わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の治療選択肢が増えます(2022年8月)

2022年8月8日、アトピー性皮膚炎の治療選択肢がまた一つ増えることになりました。

それに伴い対応患者さんも増えることになります。

 

8月より使用開始になる薬剤は「ミチーガ」といいます。

この薬の一番の特徴はかゆみそのものを抑えること。

湿疹を抑えるのではないというのがポイントです。

またもう一つのメリットは対応患者さんの幅が広がったこと。

かゆみ止めを飲んでもステロイドなどの塗り薬を塗っても効果がないことという

条件付きですが、使用できる湿疹の範囲や強さが

EASI16から10まで緩和されています。

今まで症状は強くないのでダメと言われていた患者さんでも使用可能になったわけですね。

(EASIとは全身の湿疹の強さをいくつかの症状・部位別に分けてスコアを算出し、

全身の強さを表したものです。)

 

しかし問題も無いわけではなく・・・

かゆみを止める薬ですので、湿疹を直接止めるわけではありません。

今までの内服・注射薬に比べて治療効果は少し落ちるというデータがあります。

したがって現在内服・注射薬を使っている人に取ってはメリットはあまりないかもしれません。

また現状ではお家に持ち帰り、自分で注射ができないので通院を続ける必要があります。

(といっても月1回のペースですが)

 

ある程度の欠点は見られますが、完璧なおくすりなど存在しません。

少なくとも今まで使えなかった人に効果の高い薬が届くというその1点だけでも

有効な薬剤ではないかと考えています。

 

すでに当院では使用を決定しておりますし、治療開始を希望する患者さんもおられます。

当日すぐに注射を行うことは難しいですが、数日で薬剤は準備可能な状態になっています。

もしも治療を希望されてる方がおりましたら一度外来でご相談くださいね。

ニキビ・ヘルペス+アトピー性皮膚炎=モイゼルト?

思春期のアトピー性皮膚炎の患者さんに対する薬の選択って結構難しいことがあります。

アトピー性皮膚炎の治療薬は基本的にニキビを悪化させてしまうからです。

感染症とアレルギーはオモテウラの関係なのでやむを得ないところがありますが、最近その図式が崩れてくました。

理由は研究の進歩。一体であり不可分と思われていた、感染症とアレルギーの関係が崩れてきたからです。

つまり、アレルギーは抑えるけれども感染症が悪化させないという薬が色々と出てきたのです。

 

すでに内服薬ではデュピクセントが発売されています。またそろそろミチーガも発売されますが、こちらも易感染性の副作用はありません。

塗り薬でもモイゼルトという薬が今年の6月から使用可能になりました。こちらもありがたいことに易感染性の副作用はありません。

 

つまり、思春期のアトピーに使ったときにニキビの悪化を防げるのではないか?

と考えることができるのです。

またヘルペスが頻繁にでるアトピー性皮膚炎の方にもよい治療法になるのではないかと考えています。

 

ただ、いかんせん新規発売の薬ですので、情報の蓄積がありません。

大事な皮膚炎の治療効果は読みきれないところもありますが、副作用の面では明らかなメリットのある塗り薬となっています。

 

ニキビも抑えつつアトピー性皮膚炎も抑えていきたい。

そんな過去には欲張りと思われていた希望も今後は当たり前の様に叶っていくのかもしれません。

 

モイゼルトを試してみたいという方は外来で一度声をかけてくださいね。

モイゼルト軟膏のアトピー性皮膚炎に対する処方を開始します

本日モイゼルト軟膏の販売が開始されました。

薬局にも納入されたとのことでもあり、処方を開始します。

 

モイゼルト軟膏はアトピー性皮膚炎に対する新規の塗り薬です。

特筆すべきは過去の他の塗り薬と異なり、感染症を起こしやすくする副作用がないこと。

したがってより安全に使用できる薬と考えています。

 

しかしまだ何分情報が足りていないので当初は少しずつ使用を開始することになりそうです。

現在の軟膏に追加して処方する感じになるのではないでしょうか?

副作用についてもプロトピックの刺激感のようなクセのあるものはありませんので、

そういった意味では使いやすいのですが、まだ炎症を抑える効果の強さが未知なんですよね。

 

というようにいくつかの小さな不明点はあるものの治療の選択肢が増えるのは

とても良いことではあります。

 

モイゼルト軟膏。今後に期待です。

またどの様にこの薬の特徴を生かしていけばよいのか、

当院での今年の課題になりそうです。

きょうのかゆみは何点ですか?

というような質問を最近はさせていただいております。

 

乾燥肌やアトピー性皮膚炎の問題の一つにかゆみの程度がこちらからはわからないことがあります。

実際にどの程度に感じているのか、なんとなくしかわからないんですね。

感覚なので仕方がないのですが、同じかゆみの強さがあったと仮定しても

それを強く感じる人、弱く感じる人がどうしても出てきてしまうのです。

当然ながらかゆみについては湿疹の悪化要因となります。

引っ掻いてしまいますのでね。したがってかゆみを止めることも大事になるのですね。

だた、問題はいままでかゆみの強さを直接的に測ることができなかった。

あくまでも湿疹の強さから間接的に推測することしかできませんでした。

 

ずっと悩んでいた問題なのですが、昨年からNRSという方法で解決できるか実際に行っています。

NRSとはNumerical Rating Scaleの略語ですね。

かんたんに説明するとかゆみの強さを0から10までの数字で示して貰う方法です。

痛みについて同様のことがなされているのを見たことがある方もいるかも知れませんね。

「海外ドラマで見たー!」

などど言われることもあります。

 

毎回外来でお伺いしますので、該当された方は予め考えていてくださいね。

なお、こちらの評価ですが、先に記載したように(兄弟であったとしても)感じ方の個人差は大きいものです。

なので、他の方との比較にはあまり意味はありません。

過去の自分のデータと比較しての評価とお考えください。

同様に高いから悪い、低いから良いと一律に評価するものではないということ、

現状にそぐわない数字を言うことによるメリットはまったくないということにも

注意が必要ですね。

 

「今日のかゆみは何点ですが?」

と聞かれたら何点と答えますか?

診察に来る道のりの中でちょっと考えてみてくださいね。

 

「2月の勝者」とアトピー性皮膚炎

2月の勝者というドラマ、ご存知ですか?

まだ見てはいないのですが、原作の漫画は読んでいました。

今は忙しくてフォローできていませんが・・・

舞台が吉祥寺なので、ニヨニヨしながら読んでいましたね。

この場所知っている!

 

さて受験についてあれこれ言うほどの知識はないのですが、わかっていることもあります。

それは

アトピー性皮膚炎の子の受験は大変

ということ。

 

実際に親しい人の話を聞いたこともありますし、患者さんからもたくさん見聞きしています。

ゆる受験が増えたといってもガチ受験している子も多いでしょうしね。

アトピー性皮膚炎のかゆみってかなり厄介なんですよね。

集中力を阻害してしまいますし、睡眠時間その他の時間も阻害されます。

また薬を塗る時間というハードルも課されてしまいます。

 

以前より治療をどうすべきか考えていたのですが、新薬の登場で一気に状況が

変わる可能性が出てきました。

内服JAK阻害薬です。

現在12歳から内服可能ですので、誕生日が過ぎた受験生にも使用可能です。

いくつか事前に検査が必要であり、内服処方開始までに少し時間がかかりますが、

内服開始すれば1日2日でかゆみは一気に改善します。

湿疹も当然良くなっていきますので、本人のストレスもきっと減るでしょうね。

集中力も増す可能性が高いですし、塗すぐりも減らせる可能性があります。

 

こうやって考えてみると今の時期には非常に良い薬のように見えますね。

お値段はどうしてもそれなりに掛かってしまいますが、保険診療ですので、

小児医療券も使用可能です。

また期間限定で初めてやめることも可能ですので、春までは頑張るという

使用方法もあるでしょう。

 

結構症状の強いアトピー性皮膚炎持ちの子で受験を考えている子については

少し考え見てもいいかもしれませんね。

もちろん中学受験だけではなく、高校受験、大学受験、就職活動いずれも

使ってみる価値はあるかもしれませんよ?

ぜひご検討ください。

 

中学生高校生向けののアトピー性皮膚炎の新規治療薬の効果がものすごく高い件について

今回は久しぶりに薬の話をしていきましょう。

今年に入って新規に使用可能になった薬剤に内服JAK阻害薬というものがあります。

 

詳細についてはメーカーさんのページを確認していただくとして

2021年8月25日プレスリリース

今回はその治療薬の効果のお話をしましょう。

 

 

現在内服可能な年齢は12歳からとなっております。

したがって誕生日を迎えた小学校6年生以上は対象となります。

もちろん中学生高校生も内服は可能ですね。

 

副作用は感染症の悪化のリスクが最もたかく問題になるでしょう。

特にコロナ第5波が猛威を奮っていたときにはなかなか提案しにくい薬剤でしたが、

これだけコロナの予防接種が進んだ状況では話が変わってきます。

 

また効果についても今までははっきりとしたことが言えなかったのですが、

実際に当院での処方ケースが増えてきたので結果についてお話ができるようになってきました。

 

まず、かゆみについてですが、こちらはものすごいものがあります。

当日もしくは翌日から一気に減少します。

 

皮膚の状態も非常に効果が高く、

2週間程度で赤みがだいぶ減ってきました。

かゆみに対する効果もあり、引っかき傷はほとんど無くなる状況です。

ただザラつきや皮膚の硬さといったテクスチャの変化はもう少し掛かりそうです。

 

本人の満足度も非常に高いのもすごく印象的ですね。

確かに今までの人生にずっとついてきた湿疹と痒みが数日でガラリと変わる訳ですからね。

逆に減量中断のときに抵抗されそうで心配です。

 

数年前からは15歳以上のアトピー性皮膚炎の治療は一気に変わりました。

これがことし12歳までハードルが下がった印象を受けます。

症状の強さによっては使うことができないこと、

事前に内科で検査を行う必要があること、

感染症への対抗力が下がるリスクが有ること

といくつか気をつけるべきポイントがありますが、

効果については当院でもしっかりと実証できたと考えています。

 

該当される方は検討してみても良いのではないでしょうか?

アトピー性皮膚炎の薬剤と感染症の副作用についてのお話

ここ数年で本当にいろいろな薬がアトピー性皮膚炎の治療に使われるようになりました。

副作用についても色々あるのですが、今まで常識と思われていた易感染性の副作用から

離れることのできる治療薬も出てきました。

 

今回は易感染性の副作用という観点から治療薬をまとめていきたいと思います。

 

>易感染性の副作用がある薬剤

・ステロイド(外用・内服・注射)

・シクロスポリン(内服)

・タクロリムス(外用)

・JAK阻害薬(外用・内服)

 

>易感染性の副作用のない薬剤

・デュピルマブ(注射)

・PDE4阻害薬(外用)

・抗アレルギー薬(内服)

 

となります。

以前はない薬剤が効果の弱い抗アレルギー剤内服以外にはない。

という状況でしたので、随分様変わりしたなあという印象を持っています。

 

選択肢が一気に増えましたので、上手に組み合わせながら治療を勧めていきたいですね。

2021年度後半もアトピーの新しい薬が出てくるようです

今日メーカーさんからメール頂いて呼んだ瞬間に変な声が出てしまったことは内緒です。

 

アトピー性皮膚炎の薬ですが、今年度上半期に飲み薬が2種類、

子供への適応拡大が塗り薬で1種類ありました。

下半期も色々あるようです。

現在入手した情報についてまとめてみます。

 

まず1種類目はファイザーさんから出てくるJAK阻害薬という種類の飲み薬です。

こちらのJAK阻害薬の内服は3剤目になります。

まだ入手できる情報が限られているのですが、すでに発売されている薬剤と同様の

効果・副作用・コストと考えられます。

使い分けについて考える必要がありそうですね。

 

もうひとつは大塚製薬さんからのPDE4阻害薬の塗り薬です。

PDE4阻害薬はすでに乾癬に対して飲み薬として使用されている薬剤で、

そちらは初期の副作用にクセはあるものの、非常に効果のある薬という

印象を持っています。

今回使用可能になるのは塗り薬ですので、その初期の副作用というのはなく、

喜ぶべきことに易感染性の副作用も見れないという情報もあります。

ただ、まだ効果についてはどのくらいの強さなのかはっきりしませんが、

副作用の少なさという面から処方しやすいかなとも思っています。

 

一つ注意すべきはまだ処方可能ではないということですね。

処方できるようになるまで情報を色々と集めて分析を行う必要がありそうです。

 

新しい情報ありましたら当ブログでもまた記事を書いていきますので、

興味のある方はご確認くださいね。

12歳から内服可能なアトピーの治療薬が出てきました

さて、今回もアトピーの飲み薬の話です。

 

今月からJAK阻害剤というアトピー性皮膚炎の飲み薬の2種類目の製品

リンヴォックが使用できるようになりました。

 

この薬剤の特徴としては12歳から内服可能なんですよね。

デュピクセント、オルミエントはいずれも15歳以上なので、3歳の違いがあります。

ちょうど中学生、小学6年生が使用できるようになったわけですね。

 

治療手段の選択肢が増えるのはいいことです。

特に中学受験、高校受験生を控えている子にとっては良い話かもしれません。

アトピーの症状は勉強の妨げになりますからね・・・

 

ただし、誰でも使用可能なわけではありません。

・症状の強さがある一定以上必要なこと

・使用前に内科で血液検査などを行う必要があること

・感染症にかかりやすくなる副作用があること

という特徴もあり、簡単には処方はできませんが、

もしも興味のある方がおりましたら外来を受診いただけましたら

説明させていただきます。

 

選択肢の増えたアトピー性皮膚炎の治療をどのように進めていくのか?

悩ましいところですが、中学生の重症のアトピーも治療できるようになったことを

まず喜ぶことにします。

“デュピクセント”と”オルミエント”の比較をしてみました

前回の記事でアトピー性皮膚炎の新薬の処方開始のお話をしました。

アトピー性皮膚炎の治療として数年前より”デュピクセント”が使用されておりますが、

それとの関係が気になる方も多いかと思います。

 

私も少し気になっておりましたので、比べてみました。

というのが今回の記事の内容です。

 

オルミエント内服の話2

 

↑リンクを貼っておりますので、印刷か別タブに置いて眺めながら話を聞いていただければと思います。

 

まず基礎的な事項として”デュピクセント”は注射、”オルミエント”は内服という違いがあります。

注射いやだー!という人はオルミエントの方がいいでしょうね。

 

効果ですが、”デュピクセント”と”オルミエント”の通常内服量でしたら大きな差はないと

考えて良さそうです。

ただし、オルミエント減量の場合は効果は少し落ちてしまうでしょうね。

1日おきでしたらもっと落ちる可能性があります(が正式なデータはないのであくまでも推察です)

逆にオルミエントは増量減量が比較的簡単に行なえますので、そちらはメリットかも知れません。

 

副作用です。”デュピクセント”は免疫抑制はありませんが”オルミエント”はあります。

ただし、デュピクセントは眼の周り・中の炎症がかなりの確率で出現すること、

オルミエントの免疫抑制は減量に伴い減らすことができることは特徴でしょうね。

 

使用制限はいずれも中等度から重症のアトピー性皮膚炎と限られています。

こちらは使用希望時に全身のチェックを行い、使用可能か検討を行った上で

投与判断を行います。

症状が軽いときはダメかもしれません・・・ご了承ください。

 

事前検査ですが、影に隠れている感染症が”オルミエント”内服開始で現れることがあるので、

オルミエントの場合は内科での血液検査/胸部レントゲンが必須です。

そちらで問題ないことを確認しない限り処方はできませんからご注意ください。

 

治療期間ですが、どちらの薬も中断は難しいかなと考えたほうが良さそうです。

やっぱりアトピーは手強いのです。

調子が良くなったときは”デュピクセント”でが注射感覚の延長、”オルミエント”では

内服量の減量という手段は取れますが、ゼロにするのは難しいかな・・・

 

受診間隔ですが、”デュピクセント”自己注射に限り3ヶ月に1回でOKです。

院内注射の場合は当然注射間隔ごとに受診必要ですし、

”オルミエント”は現時点では最長で4週間とさせてください

(なお十分なデータが当院で集まった場合には延長する可能性があります)

 

最後にある意味いちばん大事な金額のお話です。

”デュピクセント”と”オルミエント”通常内服の場合は金額はほぼ一緒とお考えください。

なお、オルミエントは減量、投与間隔の延長も柔軟に行なえますので、金額はその分

少なくてすむ可能性もあります。

・・・が、いちばん大事なのは病気がコントロールできることですからね。

調子が良くないのに減量することはあまりおすすめできませんからね。

 

 

ということで簡単に比較してみました。

なんにせよ選択肢が増えるのは良いことです!

治療方法を決める一つの参考資料にしてくださいね。