わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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デュピクセントの自己注射の準備に手間取るわけ

今回は前回のお話の少し裏話などをしていきましょう。

今回のテーマはなんでそんなに自己注射の準備が遅れるのか?です。

 

やっぱり一日でも早く自己注射を行いたいという方もおりますし、

そうすると当方の対応が遅く感じられるかもしれませんので、

その舞台裏についてお話をしていきましょう。

 

まず、自己注射の開始のアナウンスが遅くなっていた事。

もともと昨年から自己注射をいずれ導入するであろう話は聞かれていました。

しかし、可能になったのは今年の5月1日から。

 

何ということでしょう。この日はとにかく良くないのです。

改元のあれやこれやで今年の5月1日はお休みとなっています。

定休日をしっかりと休まなければいけないメーカーさんの対応は

全部休み明けからとなりました。

具体的には5月7日の火曜日。当院は8日の水曜日です。

メーカーさんは頑張ってくれまして最速のタイミングで資材提供を受けたのですが、

いかんせん、まず1週間のタイムラグが生じています。

まあ、こればっかりは仕方のないことなんですけどね。

改元と重なったのはタイミングが悪かったとしか言えません。

 

ついで、情報の提供開始と資材の提供開始のタイムラグ。

情報公開が5月に1日のために、資材の提供がその後となってしまいました。

正直なところを言えば、自己注射をできるようにする諸々の準備のためには

もっと早い段階から資材を提供いただき、スタッフの教育を始めることが

必要なのですが、ルールとして、開始前には資材の提供はできないとのこと。

 

最後にはスタッフ教育の話です。

当然はじめての手技ですから、スタッフもイチから勉強を行う必要があります。

それも、外来の合間を縫ってという時間で。

残業?コストの問題があります。

そのために教育に取ることのできる時間が非常に短いものがあります。

ありがたいことに外来の予約枠はほとんど一杯なのですが、

そのためにスタッフ教育の時間が取れないというジレンマに陥っています。

 

以上の理由から、自己注射の導入のための行動を行っているのですが、

どうしても解禁と同時に一気に進めることができません。

 

希望される方には申し訳ないのですが、もうしばらくお待ちいただけますよう

よろしくお願いいたします。

 

デュピクセントの自己注射の手順

デュピクセントの自己注射が5月に始まりました。

当院で指導開始したのは少し遅れて5月下旬からだったのですが、

現在では多くの方が自己注射に移行しています。

今回はその手順についてお話をしていきましょう。

 

デュピクセントの自己注射ですが、

開始前に2回の指導が必要になっています。

 

まず指導前の0回目。

意向確認を行います。

積極的に希望される方はそのまま指導の1回めを開始しますが、

中には検討中の方もいるでしょう。

自己注射できない理由にはさまざまあるかと思いますが、

その中でも実際の方法をイメージできないという方も多いかと思います。

そのような方には予めDVDを持ち帰っていただき、予習をしてもらうこともあります。

また、待合室でタブレットを使用して動画確認を行うこともあります。

以前に希望されなかった方についても随時指導は行っていますので、

気になる方は声をかけてください。

 

1回目の指導

まずは、実際の行動を確認するところから始まります。

手順をスタッフとマンツーマンで確認しながら行います。

それぞれの器材の使い方や注意すべきポイントなどを見ていきます。

指導時間は15分から30分をお考えください。

 

2回目の指導

2回目は実際に注射を自分の手で行ってもらいます。

(当然スタッフは脇について確認しています)

消毒、注射、止血まで説明を受けながら順次行います。

最後に指導経過についての確認リストにチェックを入れて終了となります。

指導時間は20分から30分程度とお考えください。

 

その次の外来受診時から処方箋をお渡しする形になります。

約1ヶ月自己注射開始まで指導開始から時間が必要になりますので、

ご注意ください。

 

当院では現在およそ50名の方にデュピクセントの注射を行っております。

その中でも半数以上の方は自己注射の指導中または処方箋交付中の方です。

初回注射から自己注射指導を開始、3回目から処方箋交付という方も

おります。

もしも重症のアトピー性皮膚炎でお悩みの方がおりましたら

一度受診くださいね。

デュピクセントの治療を開始する前に確認すべきこと

さて、今回もデュピクセントのお話です。

今回は投与前のお話です。

 

デュピクセントですが、アトピー性皮膚炎に対して高い効果を持ちますが、

それ故に使用できる方に細かな条件が設定されています。

その条件をクリアした方のみ治療を行えるということになっています。

 

ます施設側の条件です。

こちらはアトピー性皮膚炎の治療に精通している医師が条件となります。

・5年以上の皮膚科の研修

・6年以上の臨床経験。ただし3年以上はアトピー性皮膚炎を含むアレルギー診療の臨床経験

治療開始を検討できるのは十分な経験を積んだ皮膚科医もしくはアレルギー科医である必要があるわけです

 

次に患者さんの側の条件

・アトピー性皮膚炎と確定診断されていること

がまず最初に必要となります。

 

ついで

・アトピー性皮膚炎に対して適切な治療を6ヶ月以上行っていること

・塗り薬の副作用などにより、塗り薬の治療が行えないこと

が必要です。

つまり、まずしっかりと治療を行って下さいというメッセージです。

 

最後に症状が一定以上の程度であることの確認が必要です。

・全体的に湿疹の強さが強いこと。(IGAスコア3以上)

・それぞれの部分の湿疹の強さがある一定以上であること。(EASIスコア16もしくは頭頸部で2.4以上)

・広い範囲に湿疹病変があること。(BSA10%以上)

というように、いくつかの条件が課されています。

 

以上、いくつかの条件があり、そのすべてを満たす必要があります。

診察をして、症状を確認しないとわからない部分もありますが、

もしも治療を希望される方は一度ご相談下さい。

デュピクセントの治療を始めるには1日2日からがおすすめです

アトピー性皮膚炎の治療薬のデュピクセントですが

当院でも徐々に使用患者さんが増えてきました。

使用開始前に常に話題になるのが金銭の負担についてですが、

上手に治療を開始するとある程度金額を抑えられること、ご存知でした?

 

デュピクセントの治療は2週に1回です。

そして治療は初回に2本、2回目以降は毎回1本ずつです。

金額は自己負担額によって決まりますが、1本あたり2万5千円程度です。

 

つまり、

1本:2万5千円

2本:5万円(初回投与時)

3本:7万5千円

4本:10万円となります。

隔週投与なので、月末までの1ヶ月あたりの投与量は

初月で4本まで、それ以降は3本までとなります。

計算上はそうなります。

 

そこに医療保険システムのマジックが加わります。

具体的には高額療養費ですね。

こちらの金額は所得額により変動しますが、

多くの方が該当するのが8万円台です。

 

つまり、一月に4本以上になれば、その高額療養費が使えるので、

自己負担額をより少なくできる。

というわけです。

デュピクセント投与初月のみのマジックですが。

 

あとはカレンダーとにらめっこして予定を組んでいくのですが、

4本注射するためには隔週で3回の治療が必要です。

つまり、月初からのみ治療開始する必要があるのですが、

スケジュールの都合によってはときにマジックが適応できるときがあります。

もちろん医療施設のお休みなどもありますので、完全にカレンダー通りには行きませんが、

最近ですと

11月1日木曜日、2日金曜日

12月1日土曜日

2019年3月1日金曜日、2日土曜日

などとなっています。

 

治療をよりリーズナブルに受けたい方は、ぜひその日程に合わせてみても

良いかもしれませんね。

デュピクセントの治療は2019年6月1日からの開始がおすすめです

今月もデュピクセントのお話です。

 

5月は残念ながらゴールデンウイーク及び改元の影響のために

長期お休みがありましたので、デュピクセント導入に適した外来受診日が

ありませんでした。

 

しかし、6月もデュピクセントの導入に適した日がありますので、

ご案内いたします。

 

6月1日土曜日

 

に導入を行った場合、6月には3回、4本注射となります。

したがって多くの方は高額療養費に該当しますので、

自己負担の割合を比較的少なくしたまま治療を行うことができます。

 

つまり、注射薬1本あたりの自己負担額2万5千×4本

ということで月間の薬剤費10万円/月となるのですが、

高額療養費に該当しますので、それ以下の自己負担額で

治療を行うことができます。

 

治療間隔は2週間以上と厳密に決まっておりますので、

この日に始めると効果的かと思います。

 

最後に注意事項なのですが、

6月1日に限らず土曜日はかなり混雑をしております。

1週間以上前に予約が埋まることもありますので、

お早めにご予約をお取りくださいますよう

お願いいたします。

デュピクセントのペン型注射器が発売されるようです。

11月からとのことでした。

あ、金額は今までのとはほとんど変わりないようですよ。

 

デュピクセントの自己注射の注射器が変わるようです。

いままでは普通の注射器に安全装置がついたような形でしたが、

今後はペン型の製剤が出るようになります。

 

ちょうどエピペンのように

皮膚に強く押し当てると、シリンジが自動的に動作して、勝手に注入してくれるようです。

まあ、速度の設定はできませんので、ゆっくりと注射したいという方には不向きかもしれませんが、

難しい手順が必要なくなるので、簡単にはなります。

 

発売は11月頃を予定しているということで正式な日程はわかりません。

また、電子カルテでの対応が終了次第使用開始になるので、

発売開始即使用開始とはなりませんが、遅くとも年内には使用開始できるかと思います。

 

使用開始と前後して該当者にはアナウンスさせていただきます。

ぜひ検討してみてくださいね。

デュピクセントのシリンジが変わります

公式に情報が公開されました。

以前より問題点としてあった、デュピクセントの自己注射器のトラブルですが、

基本的には、注入を人力で行うということが問題でした。

 

今回発表されたのは自動で注入が行われる器材です。

ちょうど糖尿病などにも使用されるようなペン型の器材で、

ぶすっと刺して薬液の注入を行うところまでボタン一つで全自動で行ってくれます。

 

まあ、問題もありまして、注入速度を選べないようです。

つまり、注入速度が高いと、痛みになってしまうということで、

患者さんによっては非常にゆっくりと注入したりと、

注射器型では比較的自由に投与状況を決めることができました。

しかしペン型器材ではある一定の速度のみになります。

なので、人によっては痛みが強くなる可能性が否定できません。

 

ただ、選択肢が増えるのは確実に良いことです。

痛くないので、ゆっくりと自分で注射することもできますし、

怖いからボタン一つで全部済ませてしまう。

と選択することができますので。

 

今後当院にも製剤見本が入ってくると予想されます。

その製剤見本を確認して、

自動注入に変更しても構いません。

また自己注射指導の際にはどちらを希望するのかを選択してもらうことになります。

 

最後に注意点ですが、こちらは処方箋上は別の製品扱いになります。

受診し、処方箋を渡す際に変更することは可能ですが、

注射中に別の器材に変更することは不可能ですので、

ご注意ください。

デュピクセントの「在宅自己注射を推奨」に変更します(2020年2月)

当院のデュピクセント治療についてのスタンスです。

現在デュピクセントは在宅自己注射及び通院注射の双方が可能となっております。

 

今までは注射方法については「希望に応じる」というスタンスでしたが、

今後は注射方法について「在宅自己注射を推奨」という方針に変更することにしました。

通院注射を強く希望されない方は在宅で自己注射を行って頂く形になります。

 

理由は新型コロナウイルス感染症(以下Covid)です。

今後日本では患者数が急増することが予想されます。

普通に市中で感染しうる環境になることも推定されます。

 

そのためにアトピー性皮膚炎の注射を受けに医療機関を受診することですらリスクとなります。

交通機関を使用している中で、待合室の中で、もしかしたら医療関係者から

Covid感染を受けてしまう可能性についても検討を行うべき時期に来ております。

 

そのため、感染リスクを最小限に抑えうる方法としての

在宅自己注射について前向きに考えて頂く必要があると判断いたしました。

 

本当にありがたいことなのですが、デュピクセントは今までの内服治療、

つまり、ステロイド内服、シクロスポリン内服とは異なり、

体内の免疫力を低下させるリスクは少ないとされています。

せっかくそのような画期的な治療法が出てきて使用しているのに、

通院中にCovid感染の追加リスクを背負うことが果たして必要なのかどうか、

検討していただきたいと考えております。

 

そのため、当院では今後当分の間、デュピクセントの投与方法について

「在宅自己注射を推奨する」という方針で治療を行うことにいたしました。

現在通院注射を行ってる方にも上記について説明を行ったうえで

治療法について検討いただくことにいたします。

 

よろしくお願いいたします。

デュピクセントに伴う誤解とその回答(2019年12月)

デュピクセントを希望される患者さんが徐々に増えてきたことに伴い、

正解ではない知識を持って来院をされる方もおられます。

今回は投与前に思い込んでしまいがちな点について

投与した上での経験談からお話を進めていきたいと思います。

 

なお、あくまでも当院の見解であり、場合によっては公式の見解と異なる可能性もありますので、

公式の見解も併せて確認ください。

 

Q:デュピクセントを使えばアトピー性皮膚炎は治りますか?

A:残念ながら難しいかと思います。

あくまでもデュピクセントの治療は症状を減らすためのものとお考えください。

治癒はなかなか難しいと言うのが印象です。

実際に改善し投与を中断された方もおりますが、時間がたったあとに湿疹の悪化がありました。

したがって、デュピクセントを一定期間使用すればアトピーがなくなる。

デュピクセントさえ使用していれば他の治療はしなくてもよくなる。

というものではありません。

 

Q:デュピクセントを使えば他の治療はしなくてもいいですか?

A:こちらも難しいかと思います。

前項にも記載しましたが、外用や内服を行った上でのデュピクセント治療となります。

むしろ症状の改善が強い方はしっかりと他の治療を継続している方という印象を受けます。

症状をより減らしていきたい場合はデュピクセント以外の外用内服をしっかりと

行ったほうが経過は良くなるかと思います。

 

Q:症状が良くなったらデュピクセントはやめていいですか?

A:現状では中止はお薦めしておりません。

高額であり、最低限に留めたい気持ちはよく分かるのですが、

現状では中止の目安についてはよくわかっていないのが正直なところです。

2週間に1回を推奨はされていますが、投与間隔の延長は当院ではよく行われています。

症状の安定のためにも間隔の延長はOKですが、中止は推奨していません。

 

Q:調子の悪いときだけデュピクセントの注射をすればいいですか?

A:こちらも公式には推奨されてはいません。

症状の改善にはしばらくかかります。そのために悪化時のみの投与ではなく、

定期的に受信することが推奨されています。

また注射の効果は長くて1ヶ月程度でなくなってしまいますので、

その後掻爬により、湿疹が悪化した場合、前回の投与のメリットが全く

見られなくなってしまいます。

そのために定期的な接種が必要とされます。

 

Q:注射したらすぐに効いてきますか?

A:症状によって改善するまでの時間が変わります。

特に掻痒感、かゆみについては当日から改善したという方が多いようです。

しかし、赤み、かさかさ、皮膚のごわつきの順に改善するまでの時間が必要であり、

症状によっては半年以上経過して初めて改善したことがわかるという場合もあります。

すべての症状は注射直後に改善するわけではなく、さまざまな症状が時間の経過とともに

改善してくるものだとお考えください。

 

Q:感染症の副作用が心配です。

A:デュピクセントについては局所または全身性感染症のリスクはないとされています。

実際に注射している方に感染症が増加したという印象もありません。

ステロイド及びシクロスポリンといった免疫抑制剤の内服と比較し、

感染症のリスクを考慮しなくても良いというのはデュピクセントの特徴になります。

文献によると湿疹の改善により皮膚バリア機能が回復し、感染症のリスクはむしろ低下しています。

心配しなくても良さそうです。

 

Q:治療期間が長期になると効果が減りますか?

A:公的にはそのような情報はありません。

抗体そのものを減弱させる中和抗体は理論的に出現することは予想されますが、

出現率についてはまだはっきりとしたデータはありません。

また中和抗体の出現に伴う効果の低下についてのデータはありません。

したがって現時点では中和抗体の出現に伴う効果減弱はないと考えています。

その他の要因による効果減弱についても指摘はされておりません。

外来で診察をしている限りにおいても効果減弱については感じていません。

 

 

デュピクセントとコレクチムのコラボが素晴らしい件

最近の知見です。

 

デュピクセントが使用可能になり2年以上が経過し、

多くの方に治療を行うことができるようになりました。

デュピクセントは治療効果の非常に良い薬ではありますが、問題も無いわけではありません。

まずは金額。まあこれは時間とともに下がるのを待つしか無いです。

もう一つは目の周りの湿疹が治らないこと。

顔特に眉毛のあたり、目の周りのまぶたの縁はとにかく時間がかかります。

体の湿疹が徐々に良くなっているのに比べてもどかしいくらいの治癒効果の遅さです。

 

でも、コレクチムが使えつるようになって、顔の湿疹に塗ってもらったところ、

おやおや、結構調子いいですねえ。

という結果になってきました。

 

ステロイドはあまり塗りたくない場所だし、

プロトピックは刺激になるしということで治療の手段がなかなかなかったところに

コレクチムを使用することで治療の効果が出てきた。

 

本当にありがたいことです。

デュピクセントとコレクチムを上手に利用することで治療の幅が広がっていく。

新しいアトピー性皮膚炎の治療の幅が出てきました。