わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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あなたはだあれ?

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必要があって、時にいろいろなサイトを情報を探して渡り歩くことがあります。

まとめサイトの弊害については今後何処かで書くこともあるかもしれません。

今回は触れないでおきましょう。

今日のお話は、サイトの信頼性の問題についてです。

 

いくつかの分野のサイトをチェックすると、よくまとまっているねえ。

きれいなデザインだねえ。

と思うようなサイトが出てきます。

 

でもね、これ、誰が書いているの?

というサイトが非常に多く見られます。

 

特に多いのが化粧品サイト。

ついで病気のサイトもそれなりにありますかね。

脱ステロイドのサイトにも結構そういうものが多いんです。

 

いやあ、よくないですねえ。

だって、誰が書いているかわかりませんもの。

 

まあ、尤も、効果あったなかったなどというものはある程度幅がありますから、

どうしてもぼやけた形になります。

ただね、問題なのは、「これが効く」と書いてあるモノ。

 

その効果を一体誰が保証しているのでしょうか?

誰が書いたかわからないサイト。

そして、なんだか訳の分からない商品。

有効性?データはありますが、出典はなし。

検索サイトで上に出たから?

いえいえ、そのデータはお金を出せばいじれることが分かっていますし

(そういう業者もたくさんいますね)

検索サイトで上に来たサイトがしっかりしたことを書いているわけではないことも

新聞やニュースで出ているとおりです。

 

何を信じたら良いのかわからない。

などと言う話を聞きますが、少なくとも医療の分野についての専門家の言うことは一つ。

「信じることなんかしても仕方ない」

だけです。

信じるか信じないかではない。

情報を読んでまとめてウラを取って。

情報の出処を確認して、書いている人の信頼性を確認して、

初めて、前向きにその情報に接する。

 

それだけなんです。

信じるものは救われる?そんなことはありません。

ずーっと、考えなければいけないのです。

アトピー性皮膚炎治療外用薬の比較(2022年9月版)

現在のアトピー性皮膚炎に使用される塗り薬についての比較表を簡単ではありますが、作ってみました。

それぞれ利点・欠点がありますので、うまく組み合わせて副作用がより少ない、そしてより効果の高い治療法を目指していきたいところです。

いつか時間があったらそれぞれに文章を書いてまとめてみたいところですね。

 

アトピー性皮膚炎内服治療薬の比較(2022年8月版)

アトピー性皮膚炎内服・注射薬の比較2022年8月版

アトピー性皮膚炎内服・注射薬の比較2022年8月版

 

先のブログに記載のとおり、8月から新規アトピー性皮膚炎の注射剤が開始になりました。

種類も増え、それぞれの特徴も出てきましたので簡単にまとめてみました。

院内で患者さんに配布用の資料ですので、一部文面を省略している部分もあります。

興味のある方はそれぞれのメーカーのWebを見て情報を入手してみてください。

また、当院では外来にて随時相談を行っております。

治療を希望される方は一度外来を受診の上、治療法を検討してみてはいかがでしょうか?

アトピー性皮膚炎全身療法の患者さんの、災害時での治療継続計画について

なんかタイトルが小難しいお話になっていますが、簡単にまとめると

「なにか災害が発生したときに治療を継続できるようにしておきましょう」

というお話です。

 

今年のお盆休みは宮崎県の地震に始まり、台風に終わるといったところでしょうか。

神奈川の地震もありましたね。

ということで災害時の備えについてきちんと考えなければと思った方もいるかも知れません。

今回のお話はアトピー性皮膚炎の災害時の対策についてです。

ウチでのお話が主体となりますので、参考に留めていただき、

それぞれの主治医の先生に相談してくださいね。

 

アトピー性皮膚炎で災害時に問題になるのは全身療法との関連でしょうか。

定期的に注射を打つ必要がある、そして打たないと湿疹が一気に悪化する

という状況に被災すると追い込まれる可能性があります。

そして、こちらは災害時だけの問題ではなくて、治療提供者側についての問題も提起します。

実際に昨年起こった事例ですが、全身療法を処方している皮膚科の先生がお亡くなりになった。

そのために全身療法を継続できずに困ってしまった。

というケースも起こりました。

今だと、そういった突然死のような状況だけではなく、新型コロナの後遺症。などということも考える必要があるでしょう。

 

では全身療法のリスクはどこに有るか?

それは在庫管理にあります。

内服にしても注射にしても、手許にどれだけの薬を用意しているか?

がポイントになりますね。

つまり、手許がゼロなら次の注射時期までしかリミットはありませんが、

残っていればその本数だけリミットは伸びます。

 

つまり、一番脆弱なのは、

「院内に定期的に受診し、注射を行っている患者さん」

ということになるわけですねえ。

 

今回のお盆のあれやこれやを見て、今までは対応を取っていなかったこのリスクについては

(どうするかはずっと考えていましたが)

今後積極的に対応を取っていくことにします。

 

処方箋で薬をもらっている方はできればお早めに受診していただくこと。

こちらは今まで通りになります。

※なお、最大3ヶ月分までの処方であることはあらかじめご了承ください

内服についても同様、1ヶ月毎に受診をしていただく形になります。

最長で手許には1ヶ月分の薬剤が用意できる形になります。

変更するのは当院で注射を打っている患者さんです。

こちらについても注射薬を3ヶ月分処方させていただきます。

そして、毎回通院時にどこまで自己注射ができるか確認をし、

自分で出来るとことまで進めていく形に変更させていただきます。

もちろんそれで自己注射が出来るようになればそのまま自宅で注射していただいて構いません。

 

また、3ヶ月分まとめて処方することにより、以下のメリットが生じます

・予約変更の電話をしなくても済む

・発注ミスで受診時に注射薬が届いていない可能性はなくなる

・まとめて処方することで高額療養費の対象となる可能性がある

という所がメリットになるかと思われます。

 

日本、東京が災害の大い土地であるというのはもう逃れられない宿命のようなものです。

であるならはそれを真正面から受け止めて、しっかりと対策をしていったほうが良いのではないかと思うのです。

運用の変更についてご理解をいただければ幸いです。

アトピー性皮膚炎全身療法の年齢制限のまとめ(2022年12月)

2022年12月より、サイバインコの投与制限が解除になります。

今までは新薬ということもあり、2週間の処方制限がありました。

しかし販売開始から1年が経過したとのことで処方制限が解除になります。

当院でも4週間を限度に処方を行うことになります。

(その他のアトピー性皮膚炎内服薬も4週を限度に処方しています)

何度も処方のために病院に通ってもらうのも大変ですからねえ…

 

それに伴い、当院の全身療法もまた一つ武器が増えることになりました。

今回はその治療法を年齢制限という面から確認したいと思います。

 

12歳以上

・リンヴォック 15mg(通常量)

・サイバインコ 100mg(通常量)、200mg(倍量) ←New!

 

13歳以上

・ミチーガ皮下注

 

15歳以上

・デュピクセント皮下注

・オルミエント 4mg(通常量)

・リンヴォック 30mg(倍量)

 

となります。

今回の変更に伴い、12歳から常用量で内服しても効果の出ないアトピー性皮膚炎の患者さんには早い段階から倍量投与が可能になりました。

今までは15歳からでしたので治療の幅が一段と広がったものと考えています。

 

上手に薬を選んでアトピー性皮膚炎をしっかりと抑えていきましょう

アトピー性皮膚炎は受験では不利なのか?

アトピー性皮膚炎と受験のお話。

今回は病気そのものが受験に影響するかというお話をしたいと思います。

 

でも、調べてみたのですが、あまり情報がありません。

但し、一般的にアトピー性皮膚炎という病気そのものは学習能力には直接影響してはなさそうです。

 

しかし、アトピー性皮膚炎を持っている人が受験に対してどうかと考えると、

やはり不利。ということになるかもしれません。

以下にその考えを述べましょう。

 

1)痒みによるパフォーマンスの低下。

痒いということはそれだけで勉強の集中を妨げます。
同じ時間勉強をした時に、痒い人はそれだけ能率が落ちる可能性は十分にあるでしょう。

2)治療による時間のロス

アトピー性皮膚炎の人は毎日薬を塗る必要があります。
もしも全身に薬を塗るのであれば、それだけで1回あたり5分から10分程度の時間がかかってしまいます。
また、医療機関に通院する時間もロスになる可能性があります。
学校をお休みまたは早退していくとなると、その機会損失(学校で聞ける知識を聞けない)も有るでしょう。

3)飲み薬による眠気

アトピー性皮膚炎に対して飲み薬を処方されている方も多いかもしれません。
最も頻用される抗ヒスタミン薬ですが、副作用として眠気が有ります。
特に気をつけないといけないのは、インペアード・パフォーマンスと呼ばれるものです。
つまり、眠いわけではないけれど、脳みその一部が寝ているという状態です。
厄介なことに、気が付かないうちに効率が落ちていることが有るのです。

4)整容的な問題

これは面接の時に問題になるかもしれません。
特に顔面に強い湿疹が有り、そのために見た目で損をする可能性があります。
また、見た目によるバイアスが掛かる可能性も否定できません。
知識のある教育者ですからそのようなことは無いかと思いますが、
当落線上ギリギリにある時には問題になるかもしれません。

 

アトピー性皮膚炎が直接的に影響しているのはこのくらいでしょうか。

間接的な影響としてはどのようなものが有るでしょうか

5)性格の変化

一般的にアトピー性皮膚炎の人は性格が抑うつ的になる傾向が見られます。
そのために、本来得ることの出来る知識が得られない。また、人よりも強い不安のために
その知識が定着しない可能性があります。

また、特に小さい時に顕著に現れますが、引っ込み思案になっている場合は、
努力に対する正のフィードバックがかからない可能性があります。
つまり、他の子の前に出ない。褒められる機会が減る。褒められることを報奨とする努力志向が出てこない。
という可能性も考えられます。

 

さて、長々と考えてきましたが、これらはあくまでも仮説です。

当然人により大きな差があるでしょうし、

多くの人を対象とした調査もなされてはいないかと思います。

少なくとも私は聞いたことはありません。(調べてもそのような調査はありませんでした)

 

このお話はもう少し掘り下げてみたいと思います。

アトピー性皮膚炎は「治癒した」とはいわないの?

はい、うちではあえて言わないようにしています。

 

 

ということで今回はアトピー性皮膚炎のお話です。

多くの病気では治ったと言うのに、どうしてアトピー性皮膚炎で治ったという言い方はしないのか?

について簡単に解説します。

病気のガイドラインでも「寛解」という言葉を使っていますよね。

こちらの理由についても合わせて解説します。

 

寛解とは簡単に言うと、症状がなくなって日常生活に問題がなく過ごせるようになること

とでも言えばよいのでしょうか?

ではこの症状がなくなる=治癒ではないのか?

無いんです。

 

そもそもアトピー性皮膚炎の原因の一部には遺伝的な要因が関連していると考えられています。

アレルギーの体質しかり、皮膚の弱さの体質しかり。今後はもしかするとかゆみの体質が見つかるかもしれません。

ただこの体質は何かというと、遺伝子です。

生まれつきアレルギー反応が強い。生まれつき皮膚が弱いということを表現しているわけですね。

ですので、例えば湿疹がもしもなくなったとしても、このような体質が残っている限り、

できやすい皮膚はそのまま残されているわけです。

そして、何かの拍子に一気に症状が出てきてしまうわけなんですねえ。

 

実際にこのことは外来で診察をしているとときに見かけます。

湿疹がある日出たから受診したという患者さんの診察をしているとその湿疹がどうもアトピーっぽい。

そこで詳しくお話を聞いてみると小学生の時まで実際にアトピー性皮膚炎があった。

その後症状はなくなっていたので治ったと思っていた。

ということがよくあるお話だったりするのです。

 

つまり、アトピー性皮膚炎の湿疹の症状はなくなったとしても、

できやすい遺伝的な素因はそのまま変わらず残っているので、それがちょっとした刺激で

再度皮膚の表面に顔を出してきた

ということが起きたわけですね。

 

つまり、アトピー性皮膚炎の症状は確かに出たり引いたりするのですが、

その下、水面下での体質というのはずっとうねりとして残っており、何らかの拍子に

皮膚表面に現れる。

ということはあるんです。

 

ですので、そこをよく知っている皮膚科医は決してアトピー性皮膚炎が治癒したとは言いません。

寛解した。また「今回のこの症状は治った」という言い方はするのですがね。

 

本当にアトピー性皮膚炎というのは一筋縄ではいかないのですよねえ…

難しいです。

アトピー性皮膚炎の薬剤と感染症の副作用についてのお話

ここ数年で本当にいろいろな薬がアトピー性皮膚炎の治療に使われるようになりました。

副作用についても色々あるのですが、今まで常識と思われていた易感染性の副作用から

離れることのできる治療薬も出てきました。

 

今回は易感染性の副作用という観点から治療薬をまとめていきたいと思います。

 

>易感染性の副作用がある薬剤

・ステロイド(外用・内服・注射)

・シクロスポリン(内服)

・タクロリムス(外用)

・JAK阻害薬(外用・内服)

 

>易感染性の副作用のない薬剤

・デュピルマブ(注射)

・PDE4阻害薬(外用)

・抗アレルギー薬(内服)

 

となります。

以前はない薬剤が効果の弱い抗アレルギー剤内服以外にはない。

という状況でしたので、随分様変わりしたなあという印象を持っています。

 

選択肢が一気に増えましたので、上手に組み合わせながら治療を勧めていきたいですね。

アトピー性皮膚炎の治療選択肢が増えます(2022年8月)

2022年8月8日、アトピー性皮膚炎の治療選択肢がまた一つ増えることになりました。

それに伴い対応患者さんも増えることになります。

 

8月より使用開始になる薬剤は「ミチーガ」といいます。

この薬の一番の特徴はかゆみそのものを抑えること。

湿疹を抑えるのではないというのがポイントです。

またもう一つのメリットは対応患者さんの幅が広がったこと。

かゆみ止めを飲んでもステロイドなどの塗り薬を塗っても効果がないことという

条件付きですが、使用できる湿疹の範囲や強さが

EASI16から10まで緩和されています。

今まで症状は強くないのでダメと言われていた患者さんでも使用可能になったわけですね。

(EASIとは全身の湿疹の強さをいくつかの症状・部位別に分けてスコアを算出し、

全身の強さを表したものです。)

 

しかし問題も無いわけではなく・・・

かゆみを止める薬ですので、湿疹を直接止めるわけではありません。

今までの内服・注射薬に比べて治療効果は少し落ちるというデータがあります。

したがって現在内服・注射薬を使っている人に取ってはメリットはあまりないかもしれません。

また現状ではお家に持ち帰り、自分で注射ができないので通院を続ける必要があります。

(といっても月1回のペースですが)

 

ある程度の欠点は見られますが、完璧なおくすりなど存在しません。

少なくとも今まで使えなかった人に効果の高い薬が届くというその1点だけでも

有効な薬剤ではないかと考えています。

 

すでに当院では使用を決定しておりますし、治療開始を希望する患者さんもおられます。

当日すぐに注射を行うことは難しいですが、数日で薬剤は準備可能な状態になっています。

もしも治療を希望されてる方がおりましたら一度外来でご相談くださいね。

アトピー性皮膚炎の治療を行う上で最も大事なことは何か?

火曜日の午前中に療育センターで皮膚科の診療を行っています。

そこでも、アトピー性皮膚炎を始めとして湿疹の治療を行っていますが、

湿疹の治療の反応がものすごく別れます。

同じ治療をしているのに、一気に良くなること、全然ダメな子です。

違いはなにか?

見ているうちになんとなくわかってきました。それは

「引っ掻いているか」

たったその一点だけ。

 

湿疹というものは、自然に治ることだってあります。

ではなぜそうならないことがたくさんあるのか?

それは引っ掻いているから。

ということなのでしょう。

 

重症心身障害児にもさまざまな状態の子がいます。

重心などと省略していますが、その定義にはっきりしたものはありません。

一般に精神の発達が一般の人に比べて大きく劣ること。

体の運動能力も大きく劣ること。

の2点があるでしょう。

 

その中にも様々な状態の子がいます。

湿疹がよくなる子と良くならない子の違いはひっかくか否か。です。

良くならない子は引っ掻いている。

 

特に重心の子は自重することができません。

なので、下手をすると一日中引っ掻いていることがあります。

そのために通常の治療、つまり、一般の子ではこのくらいで大丈夫

というレベルの治療では全く良くならないことがあります。

逆に、全く動けない子の場合は何らかの理由で湿疹ができても、

通常の治療をするとあっという間に良くなってしまいます。

それこそ、一般の子よりも治りはすごく良いのです。

 

ということを考えると、湿疹が悪くなるのはどうしてもひっかくから。と考えたくなりますし、

実際にはそうだろうという印象が強くなってしまいます。

 

以上のことを考えると、湿疹の治療のコントロールはまず痒みをどのようにコントロールするか。

ということが一番大切な印象を受けてしまうのです。

もともと痒みは人生の質(QOLと言いますが)を落とすと言われていました。

そのために痒みに対する対処が必要だという考えです。

しかし、そのような消極的な対応ではなく、もっと積極的に痒みをコントロールすることが

湿疹の症状に対する治療になっていくのだろうと考えてしまうのです。

 

湿疹が落ち着かない時は多くの場合では痒みのコントロールがついていないようです。

まず痒みをどのように抑えていくのか?

その中でどのように問題を起こさずに痒みを沈めるのか?

どうもここが皮膚科医の腕の見せどころのようです。

 

すでにpain controlという概念は医療業界では一般的になってきました。

その次にはscratch controlという概念を広めていきたいものです。