のお話をまだしているのね。という先生もいます。

こればっかりはなんとも言えないのです。

あざの治療はレーザーの導入により大きく変わりましたが、

導入当初と近年ではその状況や副作用の出方も大きく変わっています。

そのために適応状況も変化しているのです。

検診の先生の知識のレベルがどの年代のものなのか?

それによりお話の内容が変わってしまう可能性があるのです。

 

もう一つは時間の問題。

検診ですから短い時間に多くの赤ちゃんを診察しなければいけません。

どうしてもアザを見つけてもそのお話は短時間で切り上げることになってしまいます。

したがって、十分な説明を受けられない可能性もあります。

疑問を持ってもそれを質問することができず、

もやもやしたまま帰ってしまう。

そして、治療のタイミングを逃してしまう。

というのも問題なんですね。

 

アザの症状が気になる場合は検診まで待たずに、

早めに皮膚科を受診し、どうすれば良いのか相談をしたほうが良いでしょう。

 

いちご状血管腫の内服治療が開始されました。

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少し前の話になりますが、いちご状血管腫に対する内服治療を行うことが出来るようになりました。

 

今まで何度かこのブログでも取り上げていますが、

プロプラノロールという本来は高血圧に使うべき薬がいちご状血管腫に効果があることが

数年前にたまたま発見されました。

まだ56年しか経過していませんが、とうとう正式に薬として処方できるようになったのです。

 

この使用可能になるまでの速さは画期的ですが、どうしても本来の薬の性質上

避けて通ることのできない問題がありました。

 

そうです、血圧の変化です。

血圧を下げる薬である以上仕方のない話では有るのですが、

これが問題になってしまい、一般のクリニックでは処方できない薬と

なってしまいました。

 

つまり大きな病院でスタッフが細かく監視が行える環境が必要になるので、

デイケアの様な一日滞在できる施設か、もう一つは入院と言う形になります。

 

そして、もう一つの問題は診療科の問題です。

いちご状血管腫の治療を行っていたのは皮膚科及び形成外科でした。

そこに小児科が関与してくる。

というわけで、病院の内部の体制を色々と替えていかなければなりません。

システムづくりにも時間かかりますからね。

 

というわけで、薬が採用になりましたが、その使用についてはまだまだ制約があるようです。

 

最後の問題はそのバタバタが外から見えないことですね。

紹介しようにもどこに紹介すれば良いのかわからないということになってしまいます。

誰にどのようなルートで紹介すれば良いのか?

外から見るとさっぱりわかりません。

どうしたもんでしょうかねえ。

となってしまいます。

 

なお、近隣の多摩地区から都区西半分についてはある程度の情報が手元にありますので、

もしも相談したい。内服してみたいと言う方は一度相談に来てくださいね。

内服という武器が増えた反面、使い分けも大きく変わる時期になっていますので、

なかなかややこしい事態になっていますが、極力ご希望に添えるように致します。

未熟児/低出生時体重児のいちご状血管腫へのレーザー治療はどう考えるべきか

今回のお話はどちらかと言うと、専門家向けです。

 

いちご状血管腫は全新生児の約1%に出現すると言われる血管の腫瘍です。

腫瘍といっても良性の腫瘍であり、転移することはありません。

しかし、時に大きくなり、色々なモノを圧迫する事があるので注意が必要です。

 

治療は今はレーザーが標準的です。

今回はレーザーの詳しい話には突っ込みません。

 

また、より難しいのが未熟児あるいは低出生体重児のいちご状血管腫です。

そもそも低出生体重児にはいちご状血管腫はより多く発症することが知られています。

満期産の子の数倍であり、数%という発症率です。

何が問題になるか?病気の進行具合と治療の適応です。

頭を悩ませる医療従事者も多いかもしれません。

ここに私の経験に基づく治療方針について記したいとおもいます。

 

いちご状血管腫の状態について

いちご状血管腫は生後6ヶ月まで大きくなることは知られています。

逆にそれ以降大きくなることはありません。

低出生体重児ではどのような動きをするのか?

それは「出産した日」を基点に考えるべきです。

出産した日から6ヶ月。

これが拡大の目安となります。

(当然色調も大きなヒントになります。色が落ち着いてきたら拡大も落ち着くのはみんな一緒です)

間違っても、「修正週数」を基点に考えては行けません。

治療期間の見極めを間違えることになり、過剰診療を行う可能性があります。

 

レーザー治療の適応について

低出生体重児でもレーザーを行うことは問題ありません。

しかし、気をつけるべきことは皮膚の厚さについて。

低出生体重児では皮膚は薄く、ヤケドなどのトラブルを起こす可能性は通常よりも高いと考えるべきです。

出力、パルス幅の選択する時に気をつけるべきことはその子の「修正週数」です。

修正週数を見て、出力を決めるべきです。
(修正週数=その子は満期産の時には在胎何週なのか?)

つまり、修正40週で一般の新生児と同じ強さ。

それより小さいなら出力は落とす。

それより大きいならは修正週数に応じた月齢の子と一緒の出力で照射する。

間違っても「出産した日」を基点にして出力を決めては行けません。

往々にしてその出力は強く、トラブルを引き起こすことが有ります。

 

病態および治療法の選択に際して、児の年齢は非常に重要な要因です。

なにを基点にして考えるべきか、その参考になればと思います。

刺青をレーザーで消すのは大変ですよ

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本日朝のテレビでやっていたみたいですね。

今回はそのお話を少ししてみようかと思います。

 

刺青のレーザー希望の患者さんが増えているということですが、

それもさもありなんと思います

だって、刺青を入れる人が以前より増えましたからね。

そもそも刺青がなぜ入れられたかの話をすると長くなるのでしませんが、(リンクはこちら

定義からして、簡単に消えないものです。

これが、アートメイク、タトゥも同じ。

なので、一生のお付き合いをする覚悟で行う必要があります。

「すぐに消える」と思わない方がいいのです。

 

さて刺青を消す方法は簡単に2種類に分けることができます。

手術で取る方法とレーザーで色素を飛ばす方法です。

手術では、周りの組織ごとすべて取り去ります。

レーザーでは一般に周りの正常な組織に影響が及ぶことは少ないです。
(まったくない訳ではないことは要注意)

したがって、レーザーを選択するか方が多いだろうということが容易に想像することができます。

 

でも、レーザーも万能ではありません。

レーザーとは特定の波長の光を照射し、その光を色素が吸収して発熱し、細かな断片に粉砕されます。

その細かな色素の断片を体内のお掃除細胞が取り込み、おしっこの中に捨てるのです。

このような複雑な経過をたどって、色素は薄くなります。

 

問題点その1

直後に薄くなるわけではありません。

お掃除細胞が取り込む必要があるので時間がかかります。直後に消えるわけではないのです。

 

問題点その2

色素によって色の消え方が、変わります。

レーザーの種類や色素の種類によって、改善度合いが変わります。

レーザー光の波長をうまく吸ってくれる色素は消えるでしょう。

しかし、吸わない色素ではあまり効果ありません。

逆に吸いすぎても熱が予想よりも多く出ればトラブルになりますし、

色素が熱で変性したり、周囲の化学物質と反応して妙な色が逆についてしまう可能性もあります。

 

問題点その3

深いところにはレーザーは届きません。

光を組織の中に入れるわけですから、当然深い部分には光は届きません。

せいぜいコンマ数ミリから1ミリ、2ミリの単位です。

なので、深すぎる部分に存在する色素には光は届かず、当然効果もありません。

まあ、色素が深すぎても、皮膚からは見えないので逆に問題は無いのかもしれませんが。

同様の理由で、色素の存在する深さにムラがあった場合は、治療効果にもムラが出てしまいます。

プロの方が彫った刺青は、深さにムラがないので、消えやすいけど、

素人さんだと、色素の深さにムラが出てしまい、消えにくい。

なんていうお話もあります。

 

というわけで、レーザー治療も万能では無いということをわかっていただけたかと思います。

実際に、鉛筆の芯をさした時の色を消すのも大変な事があるくらいですから、

刺青を消すのはもっと大変なのです。

 

刺青をするときには、取る可能性があることも考えて欲しいのです。

取るのは、大変だよ・・・

 

追記。

刺青のレーザー治療については医療保険は原則として適応にはなりません。

ただし、外傷性刺青の場合は、
(何らかの事故などにより、皮下に色素が入ってしまうこと。さっきの鉛筆の芯が刺さることも含めます)

保険が効くこともありますので、その時には相談してみてくださいね。

 

レーザー照射の顛末は?

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サッカーのワールドカップ最終予選。

ヨルダン戦で日本の選手にレーザー(ポインター?)の光が

当てられていたことがニュースになっていました。

いくらなんでもあんまりだろうと思います。

これで少なくとも私のヨルダンに対する心象はだいぶ悪くなりました。

その後、日本のサッカー協会はFIFAに抗議文を提出したようですね。

 

ただ、そのニュースで気になることがありました。

マスコミのこのニュースの取り上げ方は

「サッカーの試合を行う時に、障害になる」

ということが最初に出ていました。

 

しかし、レーザーを病院で扱っている人間としては

順番が違うだろう。

と思います。

まず、眼への被害を最初に考えて欲しいのです。

 

少なくとも医療用のレーザーを扱っている人間の一人として

眼へのレーザー照射にはいくら気をつけても使いすぎることは無いと考えています。

特にレーザーの照射孔を直接覗きこむなどもってのほか。

今までに若い先生の指導をしていて、このような事態になったことはありませんが、

もしもそういうことになりそうなときは怒鳴りつけることも辞さない覚悟です。

そのくらい、眼へのレーザーは気をつけるべきものなのです。

 

今回の抗議文の中身まではわかりませんでしたが、

まず眼への影響を出し、

ついでサッカーの試合に対する影響を述べる。

それが筋だと思います。

今の日本代表の選手が何年サッカーをするのかわかりませんが、

少なくとも、サッカーをやめても、その人の人生は続くのですから。