わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL050-3355-9592


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

薬の話

○○はじめました!

暑い日が続きますが、このフレーズの○○には何を皆さん予想されるでしょうか。

冷やし中華?
かき氷?

今日は新薬のお話です。

通常皆様が処方されているお薬は、厚生労働省により薬の効果と安全性を審査され、医薬品の価格が決められたお薬です。

製薬会社が薬を開発するのに10〜20年かかると言われており、やっとできた薬を厚労省に申請して承認されるのにさらに約1年かかります。

やっと薬価が決まり、発売日が決定しても、実際にはなかなか処方してもらうことができません。

なぜでしょう。

病院にはさまざまな種類があり、誰もが知るような大学病院や大病院から、町の開業医までさまざまです。

入院施設をもつような大きな病院は、診療科もたくさんあり、医師もたくさん所属しています。
そこで処方されるお薬の種類は膨大です。

現在保険で処方可能なお薬は1万4000種類ほどありますが、さすがにそれらすべてから選ぶには多すぎるので、あらかじめ各病院で処方できる薬を選んでおきます。これを採用薬といいます。

スーパーによって、置いてあるメーカーや商品が違うのと同じですね。

逆に言えば、採用されなければ処方してもらうことができないのです。

大きな病院では、新しく出た薬を採用してもらう場合、各病院の決まりに従って、1〜2ヶ月に1回の委員会に申請して認められる必要がありますが、この申請前にも薬剤師によるヒアリングがあったり、医師への説明会があったりと、とにかく時間がかかるのです。

こうしたプロセスを経てやっと処方可能となるので、実際にはなかなか新しい薬はもらえないことが多くなってしまいます。

街の開業医の場合は、こうした過程がないため、医師の方針一つで、すぐに処方が開始できるという小回りの良さがあります。

大学病院での勤務時に、こうした時間差を、薬剤師として何度も目にしました。
新規入院患者さんの持ち込み薬が、院内で用意できないことがあったのです。

当院では、よいお薬はなるべく早く患者さんのお手元に届けたいので、医師、薬剤師、看護師、医療事務すべてが参加した院内での説明会や勉強会をした上で、薬価収載からすみやかに処方することを心がけております。

最近だと6月に収載されたアトピー性皮膚炎のお薬を同月より処方開始しております。
すでに、そのお薬で症状が良くなった患者様も出ています。
そうした経過を見ると、本当に嬉しいです。

患者さんと一緒に病気と闘うために、少しでも武器(薬)の種類は多い方がいいので、もし気になる新薬がありましたら、ご相談くださいね。

円形脱毛症の飲み薬が使えるようになるようです

本日ほやほやのニュースです。

 

現在アトピー性皮膚炎に使用されている「オルミエント」という飲み薬が

円形脱毛症にも使えることになりました。

今後の情報を確認していく必要がありますが、処方可能になりましたら当院でも積極的に処方を行う予定にしています。

 

円形脱毛に効果が有るということは実は2.3年前から知ってはいました。

治験というテスト段階の結果をいくつも目にしていることや治験に参加した先生からの印象という言葉を色々と聞いていましたので、非常に期待していました。

また、昨年からアトピー性皮膚炎に使用できるようになりましたが、円形脱毛症を合併したアトピー性皮膚炎の患者さんがこの薬を飲んで、一気に髪の毛が出るのを見てました。

 

なので、今回正式に使用可能になったことは非常に嬉しく思っています。

効果も今までの印象では結構高そうなので、そちらも期待ですね。

 

ただ、現状では誰にでも使用可能というわけではなさそうです。

薬の説明書を読んでいる限りでは、頭部の50%以上の面積に円形脱毛があること。

また、6ヶ月以上生えてこないこと。

という条件が付いているようです。

もう一つ、飲み方から想定される問題として金額がそれなりに掛かることがあります。

自己負担3割の方で月に5万円弱は必要かもしれません。

もちろん量を減らす、間隔を開けるなどすれば金額は抑えられるかもしれませんが、

その分効果も落ちてしまう可能性はあります。

 

今回の治療薬はいくつか問題はありますが、円形脱毛の治療が一気に変わる可能性を秘めた薬剤だと考えています。

 

今後も情報が集まり次第こちらに掲載を進めて行きたいと思います。

ニキビ・ヘルペス+アトピー性皮膚炎=モイゼルト?

思春期のアトピー性皮膚炎の患者さんに対する薬の選択って結構難しいことがあります。

アトピー性皮膚炎の治療薬は基本的にニキビを悪化させてしまうからです。

感染症とアレルギーはオモテウラの関係なのでやむを得ないところがありますが、最近その図式が崩れてくました。

理由は研究の進歩。一体であり不可分と思われていた、感染症とアレルギーの関係が崩れてきたからです。

つまり、アレルギーは抑えるけれども感染症が悪化させないという薬が色々と出てきたのです。

 

すでに内服薬ではデュピクセントが発売されています。またそろそろミチーガも発売されますが、こちらも易感染性の副作用はありません。

塗り薬でもモイゼルトという薬が今年の6月から使用可能になりました。こちらもありがたいことに易感染性の副作用はありません。

 

つまり、思春期のアトピーに使ったときにニキビの悪化を防げるのではないか?

と考えることができるのです。

またヘルペスが頻繁にでるアトピー性皮膚炎の方にもよい治療法になるのではないかと考えています。

 

ただ、いかんせん新規発売の薬ですので、情報の蓄積がありません。

大事な皮膚炎の治療効果は読みきれないところもありますが、副作用の面では明らかなメリットのある塗り薬となっています。

 

ニキビも抑えつつアトピー性皮膚炎も抑えていきたい。

そんな過去には欲張りと思われていた希望も今後は当たり前の様に叶っていくのかもしれません。

 

モイゼルトを試してみたいという方は外来で一度声をかけてくださいね。

顔の長引く赤みに対する治療のお話

今回は顔の湿疹のお話についてです。

診察をしていると数年にわたり顔の湿疹が落ち着かないと受診される患者さんが来られます。

それ、「しゅさ」かもしれませんよ?

 

しゅさ。酒さとも書きますが、以外に悩まれている方も多いような印象があります。

特に思春期以降の初老期までの女性が多いのですが、

顔面特に頬部から鼻翼にかけて、また眉間部から鼻背、人中部にベッタリとした赤い湿疹がでてきます。

経過は長く、数年にわたりいろいろな治療を試されていることも多いようです。

しかしなかなか効果が無いというお話もよく耳にします。

 

原因ははっきりしないのが治療にも結びつかいところであり、厄介なところでもあります。

体質が関係しているとか、皮膚の表面の小さな環境とその菌のバランスの崩れも影響しているとか言われています。

あとは、皮膚の表面の炎症ですね。

 

現在当院では皮膚の炎症を抑えるための抗炎症剤と微小環境のバランスを整えるための抗真菌剤や抗生剤を併用して使用しています。

そこに最近新規の薬剤が使えるようになりました。ちょうど6月から使用可能ですね。

「ロゼックス」というお薬になります。

こちらはゲル状の外用薬で必要な部分に塗って頂く形になります。

成分としては一部の菌にのみ効果のある抗生剤のような薬剤になります。

また皮膚の表面の炎症のバランスを整えるとか・・・(詳しく話すと難しくなってしまうので)

当院では少しずつ処方を開始するようになっています。

 

以前から治りにくい、顔に湿疹がある方、「しゅさ」と診断され、もう少しガッチリと治療を行いたい方、一度皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか?

 

モイゼルト軟膏のアトピー性皮膚炎に対する処方を開始します

本日モイゼルト軟膏の販売が開始されました。

薬局にも納入されたとのことでもあり、処方を開始します。

 

モイゼルト軟膏はアトピー性皮膚炎に対する新規の塗り薬です。

特筆すべきは過去の他の塗り薬と異なり、感染症を起こしやすくする副作用がないこと。

したがってより安全に使用できる薬と考えています。

 

しかしまだ何分情報が足りていないので当初は少しずつ使用を開始することになりそうです。

現在の軟膏に追加して処方する感じになるのではないでしょうか?

副作用についてもプロトピックの刺激感のようなクセのあるものはありませんので、

そういった意味では使いやすいのですが、まだ炎症を抑える効果の強さが未知なんですよね。

 

というようにいくつかの小さな不明点はあるものの治療の選択肢が増えるのは

とても良いことではあります。

 

モイゼルト軟膏。今後に期待です。

またどの様にこの薬の特徴を生かしていけばよいのか、

当院での今年の課題になりそうです。

新型コロナで自宅療養中に薬が欲しくなったら

まず電話くださいね。

 

現在新型コロナ感染症の主な対象は小さな子達に移ってきた印象があります。

それに伴い問題になるのは家族全員が自宅療養に追い込まれること。

そこで薬がなくなった場合にどうすればいいのかお話をしてきましょう。

 

感染症にかかること自体はもはや誰でも起こりうるものです。

どれだけ対策を立てていてもかかることはありますし、

予防接種やマスクができない小さな子であればなおさらです。

なので、新型コロナに感染した事自体に罪悪感を持って頂く必要は一切ありません。

感染しました。自宅療養中です。ほしいけど取りに行けません。

と電話で言っていただければ大丈夫です。

 

 

そのときに取りうる方法は2つあります。

オンライン診療と電話診療です。

とういんはどちらも対応しています。

いずれも一長一短があります。

 

オンライン診療はテレビ電話システムを使用して診察を行う方法です。

当院ではアプリを使用していますので、そちらのインストールが必要です。

また問診票を書いていただくなどの一手間が増えます。

またアプリの使用量などの追加コストがかかってしまいます。

しかし、診察時に得られる情報量は多く、双方の確認がし易いメリットがあります。

電話は逆に情報量が少ないのですが、簡単に行うことができます。

しかし音声のみのやり取りですので、処方ミスなどのリスクはオンラインよりも高くなります。

 

いずれの方法でも薬局には処方箋をFAXで送信し、後日処方箋の紙を郵送する形になります。

あとは薬局の方で遠隔で対応してくれるのか、配達してくれるのかの話になりますので、

そちらは薬局の方とご確認ください。

 

このような社会情勢下でもありますので、期間限定ではありますが、以上のような対応を取っています。

薬が無くなりそうだけども受診できないという場合はこのような方法も検討してみてくださいね。

「2月の勝者」とアトピー性皮膚炎

2月の勝者というドラマ、ご存知ですか?

まだ見てはいないのですが、原作の漫画は読んでいました。

今は忙しくてフォローできていませんが・・・

舞台が吉祥寺なので、ニヨニヨしながら読んでいましたね。

この場所知っている!

 

さて受験についてあれこれ言うほどの知識はないのですが、わかっていることもあります。

それは

アトピー性皮膚炎の子の受験は大変

ということ。

 

実際に親しい人の話を聞いたこともありますし、患者さんからもたくさん見聞きしています。

ゆる受験が増えたといってもガチ受験している子も多いでしょうしね。

アトピー性皮膚炎のかゆみってかなり厄介なんですよね。

集中力を阻害してしまいますし、睡眠時間その他の時間も阻害されます。

また薬を塗る時間というハードルも課されてしまいます。

 

以前より治療をどうすべきか考えていたのですが、新薬の登場で一気に状況が

変わる可能性が出てきました。

内服JAK阻害薬です。

現在12歳から内服可能ですので、誕生日が過ぎた受験生にも使用可能です。

いくつか事前に検査が必要であり、内服処方開始までに少し時間がかかりますが、

内服開始すれば1日2日でかゆみは一気に改善します。

湿疹も当然良くなっていきますので、本人のストレスもきっと減るでしょうね。

集中力も増す可能性が高いですし、塗すぐりも減らせる可能性があります。

 

こうやって考えてみると今の時期には非常に良い薬のように見えますね。

お値段はどうしてもそれなりに掛かってしまいますが、保険診療ですので、

小児医療券も使用可能です。

また期間限定で初めてやめることも可能ですので、春までは頑張るという

使用方法もあるでしょう。

 

結構症状の強いアトピー性皮膚炎持ちの子で受験を考えている子については

少し考え見てもいいかもしれませんね。

もちろん中学受験だけではなく、高校受験、大学受験、就職活動いずれも

使ってみる価値はあるかもしれませんよ?

ぜひご検討ください。

 

中学生高校生向けののアトピー性皮膚炎の新規治療薬の効果がものすごく高い件について

今回は久しぶりに薬の話をしていきましょう。

今年に入って新規に使用可能になった薬剤に内服JAK阻害薬というものがあります。

 

詳細についてはメーカーさんのページを確認していただくとして

2021年8月25日プレスリリース

今回はその治療薬の効果のお話をしましょう。

 

 

現在内服可能な年齢は12歳からとなっております。

したがって誕生日を迎えた小学校6年生以上は対象となります。

もちろん中学生高校生も内服は可能ですね。

 

副作用は感染症の悪化のリスクが最もたかく問題になるでしょう。

特にコロナ第5波が猛威を奮っていたときにはなかなか提案しにくい薬剤でしたが、

これだけコロナの予防接種が進んだ状況では話が変わってきます。

 

また効果についても今までははっきりとしたことが言えなかったのですが、

実際に当院での処方ケースが増えてきたので結果についてお話ができるようになってきました。

 

まず、かゆみについてですが、こちらはものすごいものがあります。

当日もしくは翌日から一気に減少します。

 

皮膚の状態も非常に効果が高く、

2週間程度で赤みがだいぶ減ってきました。

かゆみに対する効果もあり、引っかき傷はほとんど無くなる状況です。

ただザラつきや皮膚の硬さといったテクスチャの変化はもう少し掛かりそうです。

 

本人の満足度も非常に高いのもすごく印象的ですね。

確かに今までの人生にずっとついてきた湿疹と痒みが数日でガラリと変わる訳ですからね。

逆に減量中断のときに抵抗されそうで心配です。

 

数年前からは15歳以上のアトピー性皮膚炎の治療は一気に変わりました。

これがことし12歳までハードルが下がった印象を受けます。

症状の強さによっては使うことができないこと、

事前に内科で検査を行う必要があること、

感染症への対抗力が下がるリスクが有ること

といくつか気をつけるべきポイントがありますが、

効果については当院でもしっかりと実証できたと考えています。

 

該当される方は検討してみても良いのではないでしょうか?

アトピー性皮膚炎の薬剤と感染症の副作用についてのお話

ここ数年で本当にいろいろな薬がアトピー性皮膚炎の治療に使われるようになりました。

副作用についても色々あるのですが、今まで常識と思われていた易感染性の副作用から

離れることのできる治療薬も出てきました。

 

今回は易感染性の副作用という観点から治療薬をまとめていきたいと思います。

 

>易感染性の副作用がある薬剤

・ステロイド(外用・内服・注射)

・シクロスポリン(内服)

・タクロリムス(外用)

・JAK阻害薬(外用・内服)

 

>易感染性の副作用のない薬剤

・デュピルマブ(注射)

・PDE4阻害薬(外用)

・抗アレルギー薬(内服)

 

となります。

以前はない薬剤が効果の弱い抗アレルギー剤内服以外にはない。

という状況でしたので、随分様変わりしたなあという印象を持っています。

 

選択肢が一気に増えましたので、上手に組み合わせながら治療を勧めていきたいですね。

2021年度後半もアトピーの新しい薬が出てくるようです

今日メーカーさんからメール頂いて呼んだ瞬間に変な声が出てしまったことは内緒です。

 

アトピー性皮膚炎の薬ですが、今年度上半期に飲み薬が2種類、

子供への適応拡大が塗り薬で1種類ありました。

下半期も色々あるようです。

現在入手した情報についてまとめてみます。

 

まず1種類目はファイザーさんから出てくるJAK阻害薬という種類の飲み薬です。

こちらのJAK阻害薬の内服は3剤目になります。

まだ入手できる情報が限られているのですが、すでに発売されている薬剤と同様の

効果・副作用・コストと考えられます。

使い分けについて考える必要がありそうですね。

 

もうひとつは大塚製薬さんからのPDE4阻害薬の塗り薬です。

PDE4阻害薬はすでに乾癬に対して飲み薬として使用されている薬剤で、

そちらは初期の副作用にクセはあるものの、非常に効果のある薬という

印象を持っています。

今回使用可能になるのは塗り薬ですので、その初期の副作用というのはなく、

喜ぶべきことに易感染性の副作用も見れないという情報もあります。

ただ、まだ効果についてはどのくらいの強さなのかはっきりしませんが、

副作用の少なさという面から処方しやすいかなとも思っています。

 

一つ注意すべきはまだ処方可能ではないということですね。

処方できるようになるまで情報を色々と集めて分析を行う必要がありそうです。

 

新しい情報ありましたら当ブログでもまた記事を書いていきますので、

興味のある方はご確認くださいね。