わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL0422-22-1232


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

医学の本

「王子様のくすり図鑑」 著:木村美紀 監修:石川洋一

うーん。どこかで見たことのある、絵柄だなあ。

と思ったのが第一印象でした。

ああ、ファイナルファンタジーとかで見ましたねえ。

ということで、幾つかのシリーズがありますが

その中でも絵柄が一番好みだったりします。

 

小学校低学年から高学年くらいが対象でしょうか。

薬の説明というよりもどのような効き方をしているのかの説明になっています。

 

でも、無味乾燥な説明書よりはこっちの方が読んでいて楽しいですよね。

 

ということで待合室に置いてありますので、

興味の有る方は手に取って眺めてみてはいかがでしょうか?

 

「疾病と世界史」

疫病と世界史 上 (中公文庫 マ 10-1)

 

「疾病と世界史」

著:ウィリアム・H・マクニール

 

高校時代、世界史は私には合いませんでした。

その当時はなんとなくだったのですが、

最近になってその理由がおぼろげながらわかってきました。

つまり、歴史というものは、地理、気象その他の分野のバックグラウンドがわかって初めて理解できるのです。

当然、言語や風習、文化もわからない状態では単語の羅列になってしまいます。

日本史であれば、地理や気象条件は大きく変化することがないと直感的にわかるのですが、世界史ではそうも行かないですよね。

(でも、気象については気象歴史学という、真面目な学問になっています。地理についても条件が変わっていますので、逆に注意が必要ですが)

 

いままで世界史では政治、経済の話を中心に語られることが多い状態でした。

しかし、最近は気象条件も合わさり議論になっているようです。

例えば、飢饉と火山の噴火や太陽光の強さ、寒冷化などは有名でしょうか。

 

この本はさらに「病原微生物」による伝染病という軸を中心に世界史を語っています。

つまり、歴史にたびたび出てくる伝染病がいかにその当時の社会に影響を与えたのか。

という話が中心となります。

 

読んでみて、ひとつ言えること。

それは社会の動乱が伝染病を呼び、伝染病が社会の動乱を呼んできた

という話です。

 

古代ローマ帝国を始めとして幾つもの強大な国家が伝染病のために滅んだ

という非常に興味深い仮説が示されています。

医学に携わる人間として、非常に感銘を受けた一冊でした。

 

日本ではどうだったのでしょうか。今度時間がある時に調べてみましょうかねえ。

「週刊ダイヤモンド2013/8/31 人気医療の罠」

週刊 ダイヤモンド 2013年 8/31号 [雑誌]

 

本屋さんでタイトルを見た瞬間につかみとり、レジに持って行きました。

 

乾燥は一言で言うと、

「よく言った!」

です。

 

医療保険の効かない治療法は正直、玉石混交です。

医療情報の非対称性(患者さんとお医者さんが持っている情報の量と質があまりにもちがう)が

この問題を難しくしています。

また、インターネットで更に混乱に拍車がかかりました。

 

一般に「効いた」体験談はたくさんあります。しかし、「効かなかった」体験談はそれよりも

目立ちません。だって、当たり前ですよね。嬉しくないですし。

また、インターネットでは華のない情報はあまり書かれることはありませんので、

実際の効果よりも、ネットの方が華々しく見えてしまうのです。

(インターネットの宣伝の問題もありますが、これはまた別の時に。)

また、反証がされていても、それが目立たなかったり、よくわからなかったりするので、

霞んでしまうわけですね。

 

今回の特集では、医療者側、医者側の事情に踏み込んで、

解説がなされています。

自費の治療はたくさんありますが、受ける前に一度熟読することをおすすめします。

 

この話については、いろいろと書きたいこともあるので、今後、詳しく話をしたいと思います。

 

 

最後にいま流行りのTPPについても一つ。

混合診療という言葉があります。

健康保険の効く治療と効かない治療を同じ病気に対して、同一日に、同じ医療機関で行うことが出来る方法です。

 

もしも、混合診療が許可されたらどうなるのか?

自費診療の中には質の悪いものもたくさんあります。

健康保険の代わりにそのような自費診療をすすめることになると、どうなるでしょう?

患者さんは高いお金を支払い、(相対的に)効果のない治療法を行うことになるかもしれません。

儲かるのは、(その効果のない治療法を進めた)医師と関連会社のみということになりませんか?

・・・このようなことを考えると、単純に混合診療に賛成することが出来ないのです。

「マンガでわかる 生化学」

マンガでわかる生化学

 

マンガでわかる生化学

武村政春 著

 

エビデンスレベル:総論・概論

 

マンガも馬鹿にしたものではありません。

最初の感想は「大学1年生の時に読んでいれば・・・」でした。

医学生も、生化学を知る最初の取っ掛かりには非常に最適です。

この本の内容を理解した上で難しい本に進んでいけば、より良く生化学を理解できるのでは無いでしょうか。

 

生化学とは、聞きなれない学問ですが、

主に、糖、タンパク質、脂質それに核酸といった生体内に必要とされる物質に特化した化学です。

人間を対象とする職業の人は必ず知っておかなければいけません。

また、作内でも触れられていましたが、「ダイエット」や「美容」についても非常に重要な学問です。

先に生体内と書きましたが、これは誰にでも当てはまる話なのです。

つまり、人間は全員当てはまる話。病気のない人もね。

自分の体の中でどのような反応が今起きているのかを知ることは自分を知ることにつながります。

 

また、現在のダイエット、美容についての情報量の多さについては目を瞠るものがありますが、

その質についてはどうでしょう?

それぞれの項目についてはしっかりとしたものはありますが、結局のところ、それは各論にとどまります。

このタンパク質が……この脂質が……このビタミンが……この物質が……この……

これは一つの風潮なので仕方ない所もありますが、それでは全体はどうなっているの?

という総論に当たる部分の知識がすっぽりと抜け落ちているところも否定出来ません。

 

現在、ダイエット、美容についての溢れる情報をより詳しく知るためにも、

人間の体のなかでどのような化学反応が起きているのかを知る。その総論、入門編としては

非常に役に立つのではないでしょうか。

また、昔習ったよ。という人にも復習や再確認という意味でも有用ではないでしょうか。

 

ちなみに、私達が医学部一年生になった時に読んだテキストです。

RPGで言うところのいきなりラスボスのようなものでした・・・

細胞の分子生物学

 

私が読んだのは第3版ですが、読み応えあります。

少なくとも子の本をすべて知っていれば、分子生物学はだいぶ理解出来ます。

【専門家】2月23日講演会の参考文献

注:このエントリーは専門家の方を対象にしております。

 

 

講演会に参加された皆様、お疲れ様でした。

私の拙い講演を聞いていただきありがとうございます。

 

今回の講演会の参考文献を挙げさせて頂きます。

今後の診療の参考になればと思います。

 

もともと皮膚科医が対象とする子は成長・発達が正常な子が多いです。

そのため、「正常な」発達を理解する必要があると考えます。

特に小児の発達の専門家ではありませんので、多い写真と簡便な説明が

なされている書籍を紹介いたします。

 

「正常発達」

正常発達―脳性まひ治療への応用

脳性まひの子の治療を行うためには正常の発達を知る必要があります。

長期療養中の脳性麻痺の子を診察する機会がある方にはぜひ読んで貰いたいです。

なぜ、彼らはあのような反応をするのか?その一端が理解できると思います。

 

「小児生理学」

新版 小児生理学

実は、大学時代は生理学はあまり得意ではありませんでした。

今回、勉強のために買ってみましたが、学生時代に比べ、はるかに面白く読めました。

多分学生時代には生理学は早すぎたのでしょうね。

基礎的な部分も理解することで今後の診療の役に立てると思います。

成長発達の項以外でも、栄養・感覚・外分泌の項は参考になると思います。

 

「写真で見る乳児の運動発達」

写真でみる乳児の運動発達―生後10日から12カ月まで

豊富な写真と詳しい説明がそれぞれの月齢ごとに記載されています。

ベッドサイドでの赤ちゃんの観察を再度体系的に確認するには調度良い一冊だと思います。

ぜひ日本人版も作ってほしいものです。

 

以上3冊、参考にさせていただいた書籍です。

皮膚科の書籍は省略させて頂きました。

 

赤ちゃんの診察になれるためには数多く行うことが必要です。

その中で見えてくるコツのようなものがありますから。

しかし、時に系統だった質のよい資料に当たることにより、

その理解が更に深まると考えています。

 

今回の講演で間違い等ご指摘のある方はメールをいただけると嬉しいです。

間違いの一切は私、野崎誠の責任です。

また、こんなよい本ありました。など情報ありましたらコメントやメールをいただけると嬉しいです。

 

今後もよろしくお願い致します。

「脳には妙なクセがある」

脳には妙なクセがある

 

著者は現役の薬剤師さんです。

もっとも研究を中心に行なっている方ですが。

この本は脳の研究について、最新の知見をわかりやすく噛み砕いて教えてくれるものです。

巻末の参考文献の多さといったら…

 

人間は、進化の果てに出現しました。

同様に人間の脳も進化の結果生まれたものです。

そのため、その他の動物と非常に似通った反応をすることもあります。

逆に、「自分で考えて行った」ものも実は自動的な脳内の反応を反映したに過ぎないこともあるのです。

 

この本では脳が本来持っている偏り「バイアス」について詳しく説明しています。

つまり、人間という存在が元から持っている偏りについて明快に解説されているわけです。

この事実を受け入れるのは結構不愉快なものですが、事実を事実として受け入れた上で、

どのように生きていくのかを考えてみてもいいのかもしれません。

 

追記1

これらの現象の大くは、まだ理由や機序の不明なものも多く含まれています。

あくまでも「その傾向がある」ということしか示されていません。

「方向性」のみであり、「明確な事実」と言いにくい部分があることも確かです。

そこだけは、忘れないようにしないといけませんね。