わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

薬の話

円形脱毛症の飲み薬を実際に始めてみてのお話

今回は6月に少しだけお話をした円形脱毛症の飲み薬についての続編になります。

 

現在円形脱毛症の方でJAK阻害薬の内服を開始している方が数名おられます。

またアトピー性皮膚炎に円形脱毛症を合併したたために、アトピーの治療薬としてJAK阻害薬を内服している方も数名おられます。

今回はその経過についてのお話です。

 

現在日本では円形脱毛症に対してオルミエントというJAK阻害薬の内服が認められています。

ただし、内服を開始するためには条件があり、

・頭部の面積の50%以上に円形脱毛症があること

・半年以上の脱毛期間があること

をそれぞれ満たす必要があります。

つまり重症の円形脱毛症の方であることが前提条件となっております。

 

また、アトピー性皮膚炎についてもオルミエントは内服可能であり、

そして円形脱毛症を合併することはアトピー性皮膚炎では稀ではありません。

つまりアトピー性皮膚炎治療中の患者さんに円形脱毛症が合併する場合、

オルミエントを飲んで一緒に円形脱毛症の治療を行うことも可能ではあります。

こちらはアトピーのために飲んでいるので、円形脱毛症の面積や脱毛期間は関係ありません。

 

以上の2つのパターンの円形脱毛症の患者さんがJAK阻害薬を飲んでいるのですが、

やはり前者に比べて後者の発毛状況の方が良いようです。

本当にどんどん生えてくるというのは正直な印象ですね。

あっという間に消えてなくなってしまう患者さんが多い印象をうけます。

円形脱毛症がなくなって、アトピーの治療を別の薬剤に変更したくても

同意してくれないくらいの満足度があります。

 

逆に新規適応内服開始となった円形脱毛症については長期戦の覚悟が必要なようです。

どんどん生えてくるという印象はあまりなく、そろりそろりと出てくる印象ですね。

数週間をかけて少しずつ生えてくるという印象を受けます。

 

こちらについては薬剤内服前から長期戦の覚悟を持って治療を始める必要がありそうです。

説明書にも、内服開始後36週間程度は継続して様子を見ることとありますが、

まさにその通り、変化が目に見えるようになるまでには時間がかかりそうです。

そこをいかにして治療意欲を保ち続けるかというところがポイントになりそうです。

 

ゆっくりじっくりと治療を進めていく必要がありそうです。

あとはより早い時期から、より面積の小さい時期から治療を開始できるようになるといいのですが。

 

みずいぼ(伝染性軟属腫)の治験ご案内

みずいぼ(伝染性軟属腫)の治験ご案内

〇みずいぼとは
みずいぼは伝染性軟属腫という皮膚の感染症によるもので、
直径1~4mmの肌色のぶつぶつした小さな盛り上がりができます。
通常は痛みはないですが、かゆみや刺激があったり、はれがあったりします。
触ったり、掻いたりすることにより広がったり、痕が残ることがあります。
また、人から人へ容易に広がり、他の人と共有する物から感染することもあります。
ほとんどは自然に治りますが、1、2年後も残ることがあります。

〇治験とは
治験とは、患者さまにご協力頂き、新しいお薬が国で認められ、世の中に出されるために、
そのお薬の有効性・安全性などを調査し確認する試験のことです。
治験は、すべて厚生労働省に届出が行われています。

【治験にご参加いただける方】
◆2歳以上の方
◆5個以上の水いぼがある方
◆3週間に1回の頻度で通院できる方
※治験参加期間は、最短でおよそ3か月、最大でおよそ6か月です
※上記以外にも参加条件があり、ご参加いただけない場合があります。
詳細は下記までお問い合わせ下さい。

わかばひふ科クリニック 連絡先:0422-22-1232

アトピー性皮膚炎内服治療薬の比較(2022年8月版)

アトピー性皮膚炎内服・注射薬の比較2022年8月版

アトピー性皮膚炎内服・注射薬の比較2022年8月版

 

先のブログに記載のとおり、8月から新規アトピー性皮膚炎の注射剤が開始になりました。

種類も増え、それぞれの特徴も出てきましたので簡単にまとめてみました。

院内で患者さんに配布用の資料ですので、一部文面を省略している部分もあります。

興味のある方はそれぞれのメーカーのWebを見て情報を入手してみてください。

また、当院では外来にて随時相談を行っております。

治療を希望される方は一度外来を受診の上、治療法を検討してみてはいかがでしょうか?

アトピー性皮膚炎の治療選択肢が増えます(2022年8月)

2022年8月8日、アトピー性皮膚炎の治療選択肢がまた一つ増えることになりました。

それに伴い対応患者さんも増えることになります。

 

8月より使用開始になる薬剤は「ミチーガ」といいます。

この薬の一番の特徴はかゆみそのものを抑えること。

湿疹を抑えるのではないというのがポイントです。

またもう一つのメリットは対応患者さんの幅が広がったこと。

かゆみ止めを飲んでもステロイドなどの塗り薬を塗っても効果がないことという

条件付きですが、使用できる湿疹の範囲や強さが

EASI16から10まで緩和されています。

今まで症状は強くないのでダメと言われていた患者さんでも使用可能になったわけですね。

(EASIとは全身の湿疹の強さをいくつかの症状・部位別に分けてスコアを算出し、

全身の強さを表したものです。)

 

しかし問題も無いわけではなく・・・

かゆみを止める薬ですので、湿疹を直接止めるわけではありません。

今までの内服・注射薬に比べて治療効果は少し落ちるというデータがあります。

したがって現在内服・注射薬を使っている人に取ってはメリットはあまりないかもしれません。

また現状ではお家に持ち帰り、自分で注射ができないので通院を続ける必要があります。

(といっても月1回のペースですが)

 

ある程度の欠点は見られますが、完璧なおくすりなど存在しません。

少なくとも今まで使えなかった人に効果の高い薬が届くというその1点だけでも

有効な薬剤ではないかと考えています。

 

すでに当院では使用を決定しておりますし、治療開始を希望する患者さんもおられます。

当日すぐに注射を行うことは難しいですが、数日で薬剤は準備可能な状態になっています。

もしも治療を希望されてる方がおりましたら一度外来でご相談くださいね。

脇汗の塗り薬が好評です(ラピフォートワイプ・エクロックゲル)

昨年に発売されたエクロックゲル、
今年にはラピフォートワイプが発売され、
腋の多汗症に対しての治療が始まりました。

以前の塩化アルミニウムに比べての評価は皆さん良いようです。

純粋な発汗量(満足するかは別として)は明らかに減少傾向あり。
また、満足度も結構高い印象を受けています。

 

実際にうちの娘(臨床試験年齢以上)でも使ってもらったのですが、
明らかに汗の出方は違うというコメントでした。

あと、意外だったのは手汗にも効果が出たという話です。

 

つまり、薬は腋の下に塗るのでその部分には比較的高い濃度の薬剤が回ります。
その薬剤は血液に入り、手の汗にも影響をしたと考えることができます。

まあ、手汗についてはおまけのような作用ではありますが、
これはこれでありがたい話ではあります。

 

ただし、気をつけてほしいことがあります。
手には塗らないこと。

こちら、手に塗ってしまうと、手が顔に触れたときに顔の皮膚に薬がくっつきます。
そうすると目や口についての副作用が出てしまうことがあるんですね。

 

なので、お約束。腋の下のみに薬は塗ってくださいね。

 

○○はじめました!

暑い日が続きますが、このフレーズの○○には何を皆さん予想されるでしょうか。

冷やし中華?
かき氷?

今日は新薬のお話です。

通常皆様が処方されているお薬は、厚生労働省により薬の効果と安全性を審査され、医薬品の価格が決められたお薬です。

製薬会社が薬を開発するのに10〜20年かかると言われており、やっとできた薬を厚労省に申請して承認されるのにさらに約1年かかります。

やっと薬価が決まり、発売日が決定しても、実際にはなかなか処方してもらうことができません。

なぜでしょう。

病院にはさまざまな種類があり、誰もが知るような大学病院や大病院から、町の開業医までさまざまです。

入院施設をもつような大きな病院は、診療科もたくさんあり、医師もたくさん所属しています。
そこで処方されるお薬の種類は膨大です。

現在保険で処方可能なお薬は1万4000種類ほどありますが、さすがにそれらすべてから選ぶには多すぎるので、あらかじめ各病院で処方できる薬を選んでおきます。これを採用薬といいます。

スーパーによって、置いてあるメーカーや商品が違うのと同じですね。

逆に言えば、採用されなければ処方してもらうことができないのです。

大きな病院では、新しく出た薬を採用してもらう場合、各病院の決まりに従って、1〜2ヶ月に1回の委員会に申請して認められる必要がありますが、この申請前にも薬剤師によるヒアリングがあったり、医師への説明会があったりと、とにかく時間がかかるのです。

こうしたプロセスを経てやっと処方可能となるので、実際にはなかなか新しい薬はもらえないことが多くなってしまいます。

街の開業医の場合は、こうした過程がないため、医師の方針一つで、すぐに処方が開始できるという小回りの良さがあります。

大学病院での勤務時に、こうした時間差を、薬剤師として何度も目にしました。
新規入院患者さんの持ち込み薬が、院内で用意できないことがあったのです。

当院では、よいお薬はなるべく早く患者さんのお手元に届けたいので、医師、薬剤師、看護師、医療事務すべてが参加した院内での説明会や勉強会をした上で、薬価収載からすみやかに処方することを心がけております。

最近だと6月に収載されたアトピー性皮膚炎のお薬を同月より処方開始しております。
すでに、そのお薬で症状が良くなった患者様も出ています。
そうした経過を見ると、本当に嬉しいです。

患者さんと一緒に病気と闘うために、少しでも武器(薬)の種類は多い方がいいので、もし気になる新薬がありましたら、ご相談くださいね。

円形脱毛症の飲み薬が使えるようになるようです

本日ほやほやのニュースです。

 

現在アトピー性皮膚炎に使用されている「オルミエント」という飲み薬が

円形脱毛症にも使えることになりました。

今後の情報を確認していく必要がありますが、処方可能になりましたら当院でも積極的に処方を行う予定にしています。

 

円形脱毛に効果が有るということは実は2.3年前から知ってはいました。

治験というテスト段階の結果をいくつも目にしていることや治験に参加した先生からの印象という言葉を色々と聞いていましたので、非常に期待していました。

また、昨年からアトピー性皮膚炎に使用できるようになりましたが、円形脱毛症を合併したアトピー性皮膚炎の患者さんがこの薬を飲んで、一気に髪の毛が出るのを見てました。

 

なので、今回正式に使用可能になったことは非常に嬉しく思っています。

効果も今までの印象では結構高そうなので、そちらも期待ですね。

 

ただ、現状では誰にでも使用可能というわけではなさそうです。

薬の説明書を読んでいる限りでは、頭部の50%以上の面積に円形脱毛があること。

また、6ヶ月以上生えてこないこと。

という条件が付いているようです。

もう一つ、飲み方から想定される問題として金額がそれなりに掛かることがあります。

自己負担3割の方で月に5万円弱は必要かもしれません。

もちろん量を減らす、間隔を開けるなどすれば金額は抑えられるかもしれませんが、

その分効果も落ちてしまう可能性はあります。

 

今回の治療薬はいくつか問題はありますが、円形脱毛の治療が一気に変わる可能性を秘めた薬剤だと考えています。

 

今後も情報が集まり次第こちらに掲載を進めて行きたいと思います。

ニキビ・ヘルペス+アトピー性皮膚炎=モイゼルト?

思春期のアトピー性皮膚炎の患者さんに対する薬の選択って結構難しいことがあります。

アトピー性皮膚炎の治療薬は基本的にニキビを悪化させてしまうからです。

感染症とアレルギーはオモテウラの関係なのでやむを得ないところがありますが、最近その図式が崩れてくました。

理由は研究の進歩。一体であり不可分と思われていた、感染症とアレルギーの関係が崩れてきたからです。

つまり、アレルギーは抑えるけれども感染症が悪化させないという薬が色々と出てきたのです。

 

すでに内服薬ではデュピクセントが発売されています。またそろそろミチーガも発売されますが、こちらも易感染性の副作用はありません。

塗り薬でもモイゼルトという薬が今年の6月から使用可能になりました。こちらもありがたいことに易感染性の副作用はありません。

 

つまり、思春期のアトピーに使ったときにニキビの悪化を防げるのではないか?

と考えることができるのです。

またヘルペスが頻繁にでるアトピー性皮膚炎の方にもよい治療法になるのではないかと考えています。

 

ただ、いかんせん新規発売の薬ですので、情報の蓄積がありません。

大事な皮膚炎の治療効果は読みきれないところもありますが、副作用の面では明らかなメリットのある塗り薬となっています。

 

ニキビも抑えつつアトピー性皮膚炎も抑えていきたい。

そんな過去には欲張りと思われていた希望も今後は当たり前の様に叶っていくのかもしれません。

 

モイゼルトを試してみたいという方は外来で一度声をかけてくださいね。

顔の長引く赤みに対する治療のお話

今回は顔の湿疹のお話についてです。

診察をしていると数年にわたり顔の湿疹が落ち着かないと受診される患者さんが来られます。

それ、「しゅさ」かもしれませんよ?

 

しゅさ。酒さとも書きますが、以外に悩まれている方も多いような印象があります。

特に思春期以降の初老期までの女性が多いのですが、

顔面特に頬部から鼻翼にかけて、また眉間部から鼻背、人中部にベッタリとした赤い湿疹がでてきます。

経過は長く、数年にわたりいろいろな治療を試されていることも多いようです。

しかしなかなか効果が無いというお話もよく耳にします。

 

原因ははっきりしないのが治療にも結びつかいところであり、厄介なところでもあります。

体質が関係しているとか、皮膚の表面の小さな環境とその菌のバランスの崩れも影響しているとか言われています。

あとは、皮膚の表面の炎症ですね。

 

現在当院では皮膚の炎症を抑えるための抗炎症剤と微小環境のバランスを整えるための抗真菌剤や抗生剤を併用して使用しています。

そこに最近新規の薬剤が使えるようになりました。ちょうど6月から使用可能ですね。

「ロゼックス」というお薬になります。

こちらはゲル状の外用薬で必要な部分に塗って頂く形になります。

成分としては一部の菌にのみ効果のある抗生剤のような薬剤になります。

また皮膚の表面の炎症のバランスを整えるとか・・・(詳しく話すと難しくなってしまうので)

当院では少しずつ処方を開始するようになっています。

 

以前から治りにくい、顔に湿疹がある方、「しゅさ」と診断され、もう少しガッチリと治療を行いたい方、一度皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか?

 

モイゼルト軟膏のアトピー性皮膚炎に対する処方を開始します

本日モイゼルト軟膏の販売が開始されました。

薬局にも納入されたとのことでもあり、処方を開始します。

 

モイゼルト軟膏はアトピー性皮膚炎に対する新規の塗り薬です。

特筆すべきは過去の他の塗り薬と異なり、感染症を起こしやすくする副作用がないこと。

したがってより安全に使用できる薬と考えています。

 

しかしまだ何分情報が足りていないので当初は少しずつ使用を開始することになりそうです。

現在の軟膏に追加して処方する感じになるのではないでしょうか?

副作用についてもプロトピックの刺激感のようなクセのあるものはありませんので、

そういった意味では使いやすいのですが、まだ炎症を抑える効果の強さが未知なんですよね。

 

というようにいくつかの小さな不明点はあるものの治療の選択肢が増えるのは

とても良いことではあります。

 

モイゼルト軟膏。今後に期待です。

またどの様にこの薬の特徴を生かしていけばよいのか、

当院での今年の課題になりそうです。