わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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保湿剤

秋の季節の変わり目になぜ湿疹が悪化するのか?

多分夏と秋が一緒に動くからなんですよね。

 

最近の外来でよく目にするのが湿疹の悪化です。

いわゆる季節の変わり目というものでしょう。

ではなぜそのようなことになるのか?少し考えてみました。

 

1:まだ汗をかいている

気温が下がったとはいえ、まだまだ暑い時期もあります。

気温の毎日の変化が大きくなるのもこの季節の特徴ですが、

汗で悪化する湿疹の場合、まだ汗が出るために

湿疹が悪化してしまうことが時に見られます。

 

2:乾燥がはじまった

秋に入ると、一気に湿度が下がってきます。

それとともに皮膚の乾燥も進んでいきます。

そのために湿疹が悪化するということが見られます。

どちらかというと冬に悪くなるタイプの子の症状がで始まるのも

ちょうどこの季節からなのです。

 

この2点がまず上げられるでしょう。

汗をかくくらいの気候なら乾燥しないのではという疑問が出てきますが、

汗は気温に伴う症状

乾燥は湿度に伴う症状

と考えると、一緒に考えると逆に間違えてしまうことも分かるでしょうか。

秋は気温が高いけど乾燥している

という中途半端な時期であり、そのために湿疹を悪くしてしまうパターンが多くなります。

 

もちろん気温と湿度は相互に影響していますよ。

湿度が低いので汗が出てもすぐに蒸発してしまい、

汗をかいていないと誤解してしまう。

湿度が低いのでベッタリとした保湿剤を使ってしまい、

逆に汗を閉じ込めてしまい湿疹の原因となってしまう。

という理屈もありますので、影響はある程度はありますが、

まずは気温と湿度という面を考えて対処してあげたほうがいいでしょう。

 

対処法ですが、

1:汗

についてはとにかくシャワーをすること。

それに尽きます。この時期、汗はかいていないように見えるだけですので、

シャワーは非常に効果のある対処法です。

本当は冬になっても始めたいところです。

 

2:乾燥

そろそろ保湿剤の出番です。しかしこの時期はまだ気温も高いので、

冬用のクリームは不向きです。

ローション・化粧水レベルのさらりとした保湿剤を使用して

保湿を保ってください。夏の間は少しサボりがちでOKでしたが、

回数も徐々に増やしていったほうが良いでしょう。

 

その他にこの季節に湿疹が悪化する要因はいくつかありますが、

それについてはまた今度お話をしていきましょう。

サトウザルベが変色している時は、使用は控えて下さい。

ある日、当院で薬を作ってくれている薬剤師さんがやってきて、棚を明けてひと言。

「色が変わっていますね」

ん?どれどれ。

 

あらまあ。保管してあったサトウザルベの色が黄色くなっているではありませんか。

もうこうなってしまうと使えませんね。残念。

 

メーカーさんにも聞いてみました。

なんでも、いろいろな油分が入っているので、時にこうなることがあると。

基本的に時間が経過するとできやすいとのこと。

 

品質的にはあまり心配はないとのことですが、結局油が変質して色がつくのだから、

当然最初は存在しない成分が新しく出ているわけですね。

そして理論的には何か問題を起こす可能性があるわけですね。

 

つまり、色が変わった軟膏は危険。

というわけです。

そりゃあそうだ。と思いますが、結構大事なこと。

 

処方された薬剤は時間とともに成分が変質していく可能性があります。

特に色を見て変化が出てきている場合は使用はせずに、廃棄してくださいね。

 

 

ヒルドイドクリームが変わりました

現在何かと話題になっているヒルドイド。

ヒルドイドといえばピンクのヒルドイドソフトですが、

玄人の間でじわじわと人気が出ているのがクリームです。

・・・知らない?

 

そりゃあそうです。

保湿効果はあのヒルドイドソフトよりも高いのですが、

欠点が一つありました。

 

・・・それは、匂い。

独特の絵の具のような匂いがするんです。

 

なので、処方してもある程度の確率で使用しきれなくなる人がいるという欠点がありました。

 

しかし、しかーし!

なんと、その匂いのない新製品が投入されるようになったのです。

先月くらいからでしょうか?

匂いの無いヒルドイドのクリームが徐々に出始めてきました。

 

また、製品も少し変更有ります。

1本20gだったものが25gに、

チューブも金属っぽいものから樹脂製に変わりました。

なので、赤いヒルドイドが出てきたのです。

 

保湿効果は多分今までの製品とはあまり変わらないはず。

というか、変わるようであれば市場に出せませんから。

 

ということで、当院でも徐々にヒルドイドクリームは新型に切り替わります。

なお、現在旧型の在庫も(倉庫に有る限りとのことですが)残っているようですので、

「あの匂いがなきゃヤダ」という人はお早目に来院くださいませ。

なぜヒルドイドを顔に使用するのが良い方法なのか? 理論的に皮膚科医が考えてみた

今回もヒルドイドのお話です。

もう少しおつきあい下さい。

 

今回の問題のそもそも論として

「どうしてヒルドイドを顔に塗るのが良いのか?」

というお話を、広告する側にたってお話しましょう。

 

なぜか、一つはお金の問題もあります。

ブログなり、まとめサイトなりで記事を書き、それを公開すれば

閲覧する人も出てくるでしょう。

そして、そこに広告なりアフィリエイトなりを出せば、それをクリックしてくれる。

だから、そこから収入が得られる。

というわけで皆さん記事にするのですね。

・・・WELQと一緒だネ!

でも、ブログに広告を出す人が居なくならない限り、この図式がなくなることは無いでしょう。

WELQでも世間に知られたように、お金のために平気でいろいろなことを書く人がいるでしょうからね。

 

という話をしても、じゃあ、別の製品ではなくヒルドイドを薦めるのはなぜかということになるわけです。

これは今回の話のポイント、保険診療に絡んでくるんですね。

まず大事な点は、保湿剤のコストと効果は概ね比例する

(もしくはそうであると信じられている)

ということです。

実際はどうか知りませんが、一般的にはそのように受け取られる方も多いですし、

他の製品を見ていてもその傾向は当てはまりますね。

(私はパソコンを自分で組み立てる人ですが、コストと性能は明らかに比例する製品があります。CPUとかね)

つまり、図で表すとこうなります。

有るところから効果の増加率は落ちている理由についてはお察しください

(ほんとうはこんな折れ線ではなく、なだらかなカーブになります)

 

もう一つのポイントは保険診療において、自己負担は3割であるということ。

ヒルドイドも本来であれば上図の直線状に位置する(はず)なんですが、

3割負担なので、見かけ上のコストは下図の赤点部分に移動します。

つまり、この図から読み取れることは

「効果の割に安く入手出来る」

ということですね。

特に自分の子どもに処方してもらったものを勝手に使えば(これは違法です。)

コストゼロで保湿剤が入手できる!(上図オレンジ点部分)

となるわけです。

 

ああ、これはイイネとなるのですが、

本当に良いの?これは。

と考えてみて下さい。

 

製品のコストは当然ゼロでは有りません。

誰かがタダでご飯を食べた部分のコストは誰かが負担しているわけです。

 

今回の残りの7割は誰が負担しているかと言えば、それは保険組合。

皆さんの払った社会保険料から最終的には出ているわけです。

つまり、他の人の払ったお金です。

0割負担であれば残りの金額は地方自治体が負担していたりするわけですね。

つまり、全然知らない赤の他人です。

 

さて、少し考えてみましょう。

アナタが、見も知りもしない、赤の他人の美容液のお金を払わねばならないということになれば

どう思いますか?

 

そりゃあ腹もたつでしょうよ。

ということで、7割の負担を「させられた」保険組合が怒ったわけです。

 

 

安い割に効果の有ると言われるヒルドイドソフトなわけですが、

その裏にはお金を誰かが払っているという現実が有るのです。

 

この問題で将来的に保湿剤が保険で使えなくなった時に負担が増えるのは

アトピーなどの病気で一日中辛い思いをしている患者さんなんですよ。

これ、どうすんの?

 

唇が乾いてきませんか? (2017年9月)

秋になりましたね・・・

さて、診察室でも湿度が下がり、乾燥の強くなってきた子が続々と受診するようになってきました。

さて、では自分の子どもの皮膚の乾燥をどうやって知ることが出来るのか?

今回はそんなお話をしていきましょう。

 

まず全身の皮膚の中で最も乾燥しやすいところはどこか?

それは粘膜との移行部分になります。

最もわかりやすいのは唇ですね。

もともと薄い顔の皮膚の中でも特に薄い部分の一つになります。

 

なので、大人の唇が乾燥したと思ったときには、

子どもの皮膚の乾燥も出てきている時。

なんですね。

 

唇が乾いてリップクリームを使いたくなったら、

子どもにも保湿剤を塗ってあげるようにすると、

乾燥肌を防ぐことが出来ますよ。

ヒルドイドソフト/ヒルドイドローションをヴィーガンに処方する前には相談しましょう

今日も昨日の話の続きのようなものです。

 

ヴィーガンという考え方があります。

ベジタリアン(菜食主義者ですね)を更に強調した考え方でして、

動物由来のものを一切使用しないように使用という考え方です。

毛皮もダメ。脂もダメ。

ときには化粧品もダメと言う人もいます。

 

そうです、ヒルドイドの成分がその部分に関わってくるんですね。

つまり、ダメ。

とは限らないのは難しいところなんですが、

ダメな人もいる。

(ゆるい人もいれば厳しい人もいるのです。詳しくはこちら。)

 

こちらは宗教では無いので、結構幅の有る考え方なのですが、

ダメな人はダメ。

 

なので、この人たちには逐一確認しながら処方を行う必要があります。

まあ、当人もわかっていますから、予め窓口でお話をしてくれると思うのですが。

してくれるといいな・・・

 

問題になる可能性があるのも確かなので、しっかりと確認をしてから処方したいところですね。

 

ヒルドイドソフト/ヒルドイドローションをイスラム教徒に使用してはいけない

今回は国際化のお話です。

特に保湿剤のお話ですね。

 

ヒルドイドソフトあるいはヒルドイドローションですが、

保湿剤としては非常にポピュラーな、良くみかけるお薬ですね。

実はこの薬はブタさん由来なんですね。

ブタアレルギーについてはまあ、問題ありませんので今回は置いておきますが、

ある意味それよりも深刻な問題です。

 

ムスリムのかた、イスラム教徒の方ですが、

使用してはいけません。

絶対に。

 

これは戒律によるものなので、合理的なものではありません。

使用することにより、直ちに影響が起きるようなものではありませんので、

そういった意味では問題ありません。

でも、彼らの心に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

考え方なので、一律に話をすることはできないのですが、

当然避けられるものであれば避けたほうが良いものです。

彼らにとっては避けるべきものだからです。

 

なので医師としては処方はしないほうが良いものであったりします。

該当しそうな方にはあらかじめ確認したほうが良いと思います。

 

今回は注意してね。というお話でした。

 

そろそろ保湿剤はローションに切り替えましょう

春になってきました。

暖かい日が増えてきましたね。

今回はそんな春の日のお話です。

 

例年はゴールデンウイークくらいにと考えていたのですが、

どうも最近は汗をかいて湿疹を悪化させている子どもたちが多く受診している状況なのです。

そうです、春なのです。汗で悪くなる季節の到来なのです。

 

なので、保湿剤は冬場用のクリーム基剤から、夏用のローション基剤に切り替えることが多くなってきました。

手持ちのクリームを塗るとベタベタして嫌がってしまう、

汗を多くかいてしまう。

という方はローション基剤の保湿剤に変更しますので、

一度受診してみてくださいね。

 

美容目的によるヒルドイドソフト/ヒルドイドローションの処方は行っておりません

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最近ネットなどで話題になっているようですが、

当院ではヒルドイドの美容目的による処方は行っておりませんのでご注意ください。

(類似品や後発医薬品もこれに含まれます)

 

そもそも美容目的による処方せん医薬品の使用は医療保険の使用はみとめられません。

アトピーや乾燥性湿疹などの湿疹があり、その予防のために保湿剤を使用することについてのみ

許可された医薬品です。

したがって、自費診療となりますし、本来自費診療で有るべき美容目的の保湿剤使用を

保険で使用することは最悪の場合、保険者を騙す行為になってしまいます。

 

また、ヒルドイドの持つ作用として毛細血管の拡張作用があります。

いわゆる赤ら顔ですね。

そのような症状で受診された患者さんの中に、

ヒルドイドを頻回に使用された患者さんもいるのは事実です。

(多くは子どもですが、大人でも数名おりました。)

 

本来の目的外使用のために、副作用の起きるリスクを看過し、処方を行うことはできません。

特に美容のために使用した薬剤で副作用を起こすなどというリスクは、

取るべきでは無いと考えております。

 

美容目的による保湿剤の処方は当院では行いませんので、

一般に市販されております保湿剤をご使用下さい。

 

(2017.10.20一部修正)

皮膚科医の娘でも、顔のかぶれの予防は困難です。

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秋も深まってきました。

食欲の秋です。

というわけでもありませんが、実家から柿と洋梨が送られてきました。

下の娘は果物が大好きです。(というよりも食べるの大好き?)

下手をすると7歳上の娘よりも食べていたりなんかして・・・

 

まあ、そういうわけも有るのでしょう。

とうとう口の周りの湿疹が出てきました。

果物食べ過ぎだよ・・・

 

皮膚科医がついていながら。

と思われるかもしれません。

でもね、顔の湿疹。これだけは周りに専門家がついていようが

完全には防げません。

 

乾燥肌、アトピーでも顔の湿疹が落ち着かない子が居ます。

でも、これも原因は多くはかぶれ。

よだれやミルク、食材などが顔面に付着するために出現するものです。

したがって予防は困難なのです。

出来るとすればワセリンを何回も何回も塗ること。

それである程度の予防を行うことができます。

だから、ワセリンを塗る回数が大きればそれだけできないんですよね。

診察をしていると、それが如実にわかります。

ワセリンの塗布回数と症状には関連があるのです。

 

でも、それでも完全には抑えることはできません。

ある程度は出現することがやむを得ないと考えたほうが良いでしょう。

 

だから、顔の湿疹は予防もしっかりとしたほうがいいけれども、

湿疹が完全には抑え込めないものだと考える。

そして、湿疹が出たら早めに見つけて、ステロイドなどの塗り薬を開始する。

 

そのように考えた方が現実的だと思いますよ。

なによりも湿疹を全く作らないという完璧主義に陥ると

できてしまった時にがっくりと来てしまいますからね。

 

出来ることをゆっくりと進めていく。

子供のお肌との付き合いは長くなりますから、

まあ、慌てず騒がずに淡々と進めていくくらいで良いかと思います。