わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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夏の病気

手足口病、爪の変化が出てきました(2024年8月)

今回も手足口病のお話です。

 

先月にも簡単に説明しましたが、手足口病の今年の流行は爪に影響が出るパターンのようです。

実際に外来でもそのようなケースに遭遇してきました。

 

手足口病はいくつかの種類のウイルスが原因となり発生します。

その中でもコクサッキーA6型を原因とする手足口病は、発生してしばらく立った後に

爪に影響が出ることが以前から知られていました。

またコクサッキーA6型手足口病はその他にもいくつかの特徴が知られています。

 

そして、今年の手足口病はどうもこのコクサッキーA6が原因ではないかと症状から考えられてきました。

そうすると一つのポイントとして爪の脱落が起きるのかということになります。

この反応は感染してからしばらく立って、概ね1ヶ月ぐらい経過して出現するのですが、

最近の外来でこのような変化が出た方が出現してきましたよ。というお話です。

 

つまり、予想の通りのウイルスの感染が原因となるわけです。

 

 

ではこの爪の変化はどのようなことが起きるのか?

まず、爪の一部が浮いてきます。爪の中途から丸い形の白く濁った爪が出てきます。

実はこれは爪が皮膚にくっつかずに浮いている様子を反映しているんですね。

また、爪の根元が同様に白く濁って浮いてくることもみられます。

こちらは同じ反応が爪の根元で起こっている様子。

そして、それが爪の伸びと伴い、かぱかぱ浮いてきます。

途中で浮いた爪は側面まで浮いている状態が拡大し、どちらかの端だけで爪がくっついているようになりますし、

根本が浮いた爪は、先端部だけでくっついているように見えます。

そして最後に爪を何処かに引っ掛けた拍子にポロリと落ちる。

という流れで症状が出てきます。

 

その後は、何事もなかったかのように新しい爪が生えてくることがほとんどなので心配はいらないのですが、

爪がポロッと行ったらそりゃあびっくりしますよねえ。

 

 

対応は…残念ながらありません。

一度浮いた爪がもとに戻ることはありません。なので、剥がれるのを待つ形になります。

なので、どれだけ良い状況で剥がれるかという状況になります。

浮いている爪を引っ掛けて剥がして出血するというのが一番良くないパターンですので、

引っかからないようにあらかじめ爪を切って整形して引っ掛けないようにすることもよくあります。

あとは段差をジェルネイルで埋めるとかですかねえ…

 

コクサッキーA6型の手足口病はこのように終わってからしばらく立ってから爪の症状が出てくるので

いやらしいんですよねえ…

今年は注意が必要ですね。

という話でした

 

日焼けかと思ったらりんご病でした…(2024年8月)

というケースを複数経験したので、簡単に解説します。

 

日焼けとりんご病。実は合併して出ることがありまして。

特にりんご病の顔や手足の発疹の出現のきっかけになるのは

陽に当たることだったりします。

(なお、ストレスや寝不足も同様に原因になるのですが、

今回の話の趣旨とは変わるので割愛します)

 

ではひやけとりんご病の発疹の出方はどのように違うのか?

まず顔から

・日焼けの主体である、鼻の頭、おでこにはりんご病では症状はでない。

・下顎、口の周りにもりんご病の症状は出ない。

・日焼けするときは唇もがさがさになるが、りんご病ではきれい。

次に体の方も

・首の後ろにはりんご病では症状が出ない。

腕についても同様に

・日焼けはベッタリとした赤み。りんご病は網状の赤み。

・りんご病では手の甲に赤みが出ることはあまりない。

ですね。

 

理由としては日焼けは露光部に照射量に比例して症状が出るのに対して

りんご病は出る部位が決まっていること、特に腕足では網状に出ること

の違いがあります。

りんご病の赤みがなぜ出現するのかはわかっていませんが、

ウイルスが壊れたあとの欠片によるアレルギーと考えられています。

そのため血管の位置に合わせて症状が出てくる可能性があります。

 

確かにどちらも日にあたったあとに症状が出るのが特徴ですが、

日焼けとりんご病の発疹は細かく見ていくと少し違うことがわかるかと思います。

ただ、パット見ではわかりにくいかもしれませんね。

もしもどちらかわからなくて気になる方は一度皮膚科にご相談ください。

クロックスが原因の足の皮むけ?

という例を毎年経験するので、簡単に解説をしてみましょう

 

足の裏の皮むけを理由に受診される患者さんが毎年夏に見られます。

幼稚園児から小中学生くらいまでかな?

もちろん大人も多いのですが、大人の場合は水虫。

でも子供の場合は少し話が異なりまして。

その原因、実は汗なのですよ…

 

もちろん水虫の検査はしますが、水虫はいません。

ではなぜ皮がむけるかというと、汗っかき。

その汗が足の皮をふやかして皮むけを作るのです。

ではなぜ汗がたくさん出るのか?

おおもとの原因は夏だから。

なのですが、もう一つ理由がありまして。

 

それがクロックスをはじめとする靴なのです。

ゴムやビニール底の靴が原因です。

 

つまりスニーカーのような布や革の靴と異なり、

吸水性・吸湿性が一切ありません。

なので、汗をかいたその汗が靴の裏にそのまま残り、

皮膚の方へと再度浸透します。

そのために皮膚がふやけてしまい、結果として弱くなり剝けてくる。

という現象が起きるのだと考えます。

こういう子にはスニーカーを履くように、靴下をはくように指導すると

症状が良くなることも多いので、たぶんそうなんだろうなあと思っています。

 

勿論水虫は考える必要があるので、

心配な方は一度皮膚科を受診してください。

検査して有無を確認しますので。

 

足の皮むけが気になる方はまず足元のチェックをしてみてはいかがでしょうか?

 

例年以上に細菌感染症がはやっています(2024年8月)

どうも巷では人食いバクテリアが結構ニュースになっているようですが、

現在外来には例年以上に細菌感染症の患者さんが受診をされています。

 

皮膚科でよく見る細菌感染症としては

子供では、とびひや爪囲炎など。

大人では爪囲炎や蜂窩織炎、毛包炎などでしょうか。

 

今年は特に大人での細菌感染症特に蜂窩織炎を多く確認します。

 

なぜなんでしょうねえ?

そのあたりについては今後はっきりしてくるとは思いますが。

抗生剤の効きが悪いということはあまりなく、例年とそこは変わりは無いかと思いますが。

 

ただ、注意すべきは細菌感染は最悪の場合、どんどん拡大することが有るということです。

人食いバクテリアもとい壊死性筋膜炎ではそこそこの確率で致命的になることもあります。

もちろん最初は小さな感染から始まるんですよね。

例えば水虫のジュクジュクからだったり、虫刺されからだったり。

ただそれが治療の遅れ、不適切な対応で一気に拡大する。

ということになるわけです。

 

痛い、熱を持っている、腫れている

というようなときにはお早めに受診をして、しっかりと抗生剤を飲み始める。

そして完全に症状が落ち着くまでは飲み続ける。

ということをきちんと行う必要があるようです。

 

ということで、今年の夏は感染症に注意です。

ひと夏に手足口病に2度かかる!?(2024年8月)

今日も手足口病のお話

 

診察をしていて気になっているのですが、7月の手足口病と今の手足口病、

少し症状が違うような気がするのですよね。

 

7月のは先のブログにも書いたとおり、手足口肘膝尻と広い範囲に大きな発疹が出るのが特徴です。

そして多分爪が落ちる。

今の手足口病は発疹のサイズが小さいのが以前のと異なる点です。

そして発疹の領域は手足口とおとなしい。

その違いがあります。

 

多分原因となるウイルスが違うんでしょうねえ。

コクサッキーとエンテロとかかなあ?

 

手足口病は簡単に説明すると夏風邪の一種であり、それが皮膚にも症状を及ぼすわけです。

夏風邪もいくつものウイルスが原因となるように手足口もいくつものウイルスが原因となり

症状が出ます。

そして免疫はそれぞれのウイルスに対して別個に付くので、コクサッキーの手足口にかかったから

エンテロの手足口を防ぐものではありません。

つまり、ひと夏に2回手足口になりうる。というわけなのですよ。

 

まあ今回感染して免疫が付けば今後数年はそのウイルスにはかかりにくくはなるのですが。

ただ今年の夏は大変ですよねえ。というお話でした。

 

とひびのいない夏休み(2022年9月)

もう夏もおしまいでしょうかねえ。

今年は秋が来るのは早い印象を受けます。

なんか夏らしい夏は短かった印象を受けますが、

それはずっと屋内でお仕事をしていたせいなのでしょうか?

 

それにしても今年の夏はとびひの患者さんの数が少なかったようです。

例年の半分くらいでしょうか?

 

不思議ですねえとも思うのですが、ある程度納得するお話でもあったりします。

 

そもそも、とひびは皮膚の感染症ですが、みていると汗で悪化する傾向があります。

そのために汗をかかない環境にいることが予防でもあり、治療でもあるのですが、

今年の夏の特徴として

・気温があまり上がらなかった

・外出頻度が少なかった

というのがどうもありそうなのです。

 

気温があまり上がらなかったというのはまあ、太陽と地球の話になるので、

たまたまといえばたまたまなのでしょう。

外出については新型コロナウイルス感染症の拡大の影響はありそうにも見えます。

子どもたちの感染を恐れて、外出しなかったこと。

それがとびひの発生にも影響を及ぼしている可能性がありそうです。

 

そういうわけで、今年の夏の感染症は少なかったなあというのが印象です。

秋以降、子供同士の接触により発生する、

みずいぼ、しらみについても確認をしていく必要がありそうです。

朝のシャワーと、帰宅後のシャワーと

できれば流して汗を取ってあげたほうがいいですよね?

というお話です。

 

夏になりました。と言ってもいいくらいの気温の上がりっぷりです。

夏の時期にはアトピー性皮膚炎の悪化要因は汗が一番に思えます。

肘・膝・首などの擦れて汗がたまる部分に湿疹の悪化をみるのが毎年のパターンです。

もちろん薬を使って湿疹を抑えていくのは必要なことですが、その前の予防のスキンケアとして、シャワーをしっかりと使っていきましょうね。

 

朝起きたときには、夜間の寝汗を落とすシャワー。

外から帰ったときには外出時の汗を落とすシャワー。

2回は追加でシャワーしてもいいかもしれません。

 

よく聞かれる質問ですが、石鹸は無理に使用する必要はありません。

一般的に汗は水に溶けますので、石鹸を使って皮膚を乾燥させる必要はないと考えています。

 

ただし、土や砂などでドロドロになってしまった場合には使用もやむなしかと思います。

また、一度水洗いしてもベタベタした汗が残っている場合にはその部分に石鹸を追加して見てください。

(思春期以降のニキビを伴うベタベタした脂分に対しては石鹸は使用しても問題はありません。)

 

しっかりと洗って皮膚に刺激分を残さないようにすること。

湿疹の予防の上では大事なポイントとなりますよ?

只今水いぼ治療中です!

ということを周りの方にしっかりと知っていただくためにあらたにカードを作りました。

 

水いぼの治療中での問題の一つがプール問題。

治療の前には感染の問題のためにプールに入れてくれ無いというのはまだわかるんです。

でも、治療を行っているつまり水いぼのウイルスの量が減っているのにプールに入れてくれないのはいくらなんでも問題ありませんか?

というのは以前より考えていたのです。

 

そこで今年新しく水いぼの治療を行っている方にはカードをお渡しすることにしました。

題して「水いぼ治療中カード」です。そのままですね・・・

 

内容は至ってシンプルです。

治療しているから(学校・プール管理者は)配慮してね。

ということ。

つまり、その子の感染リスクを考えた上で個別に対処してね。

という問い掛けをするためのカードです。

 

なお、現在水いぼを治療中の方でこのカードがほしい方はスタッフに言っていただければ用意しますので、声をかけてください。

 

え、プール行きたくない?

そういう子はカードを学校に渡さないでプールはお休みしても良いのではないかとー

 

必要なのは選択肢を用意することであり、なにかを理由にして一律に行動を決めることではないと思うのですよ。というのが当院のコンセプトでもあります。

ワキ汗の治療薬の選択肢が増えました:ラピフォートワイプ新登場

今週からワキの多汗症治療の薬の選択肢が増えました。

ラピフォートワイプの登場です。

 

現在当院で処方できる治療薬は2種類あります。

・塩化アルミニウム

・エクロックゲル

 

ここに3種類目が登場したわけですね。

 

今回の薬は不織布に染み込ませた形の剤型となります。

珍しいですよね。

しかしその形から想像できるように使用方法は簡単。

中に入っている布を取り出して腋の下を拭い、

そのままゴミ箱にポイ。

すればいいだけです。

 

なんて簡単なんでしょう!?

 

ただし注意点もいくつかあります。

目が眩しくなる、しみる。口が渇くなどの副作用があります。

特に塗った後に手を洗わないでいるとその手で顔を触った後には

その副作用が強く出るかもしれません。

また、手や足の多汗症には今のところ使用はできません。

新薬ですので、1回の診察で2週間分しか処方ができません。

 

ただ何よりも簡便なのはありがたいところです。

 

これからの季節に気になるワキの汗ですが、

一度受診されてみてはいかがでしょうか?