【動画の概要:アトピーは本当に左右対称に出るの?】
「アトピー性皮膚炎は左右対称に症状が出る」と
聞いたことはありませんか?
教科書的な定義ではその通りですが、
実際の診察室では左右で大きな差がある
患者さんも少なくありません。
今回の動画では、なぜアトピーが
「理論上は左右対称」と言われるのか、
そして「実際にはなぜ差が出るのか」という疑問を、
皮膚科医の視点から分かりやすく解説します。
——————————————————————————–
1. 理論編:なぜアトピーは「左右対称」と言われるのか
日本皮膚科学会の定義では、アトピー性皮膚炎は
「特徴的な左右対称性の分布を示す」とされています。
これには、病気の原因となる4つの要素が
全身に均一に影響するという背景があります。
① アレルギー体質:
遺伝的な要因は全身に影響するため、
左右の差は出にくいと考えられます。
② 皮膚バリア機能の異常:
フィラグリンなどの遺伝子変異によるバリア機能の低下も、
全身一律に起こります。
③ かゆみ(掻痒):
かゆみを感じる感受性の遺伝的な高さも、
全身に関わる要素です。
④ 皮膚の未熟性(子どもの場合):
特に乳幼児は皮膚自体が未発達であり、
これは年齢という全身共通の指標に左右されます。
これらの理由から、「理論的には」
アトピーは左右対称に現れるはずなのです。
——————————————————————————–
2. 実践編:なぜ現実には「左右差」が生まれるのか
しかし、実際の診察では
左右で湿疹の出方が違う子がたくさんいます。
その最大の理由は、「掻き方(掻爬行動)」の癖にあります。
• 利き手の影響:
多くの子どもは利き手で引っ掻くため、
「利き手の反対側の腕」や、手が届きやすい
「顔の同じ側」の症状が悪化しやすい傾向があります。
特に上半身や顔面ではこの左右差が顕著に出ます。
• 掻く場所の偏り:
全身を均等に掻く子は少なく、
多くの場合は特定の一部だけを掻き続けてしまいます。
• イッチ・スクラッチ・サイクル:
「かゆい→引っ掻く→さらにバリアが壊れてかゆくなる」
という悪循環(イッチ・スクラッチ・サイクル)が
特定の部位で回ってしまうことで、左右の差が広がっていきます。
——————————————————————————–
3. まとめ
• 理論(教科書):
原因が全身共通のため、左右対称。
• 実際(現場):
日常の「引っ掻く」という動作の影響で、
左右差が出るのがむしろ自然。
理論通りにいかないのが治療の現場です。
「左右で症状が違うからアトピーではないかも?」
と不安にならず、
実際の症状に合わせてケアしていくことが大切です。
——————————————————————————–