わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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わかばひふ科クリニック院長野崎誠(皮膚科医)及びスタッフのブログです。

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2017/3/14
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2023/1/3
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デュピクセントのシリンジが変わります

公式に情報が公開されました。

以前より問題点としてあった、デュピクセントの自己注射器のトラブルですが、

基本的には、注入を人力で行うということが問題でした。

 

今回発表されたのは自動で注入が行われる器材です。

ちょうど糖尿病などにも使用されるようなペン型の器材で、

ぶすっと刺して薬液の注入を行うところまでボタン一つで全自動で行ってくれます。

 

まあ、問題もありまして、注入速度を選べないようです。

つまり、注入速度が高いと、痛みになってしまうということで、

患者さんによっては非常にゆっくりと注入したりと、

注射器型では比較的自由に投与状況を決めることができました。

しかしペン型器材ではある一定の速度のみになります。

なので、人によっては痛みが強くなる可能性が否定できません。

 

ただ、選択肢が増えるのは確実に良いことです。

痛くないので、ゆっくりと自分で注射することもできますし、

怖いからボタン一つで全部済ませてしまう。

と選択することができますので。

 

今後当院にも製剤見本が入ってくると予想されます。

その製剤見本を確認して、

自動注入に変更しても構いません。

また自己注射指導の際にはどちらを希望するのかを選択してもらうことになります。

 

最後に注意点ですが、こちらは処方箋上は別の製品扱いになります。

受診し、処方箋を渡す際に変更することは可能ですが、

注射中に別の器材に変更することは不可能ですので、

ご注意ください。

コロナ禍で増えた病気減った病気 3:毛虫が増えすぎてヤバい話

前回、この記事を書いたあとに、なにか忘れているなあとずっと思っていたのですが、

思い出しました。毛虫の話していませんでした。

 

今年、毛虫、むちゃくちゃ多いです。

まあ、予想していましたが。

 

 

というのも、今年の社会状況のせいです。

毛虫は一般的に春と秋に発生する病気です。

毛虫の毛により、点々とした発疹が体の一部を中心に散在するのが特徴です。

 

なんで、春と秋か?

毛虫の生体として、その時期には幼虫になっているからです。

蛹や成体(蛾)にも毛はあるのですが、本数は毛虫の時期が極端に多いのです。

なので、毛虫が多い時期に発生する。

 

では今年はなぜ大量に発生したのか?

それは毛虫が大量に生き残ったからです。それはなぜか?

今年の春に誰も駆除できなかったからなのです。

 

つまり、毛虫が発生するとそれがその土地の管理者に情報として渡ります。

その情報を元に管理者が駆除を行うのですが、

今年の春はだれも外出しませんでした。

そのために毛虫が駆除されることなく大量に生き延びてしまい、卵を植え付けました。

その卵が孵化し、秋の毛虫の大発生につながっているというわけです。

 

なので、春の段階から予想はできたのです。

毛虫患者さんの多さと外出する人の少なさと。

それで、ヤバ。と思っていたのでした。

残念なことに予想はあたってしまいましたが。

 

どうも都市の中の生態系は人間が社会活動を行うことが前提で組まれているようです。

なので今回の騒ぎで人間の社会生活が変化したために生態系も変化した。

この様に考えても良さそうですね。

 

コロナ禍で増えた病気減った病気 2:減った病気編

今回は先の記事とは逆に減った病気について考えてみましょう。

 

いくつかの病気が明らかに減少したように思えますね。

 

まずは、とびひ。

正式名称は伝染性膿痂疹といいますが、細菌特に黄色ブドウ球菌の感染により発生します。

今年は8月末まではとにかく少なかったです。

悪化する要因としては汗や湿度などがありますが、今年の夏に関しては

湿度は例年同様か、むしろ初夏の時期は湿度は高かった印象があります。

となると発生が少なかった要因は社会的なものに求めることができます。

特に屋外活動にあるのかもしれません。

まず登校頻度、登校時間が例年に比べ半分から4分の1まで減少しました。

それが多湿空間の滞在時間を減らしたことが考えられます。

次に放課後活動の低下もあるでしょう。学童についても例年以下の活動量でしたし、

7月から8月のピリピリとした社会環境の中の活動も低調だった可能性があります。

そのために感染症も少なくなった可能性があります。

また消毒及び石鹸使用の増加は指先の細菌数を確実に押し下げているでしょうし、

自宅にいる時間が増えたので、シャワーの回数が増えた可能性があります。

 

といろいろと要因を考えてみましたが、季節的な悪化要因よりも

社会的な抑制要因のほうが遥かに強かったためにとびひの発生は明らかに少なかった

印象を受けます。

 

とびひについては逆に8月末から9月にかけて一気に発生しました。

原因は多雨=湿度の上昇。台風9号10号は関東に直撃はしませんでしたが、

大雨をもたらしました。そのために湿度の上昇をもたらしました。

また例年と異なるのは社会状況です。

夏休みは早期に終了し、学校活動が始まりました。

社会的な活動抑制も8月上旬に比べると格段に弱くなり、

例年比ややマイナス程度まで戻ってきました。

それがとびひの増加をきたしたと考えることができます。

 

次にアトピー性皮膚炎です。

アトピーについては6月から7月くらいまで明らかに状況が良かったようです。

コントロールがうまく行っていた印象を受けます。

こちらも社会的なものかと考えることができます。

まず学校つまりスキンケアが最も上手に運べない環境にいる時間が短かった。

逆に自宅にいる時間が伸びたために、薬を塗ることやシャワーを浴びるなどの

スキンケアに時間をとることができた。ということがあるでしょう。

そのためにコントロールが良かった可能性があります。

もう一つの可能性は感染症です。

感染症そのものがアトピー性皮膚炎を悪化させるかははっきりしていませんが、

感染症に伴い汗が増えることやシャワーなどのスキンケアの状況が悪化するために

間接的にアトピーが悪化することはときに見られます。

そしてこの期間、感染症の発生数は非常に低かった。

そのために悪化する人が少なかった可能性も考えられるのです。

まあ、季節的にも春から夏というそもそもアトピーの落ち着く期間であったことも

影響しているのかもしれませんが。

 

今後新型コロナウイルス感染症がどの様に推移していくかはわかりません。

その社会状況がどの様に変化するかも全く読めませんが、

今後もそれに伴い増える病気や減る病気が出てくるのかもしれません。

 

コロナ禍で増えた病気減った病気 1:増えた病気編

考えてみると東京に緊急事態宣言が発令されてから半年が経過したんですよね。

それ以前と以後ではあまりにも変化したものが多かったような気がします。

今回は皮膚科の外来をしていて増えた病気減った病気について考えてみたいと思います。

明らかなデータを出してみたいですね。

 

まず前提条件としての来院された患者さんの数についてまとめておきます。

3月の緊急事態宣言発令後、受診される患者さんの数は徐々に減少してきました。

4月が最も下がったときで概ね半減。

3月5月は4分の1ほどの減少でした。

6月以降は概ね昨年と同等程度かとおもいます。

そしてこの傾向は現在も継続しているように思えます。

 

 

まずコロナ禍の中で増えた病気について。

一番増えたと感じたのは帯状疱疹でした。

特に5月から7月・8月にかけて多かった印象があります。

9月に入ってからは大分落ち着いた印象がありますが。

 

原因はシンプルにストレス。

最近はストレスが掛かるのが原因というよりはストレスの変動が原因と言われています。

つまり、ストレスが掛かっていた期間があり、それがなくなってから発症するという考えです。

言われてみると、その傾向はあるかもしれません。

仕事が原因で帯状疱疹になる方は多いのですが、忙しいのが終わってから出るんですね。

むしろ本当に忙しいときにはでない。

という印象があります。

 

なので、この帯状疱疹の発生状況についても同様のことが言えるのでしょう。

3月から4月末まで緊急事態宣言の下で緊張した生活を強いられていた。

それが5月以降に解除されてストレスが無くなった。

そのために解除されてしばらくして発症してきた。

 

という図式が簡単ではありますが、成り立つということでしょうか?

証明することは難しいかもしれませんけどね。

 

他に増えた病気については特には無いかな?

増えた症状については先程までの記事に記載しましたので、

参考にしてみてください。

新型コロナウイルス感染症と皮膚科領域の変化について考える。その2 指の皮膚病編

さて、今度は指の病変について見ていきましょう。

 

指の病変で一気に増えたのは湿疹です。

いわゆるあかぎれのような病変は昨年までは冬の、主婦によく見られる病気でした。

しかし今年に入ってからは男性にも、そして全年齢にも拡大したように見えます。

 

その原因は言わずとしれたアルコール消毒でしょう。

アルコールは脂を溶かす作用がありますので、皮膚表面の脂溶性タンパク質に作用し、

皮膚のバリア機能を低下させると考えられますので、

当然指先を中心とした刺激の強い部分から順次悪化させてしまうことになります。

 

したがって症状の最も多いのは利き手の指先、その後手のひら全体、手の甲全体に拡大する

傾向があるようです。

あとは仕事や趣味などの何らかの生活習慣に伴い頻用される部分に湿疹が出てくるようです。

症状そのものはいわゆるあかぎれの症状そのままです。

乾燥に始まり、ひび割れ、そして湿疹になっていきます。

場合によってはじくじくとした浸出液が出るようになります。

 

この様に社会状況により発生する構造的な疾患ですので、なかなか治療はうまくいきません。

炎症が強いところにはステロイド+保湿剤。落ち着いているところには保湿剤を使用しますが、

一番の治療法は悪化要因の除去になります。

といってもアルコール消毒をやめるわけに行きませんし、とそこでジレンマに陥ってしまうのが

今年の湿疹治療の難しいところです。

幸いなことに今回のコロナウイルスは石鹸の手洗いでも十分に効果を発揮することが

わかっていますので、自宅など、可能な場所ではアルコールではなく石鹸を使用する。

ときに保湿剤入りの石鹸を使用することで症状の悪化を抑制することが可能かもしれません。

 

長期戦になることはわかりきっていますので、こちらもスキンケアの徹底と

保湿剤の上手な使用法で対応していくのが一番かと思われます。

先の見えない戦いが一番難しいんですけどね。