わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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JTC801

JTC801に期待すること 番外編 フィラグリンの異常は目でわかるのか?

すみません。まだ論文は手元にないので、今回は番外編をお送りします。

おかしいな、18日には雑誌のHPを除いたのですが、ありませんでした。

結構時間にルーズなのかもしれません。

 

さて、このフィラグリンの変異はある程度の割合で見られることがわかりました。

しかし、一般の病院では検査をすぐに行うことは出来ません。

現時点ではいくつかの大きな病院で検査を行っているくらいです。

では、フィラグリンが減少しているか否かをすぐに判断することが出来るのか?

実はある程度は判断ることができるとされています。

 

まず、フィラグリンの欠乏で起きる病気にかかっていること。

もともとフィラグリンの欠乏は「尋常性魚鱗癬」で見られることがわかっていました。

この尋常性魚鱗癬とアトピー性皮膚炎の合併が多いことからアトピーにも転用され、

原因の一つで有ることがわかったのです。

では、この尋常性魚鱗癬とは一体どのような症状なのか?コレは漢字が教えてくれます。

尋常性。これは「普通の」という意味です。尋常小学校は今は小学校ですね。

魚鱗。つまり、魚のウロコですね。

癬。これは皮膚の病気の事です。

魚のウロコのように皮膚が見えること。これが魚鱗癬の症状です。

尋常性魚鱗癬は子どもの病気です。

冬になって、すねの部分に白い菱型の模様ができる子がいます。

そして、その模様の部分から粉が落ちてくる。これが尋常性魚鱗癬の症状です。

 

まず、この尋常性魚鱗癬があると、フィラグリンの欠乏がある可能性が高いです。

もう一つは手足のシワです。

手には指紋、掌紋がありますよね。足にも同様ですが、

この特に掌紋がとても深い人がいます。

掌紋の深さとフィラグリンの欠乏には関係がある可能性が高いことが知られています。

 

スネと手のひら。その部分をチェックすることで、フィラグリンの状態を間接的に知ることが出来るのです。

JTC801に期待すること 予習編 フィラグリンとアトピー性皮膚炎の関係について

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さて、今回は昨日から様々なメディアで話題になっている、京都大学皮膚科学教室による、アトピー性皮膚炎に対する内服薬(候補)

JTC801について、皮膚科医の立場から解説をしていこうと言う、(ある意味無謀な)試みです。

 

プレスリリースはこちら.

ニュースの記事だけでは非常にわかりにくいです。

多分、新聞記者の方もあまりよく理解していないのかもしれません。

そもそも・・・がわかっていないのではないでしょうか。

 

そもそも、皮膚の一番大事な役目は、皮膚の外と中を区分けすることです。

外界の成分が生体内に入ると、アレルギーの反応を起こします。

また、人間の構成成分が外に出ることも、問題となります。

特に問題になるのは水分です。

陸に上がった動物はいかに体内の水分を外に出さない様にするかが、きっと進化の大きな問題になったでしょう。

その大切な皮膚のバリア機能が破綻すると、湿疹が起こります。

 

特にアトピー性皮膚炎の病気の一部は皮膚のバリア機能の障害によるものということがわかってきました。

(もちろん、アレルギーも大きな原因になります。どちらが主で従かはまだわかっていないことも多いのですが。)

子どもにアトピー性皮膚炎が多いのも、皮膚のバリア機能が未熟だからと考えるとつじつまが合います。

しかし、その一部に、フィラグリンと呼ばれるタンパクの遺伝子異常を持っている人が入ることがわかってきました。

概ね、患者さんの1/3から1/2位の人がそうだと言われています。

 

なぜ、フィラグリンタンパクの異常がアトピー性皮膚炎を引き起こすのか?

これはフィラグリンが皮膚のバリア機能に重要な役目を持っているからです。

もともと、フィラグリンは皮膚の細胞の中で作られます。

細胞の中の骨の成分、ケラチンとともに皮膚のバリア機能を作り、

最終的には分解されて、天然保湿因子となります。これも皮膚のバリア機能の補助となるのです。

 

つまり、遺伝的な問題がありフィラグリンの作成量が減ると、皮膚のバリア機能が悪くなり、結果的に

アトピー性皮膚炎になりやすくなってしまいます。

 

・・・さて、ここまでの話で皮膚バリア機能障害の解決策は出てきたのではないでしょうか。

なんとかして、このフィラグリンのタンパクを増やしてあげれば、皮膚バリア機能の改善につながり、

ひいてはアトピー性皮膚炎の予防につながるということになるわけです。

今回の発表はある化学物質がこのフィラグリンの産生を進めるということなのです。

 

後日、論文を読んでみて、どのようにしてこの研究が進められたかを見ていきたいと思います。