わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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熱傷

「大」やけどの治し方

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やけどの話、最後は大やけどについてです。

前の話にも書きましたが、大やけどと小やけどの区別は難しい物があります。

今回は入院が必要なやけどのお話だと思って下さい。

 

全身の数十%を超える大きなやけどの治療はとても大変です。

なぜか?ここまで大きなやけどになると、皮膚だけではなく、全身の問題になってしまうからなのです。

 

大きなやけどを受傷した場合、全身はショック状態になります。

この状態になってしまうと、血管から皮膚の下に全身の水分が移行してしまいます。

そうすると困るのは腎臓です。腎臓に流れる血液が減ると腎臓がおかしくなってしまうので、

腎臓からでるおしっこの量で治療を決めていく必要があります。

つまり、おしっこが出てこないと血液の量が少なく、危険というわけです。

そのために一生懸命水分を外から与えなければ行けません。

同様にタンパク質も血管から逃げ出してしまうので、輸血を一杯しなければいけないのです。

 

さて、そうしているうちに腎臓からおしっこが出てきました。

今度は皮膚の下の水分が一気に血管に戻ってきてしまいます。

こうなるとおしっこ、つまり腎臓の問題は落ち着いてくるのですが、今度は心臓と肺の問題が出てきます。

肺の中に水が溜まってきてしまうと呼吸がうまくいかなくなってしまうのです。

かといって、水を外から与えないと、やけどの皮膚から水が漏れてしまうので、水分が足りなくなってしまいます。

こうして、体の水分が多すぎても少なすぎてもいけないという、綱渡りの状態が続いていきます。

 

数日立ってくると、今度はバイキンの問題が出てきます。

死んだ皮膚をエサとして、バイキンが増殖してきます。

そのバイキンはそのままにしておくと血液を通して全身に広がっていきます。

そうなると大変なことになりますから抗生剤を使わなければいけません。

でも、今度はその抗生剤に抵抗力のあるバイキンが増えてくるので、抗生剤の種類を替えて・・・

とイタチごっこが始まります。

やけどから数日たったあとに急に調子が悪くなる場合があるのは、主にこのバイキンの問題が有るのです。

 

また、この頃からは皮膚の問題が出てきます。

多くは深い部分までやけどを追っていますので、その部分の皮膚はなくなります。

そうすると、他の場所から皮膚を持ってきて、移植してあげる必要があります。

同時に死んだ皮膚も取り除かないと、皮膚の移植は上手に進みません。

この手術も大変なものです。またそのためには麻酔をしなければいけませんが、

その麻酔の影響も当然考えなければいけません。

また、大量に出血しますので(皮膚を削り取るので仕方が無いのですが)

輸血も大量にする必要があります。

 

したがって、治療を続けるに当たり、元々の本人の体力も非常に重要なものとなります。

また、栄養失調になると、傷の治りにも影響するので、食事や栄養管理も大事になります。

 

大きなやけどの治療をするためにはこのようなポイントに気をつけながら、進めていく必要があるのです。

やけどのニュースを目にするたびに、本人と医療スタッフのがんばりに想いをはせるのです。

「小」やけどの治し方

 

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さて、今回は小さなやけどの治し方についてお話をしたいと思います。

「小さな」「大きな」というのはやけどに関してはあくまでも便宜上の区別です。

しかし、体表面積の10%を超えると、場合によっては入院が必要となることもありますので、

治療の方向性が大きく変わることもあります。

今回は、クリニックに通院して治療することができる、それ以下の面積のやけどの話をしたいと思います。

 

さて、やけどとは一体何でしょうか。

体の中ではなにが起きているのでしょうか。

 

やけどは人体に熱を加えると発生します。

温度は50度以上なら起きると言われています。子どもはもっと小さい温度でも起きることがあります。

やけどの正体は熱により皮膚のタンパク質が壊されること。

それにより、皮膚の機能が果たせなくなることが問題なのです。

よく、やけどのあと、水ぶくれになることがありますが、これはあくまでも表面に見える症状です。

その周囲には役目を果たすことの出来ない皮膚が広がっている可能性があります。

また、その影響は時間が立ってから初めて見えることもあるので、油断できません。

一般に数日経過して初めて皮膚の影響がはっきりわかるのです。

(低温熱傷は例外。もっと外まで影響が広がっていることがあります)

 

皮膚に影響した熱の強さにより、皮膚の変化は様々に変わっていきます。

弱い時にはただ赤くなる。そして、ヒリヒリします。

更に強くなった時には水ぶくれになり、

更に強い時にはその部分が焼けたり、こげたりして死んでしまいます。

痛みはあったりなかったり。

でも、実は痛みが無い方が症状は悪いのです。

なぜなら痛みを感じる神経が死んでしまうために痛みすら感じなくなるのです。

なので、痛みが無いときには要注意です。

 

治療ですが、また症状によって変わります。

皮膚が赤くなった時には細胞はまだ生き残っているので、

炎症をステロイドで抑えることで落ち着くこともあります。

 

逆に皮膚の表面が死んでしまった場合はその死んだ皮膚を剥がして、

新しい皮膚を生やして上げる必要があります。

必要があれば皮膚を移植する手術も行うかもしれません。

 

一番、治療の選択にバリエーションが有るのは水ぶくれが見られるときです。

水ぶくれを剥がすべきか残すべきか。

薬を使うか、シートで覆うか。

これは人によりかなり方針が異なります。

当院では破れていない水ぶくれはそのままにし、

上からシートで覆うような治療法を行っています。

これは、水ぶくれの中にはバイキンがいないということ。

中の水には傷を早く治す成分が沢山入っていること。

という事実を基に選択する治療法です。

もちろん、薬が早いと思えば薬を使うこともありますが、大部分は

シートを使います。

あと、シートの利点はもう一つ。

痛みやひりひり感はシートを使ったほうが痛くないのです。

 

なので、当院では8割以上の患者さんにシートを使っています。

軟膏とシートの併用も含めるとほとんどすべての患者さんにシートを使った治療を行っています。

(なお、このシートを使った治療は閉鎖療法や密封療法,湿潤療法と呼ばれています。)

湯沸しポットによるやけどのお話

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先日、台所で紅茶を飲んでいたら、娘に怒られました。

曰く、お茶を飲むときは座って飲みなさい。

なんで台所で立って飲んでいるの!

とのこと。

 

いや、これ、あなたが生まれたからなんですよ。

 

 

 

先日も、電動ポットからこぼれたお湯によるやけどのニュースが新聞に有りました。

診察をしていてもポットのお湯は赤ちゃんのやけどの原因では良くあるものです。

 

自分の子供にやけどをさせて、落ち込んでいる家族の人に面と向かって言ったことはありませんが、

親御さんにはまず、

「電動ポット/湯沸し器はそもそも必要ですか?」

ということを考えて欲しいのです。

 

当たり前のように家に居座っている電動ポットですが、我が家にはありません。

まあクリニックを開業するときに休憩室用に購入しましたが、使用頻度はあまり高くは無いのです。

(ガスコンロが休憩室に無いために購入したようなものです。)

だって、必要な時にコンロでお湯を沸かせば電動ポットは要らないんじゃない?

と思うのですよ。

 

ポットにいつもお湯が入っていることのメリット。

お湯がこぼれてやけどになり、ひふに傷跡を残すリスクが有るというデメリット。

その2つを比べた結果、専門家としても親としても、ポットは使わないことを決断したのです。

 

食後の紅茶やコーヒーを飲みたくなった時は、

台所に居すわってヤカンでお湯を沸かし、シンクの上で飲んでいました。

コップの中身が残った状態でおいておくときにはシンクの中に必ず置く。

まあ、結局シンクに置くのも面倒くさくなり、大体一気に飲んでいましたけどね。

 

で、娘におこられるわけですね。

いやはや。