わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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薬の話

イカリジンに対する期待と不安

さて、今回も虫よけのお話です。

高濃度DEETとともに使用できるようになったイカリジンですが、

期待と心配のが半分半分ですね。

 

というのも、何かよくわからないからなんです。

何が?コレが。(参考資料はこちら

作用機序ははっきりしていないこと。虫のどこに効果あるかはっきりわからないこと。

これは心配面の一つです。

もう一つの心配は長期連用時の毒性についてまだはっきりしていないことですね。

一度に大量に使用した場合の毒性については上記資料に記載ありますが、

長期間の連用時にはどうなっているのかはっきりとわかりません。

そこが少し心配でもあります。

 

しかし、メリットも当然あるわけです。

DEETとは作用機序が異なりますので、併用すれば相乗効果を期待できるかもしれません。

まあ。メーカーさんに聞いてみたときにはその検討はされていないということですので、

どうなのかはやってみないとわからないのですが。

 

また、無臭であることもメリットです。

プラスチックを溶かす心配もありません。

小児に対する使用制限も今のところありませんので、

そういった意味では使用量さえしっかりと守れば

使い勝手の良いものであろうと思うのです。

 

新しい成分の虫よけ剤

ぜひ検討してみてください。

 

高濃度DEETの思わぬ弱点

春です。虫の季節です。

今日も診察室にハチが入ってきました。

無事撃退しましたが。

 

虫の季節になり、気になるのが虫除けスプレーですね。

その虫よけの東の横綱といえるのがディート、DEETです。

 

実はこのDEETですが最近より高濃度のものが使用可能になったこと、

知っていましたか?

過去には12%が限度でしたが、近年のデング熱やジカ熱の感染リスクの増大を考え、

より高濃度での使用が解禁になりました。

確か30%だったかな?

 

でも高濃度DEETには一つの弱点があります。

 

それはプラスチックが溶けること。

読んだ話では50%の濃度のものがつくと車のダッシュボードが溶けるとか・・・

 

30%はそれよりもまだましなようですが、

ネイルが溶けるだろうなー。などと想像していました。

先日メーカーの方と話をしていてわかったのですが、

どうもストッキングがダメになってしまうみたいなんです。

ああ、そういえばストッキングは化学繊維でしたね・・・

 

DEETの開発前にはシルクだったストッキングが

DEET開発とほど同時期に化繊になり、DEETに弱くなってしまう・・・

なんてことをのんびりと考えながらの夜でした。

 

 

 

 

あ、下のはあくまでも参考程度にしてくださいね。

海外の製品なので、日本でも同等の製品がありますから正直オススメはしませんが、

気になる方はどうぞ。

オテズラの副作用が出る人は効果の高い人か?

今日は尋常性乾癬のお話です。

 

先日発売になり、処方を開始したオテズラ。

当院では数名の方に処方を行っております。

その方の1ヶ月内服した症状の変化、副作用の出方が分かってきました。

 

まずは効果。

一番効果の少なかった人で半減。

有効な人は8割以上の減少です。

当然ながら、塗すぐりの使用量も激減しています。

特にステロイドをストップできるのがありがたいところですね。

落ち着かない人にはビタミンD3軟膏を主体に使用するようにお話しています。

 

ついで副作用。

こちらも人に依るとしか言えないところです。

ダメな人はだめ。一日1回に減らした人も居ました。

でも、大丈夫な人は全く出ません。

出る人も内服期間が長くなるに連れて副作用は減少傾向にあるようです。

内服を減らさざるを得なかった人についても今後、副作用の推移をみて、

内服量を調節する予定にしています。

 

そして、効果の出方と副作用の出方ですが、

どうも、関連性が有るように思えたりもします。

まあ、処方数がそんなに多くはないのであくまでも印象に過ぎませんが。

効果の高い人は副作用も出やすく、辛い。

そんな傾向を感じるのです。

ただ、あくまでもこれは印象に過ぎないので、

もう少し長い間確認をしていく必要があるのですが。

 

でも使用した皆さんはずっと使いたいと言っています。

これは大したものです。

 

でも、問題点もあります。

まず値段。まあ、高いですね。

でも点滴や注射の必要な生物学的製剤よりは安いです。

あとは維持の仕方。

症状がなくなったら減らしていきたい所なんですが、

そのあたりについてはまだ何も分かっていません。

減らしてはいけないとメーカーさんは言っていますが、

今後の検討課題ですね。

 

副作用の多く出る薬ではありますが、

効果の面からは明らかに今までの薬とは別次元の印象を持っています。

まだあまり採用されている病院の数は多くないようですが、

乾癬の治療の一つとして考えてみても良いかもしれませんね。

 

ヒルドイドソフト/ヒルドイドローションをヴィーガンに処方する前には相談しましょう

今日も昨日の話の続きのようなものです。

 

ヴィーガンという考え方があります。

ベジタリアン(菜食主義者ですね)を更に強調した考え方でして、

動物由来のものを一切使用しないように使用という考え方です。

毛皮もダメ。脂もダメ。

ときには化粧品もダメと言う人もいます。

 

そうです、ヒルドイドの成分がその部分に関わってくるんですね。

つまり、ダメ。

とは限らないのは難しいところなんですが、

ダメな人もいる。

(ゆるい人もいれば厳しい人もいるのです。詳しくはこちら。)

 

こちらは宗教では無いので、結構幅の有る考え方なのですが、

ダメな人はダメ。

 

なので、この人たちには逐一確認しながら処方を行う必要があります。

まあ、当人もわかっていますから、予め窓口でお話をしてくれると思うのですが。

してくれるといいな・・・

 

問題になる可能性があるのも確かなので、しっかりと確認をしてから処方したいところですね。

 

ヒルドイドソフト/ヒルドイドローションをイスラム教徒に使用してはいけない

今回は国際化のお話です。

特に保湿剤のお話ですね。

 

ヒルドイドソフトあるいはヒルドイドローションですが、

保湿剤としては非常にポピュラーな、良くみかけるお薬ですね。

実はこの薬はブタさん由来なんですね。

ブタアレルギーについてはまあ、問題ありませんので今回は置いておきますが、

ある意味それよりも深刻な問題です。

 

ムスリムのかた、イスラム教徒の方ですが、

使用してはいけません。

絶対に。

 

これは戒律によるものなので、合理的なものではありません。

使用することにより、直ちに影響が起きるようなものではありませんので、

そういった意味では問題ありません。

でも、彼らの心に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

考え方なので、一律に話をすることはできないのですが、

当然避けられるものであれば避けたほうが良いものです。

彼らにとっては避けるべきものだからです。

 

なので医師としては処方はしないほうが良いものであったりします。

該当しそうな方にはあらかじめ確認したほうが良いと思います。

 

今回は注意してね。というお話でした。

 

オテズラ、乾癬に効果あり!みんな症状がよくなっています

尋常性乾癬の新薬、オテズラですが、

当院ではすでに何名かに処方を開始しております。

そのすべての方が2週間内服開始し、2回目の受診を行いました。

今日はその結果についてのお話です。

 

まず、効果。

すごーく良いです。

最初の2週間は漸増期間でもあり、効果はあまり高くは無いと考えられますが、

それでも皆さん、乾癬の症状は半減しています。

如実に変わったのは塗り薬の使用量です。

処方必要量=毎日の使用量ですが、

半減以下です。

これはすごいですね。

 

問題は副作用。

まず皆さんに出ています。

腹部の違和感やダルさ等があるようです。

ただ、日常生活に大きな支障はなさそうです。

なんとか送れているとのこと。

でも、効果がとても高いために少々の副作用が我慢して皆さん内服を継続すると言われます。

どうも、それだけの効果を実感しているようですね。

 

 

そして、診察して何よりも思ったのは、

皆さん、外来に入ってくる時の声が明るいこと。明るいこと。

今までの乾癬の外来って、なんとなく沈んだ感じだったんですね。

ああ、今日も変わりない・・・という感じだったんですね。

でも、オテズラの内服を開始して、劇的に変わった診察風景になりました。

これは純粋にうれしいですね。

 

オテズラ、値段と副作用に少し欠点がありますが、

効果を考えると、試してみても良いかもしれませんね。

【緊急】エピペンの回収ですが、追加もあるそうです(2017年4月)

 

先日も記事にしたと思うのですが、

エピペン0.3mgに追加の回収指示が出たそうです。

 

ロット:PS00025A

使用期限:2017年10月

 

です。

該当の方はファイザーさんまでご連絡くださいとのことでした。

 

なお、念のために回収する形であり、

まだ、事故の報告は無いとのことです。

でも心配ですから、該当者はお早めに対処ください。

オテズラの処方を希望される乾癬の患者さんのためのお話

昨日、ブログで記事にしたとおり、当院ではオテズラの処方を開始いたしました。

処方を希望される方もいらっしゃるかもしれませんので、受診の前の注意事項について

確認したいと思います。

 

1.紹介状は持ってきてください

現在の治療を行っている病院/診療所と並行して当院を受診し、

処方を行うことは可能です。

しかし、その場合は現在の治療に対する確認が必要となりますので、

紹介状をご持参ください。

また、紹介元病院内での処方が可能になるまでの限定的な通院も大丈夫です。

くれぐれも現在の主治医とケンカをするようなことはしないでください。

 

2.処方が出せない場合があります。

現在行っている治療法の内容および皮膚科や他科の合併症によっては

オテズラを処方できない可能性があります。

また、いままで全く治療を行っていないような方の場合も処方できない可能性があります。

当然、乾癬に対してのみ保険診療が可能な薬剤ですので、

その他の病気には使用することはできません。

他の原因が疑われる場合、確定診断がしっかりと付いていない場合も同様ですので、

お気をつけください。

 

3.どこの調剤薬局でも扱えるわけでは有りません。

新薬であること、乾癬のみに適応を有する薬剤であることより、

現時点ではどこの調剤薬局でも取り扱っているわけでは有りません。

処方箋を持っていっても数日待たされる可能性もありますし、

ときには「処方できない」と言われるかもしれません。

当院の近隣では取り扱っている調剤薬局が有ることは確認しておりますが、

患者さんの自宅近辺についての確認までは行うことができません。

処方箋交付後にも上記可能性が有ることをご注意ください。

 

4.初期副作用についての対応策がまだ確定しておりません。

このオテズラですが、それなりの頻度で悪心・嘔吐などの副作用が

初期に発生することが分かっています。

現在どのような対応を行うべきかは少しずつ判断できるようになっていますが、

データとしてベストな方法が示されたわけでは有りません。

また、どのような方にその副作用が出るかは分かっていないのが現状です。

リスクを回避されたい方は数カ月から数年の間は内服を控えても良いかもしれません。

 

5.長期副作用についてはまだはっきりしません。

新薬ですので、どうしても数年以上内服を継続した場合のデータの蓄積は有りません。

また、当然長期間内服後に思いもよらない副作用が出る可能性も無いとはいえません。

というか、こればっかりはわかりません。

先項と同じように、リスクを回避されたいからはもうしばらく様子を見ることをお薦めします。

 

今までの治験のデータを見る限り、幾つか難点は有るものの、結構良さそうな内服薬ではあります。

しかし、新薬である以上、上に記載したとおりのリスクも有ることをご理解ください。

また、「薬剤」にともなうリスクだけではなく「処方」について、「治療法」についても

様々な検討事項が有ることをご了承ください。

 

 

それでも処方を希望される方は、主治医と相談の上、紹介状を持って受診してください。

予約は通常通り、電話またはウェブで行うことが可能です。

しっかりと治療を行い、しっかりと押さえ込んでいきたいですね。

 

尋常性乾癬の新薬。「オテズラ」処方を開始しました。(2017年3月)

春です。少しずつ暖かくなってきましたね。

早いところでは桜も咲いてきたようです。

伊豆の桜はきれいでしたよ。

 

さて、尋常性乾癬の治療にも春がきたのでしょうか?

新薬の登場です。

 

新薬?すでにいっぱいあるよねという方。

正解です。

ここ数年、尋常性乾癬の新薬はいくつも登場してきました。

いわゆるバイオ製剤ですね。

 

でも、これは重症の患者さんに対する恩恵です。

というのも、このバイオ、いくつかの問題も有るのです。

 

一つは注射であること。

薬剤によっては数時間かけて点滴を行う必要があるのです。

したがって時間の制約が強い。

休日に数時間病院を開けてくれるところも多くはないので、

お仕事によってはお休みをして。ということになってしまいますよね。

 

もう一つ。

施設が限られていること。

結核など、過去の感染症の再発がリスクとしてありますので、

事前にしっかりとした検査が出来る施設でないと治療ができません。

そのためにどこでも出来るわけではないこと。

また、使用できる施設は学会により審査され、可能施設が登録される形になるので、

どの病院でもOKと言うかたちではないのです。

 

最後の一つは薬の値段です。

かなり高く、1回の治療で数万円かかってしまいます。

つまり、お財布に優しくないんです。

 

そんなこんなで、どこでもいつでも使える治療法ではないという難点がありました。

重症の方が、総合病院や大学病院で行う感じですね。

 

あまり症状の強くない、でも、なかなか抑え込めない乾癬の症状に対しての治療という意味では

今回の薬は久々の新薬と言えるものなのです。

 

メーカーさんの資料を確認する限り、効果は結構あるようです。

気になるお値段も3割負担の方で月1万5千円と、バイオ製剤に対してリーズナブルです。

副作用も、免疫そのものを完全に抑えるわけではないので、

感染症の再発などは有りません。したがって事前検査をガッチリと行う必要もないのがメリットです。

また、処方可能施設の制限も有りません。

 

とまあ、ここまで、良いことをお話してきましたが、難点も当然あります。

値段は今までの飲み薬や塗り薬に比べて高いことは高いですし、

まだ新しいタイプの薬ですので、どのような使い方をすればよいのか?

どんな人に効くのかわからない。などの問題点もあります。

副作用も時間が立ってから出るタイプのものも出るかもしれませんし、

思いもよらない副作用が出る可能性も当然ながらあります。

こればっかりは、わかりません。

 

ということで新しい薬。

最初は、処方する側も飲む側もおっかなびっくりではありますが、

少しずつ処方は増えるのではないかなあ。

などと考えております。

 

 

久しぶりに乾癬の治療をしっかりとしてみようかと考えている方がおりましたら、

使用を検討してみてはいかがでしょう。

なお、当院では処方可能ですが、他の病院ではまだ使えないところも多々あるようですので、

可能でしたら予め電話で問い合わせしたほうがいいですね。

エピペンの回収が始まりました。

月曜日に飛び込んできたニュースです。

 

食物アレルギーやハチさされに起因するアナフィラキシーショックの治療薬であるエピペンですが、

一部の製造品に針が正常に出なくなる不具合が有ることが確認され、

メーカー回収となりました。

 

幸い日本ではまだ同様の報告はないようですが、

致命的な自体を回避するための薬剤の、非常に大きなトラブルです。

 

手元にお持ちのかたはすぐに確認をしてください。

詳細について確認をしたい方はこちらのサイトからご確認ください。

なお、製造ロットはPS00019A、使用期限は2017年4月となっているようです。

そろそろ使用期限が切れる製品でもありますので、確認・必要時に交換をしっかりとおこないましょう。

特にこれからは虫のトラブルも増える時期です。また、子どもたちは新学期になります。

新しい学校・新しい先生とトラブルが起きやすい環境になりますので、この機会に一度

周りの人と一緒に手順を確認してみても良いかもしれませんね。