わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL050-3355-9592


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

病気の話

保湿剤って必要ですか?

今回のテーマは保湿剤!

今となっては当たり前のようになっている保湿剤の使用ですが、それ、
ここ1世代のことなんですよ?
ということでアトピー性皮膚炎と保湿剤についてのお話を進めていきます。

なぜ必要なのか。
どうして使われるようになったのか。
について簡単に解説を進めていきます。

 

おまけはこちら。

虫刺されに二次感染の合併を最近よく見かけるよねっていうお話(週刊わかば2025年5月26日から5月31日)

今回のテーマは虫刺され。

ただ今年は二次感染の合併が多いような気がするんですよねえ。

 

二次感染を合併すると少し違う症状が出てくるのと、治療もがっちりと行わなければいけないので
皮膚科受診が推奨となります。

季節や年齢その他の要因で保湿剤の種類は変えていくんですよ。というお話

今回は保湿剤のお話です。

 

保湿剤は一つでいいと思っている方はおりませんか?
成分についてはそれでもかまわないと思うのですが、 基剤については状況によって変えたほうがいいよというお話です。

 

基剤とは何か?
お薬の成分を何に溶かしてるかというものです。
軟膏/クリーム/ローションの違いといえばいいでしょうかね?
保湿剤に関してはこの基剤の違いが効果の違いに直結するのが興味深い点でもあります。

 

ではこの基剤はどう選べばいいのか?
実は単純に決めているわけではありません(すくなくともうちでは)
大まかに季節=環境要因、年齢によって細かく変えています。
それにも理由がありまして。

 

というお話を進めていきます。
最後に2025年5月からの夏期基剤変更が実際にどのような形で行われたのかというデータも提示させていただきます。
参考にしていただければと思います。

 

しもやけ雨にご注意を

しもやけ雨にご注意を

 

寒くなってきましたねえ。今日は雨のようですね。

ということで今回はしもやけのお話です。

 

しもやけ、外来で冬に目にする皮膚の病気ですが、患者さんが始めてくるには条件があるようです。

それは寒いこと、雨が降っていること。もしくは過去にそうであったことです。

 

しもやけの原因については完全にはわかっていないのですが、いくつかの条件が知られています。

まずは年齢。

小さい子はしもやけになりやすいです。逆に大人になると出にくくなります。

次に体質。

家族特に親がしもやけ持ちだと、しもやけになりやすいことが知られています。

最後に病気。

特に神経の病気、血管の病気ですね。

特に糖尿病の方はできやすい印象があります。

また血管に問題があり、循環が悪い方にもできやすい印象があります。

まずこのような要因があります。

 

そして気象条件。

病気を持っているかたは10度以下

子供は5度以下で出てくるという印象を持っています。

あとは雨の日がハイリスクですね。

 

この体質と気象条件が重なることにより、しもやけが発生するのです。

 

ですので、今日のような寒い日でそして雨が降っていると要注意ということになるのです。

 

今年の冬のしもやけシーズンが始まりました。

しっかりと予防していきましょう!

アトピー性皮膚炎は「治癒した」とはいわないの?

はい、うちではあえて言わないようにしています。

 

 

ということで今回はアトピー性皮膚炎のお話です。

多くの病気では治ったと言うのに、どうしてアトピー性皮膚炎で治ったという言い方はしないのか?

について簡単に解説します。

病気のガイドラインでも「寛解」という言葉を使っていますよね。

こちらの理由についても合わせて解説します。

 

寛解とは簡単に言うと、症状がなくなって日常生活に問題がなく過ごせるようになること

とでも言えばよいのでしょうか?

ではこの症状がなくなる=治癒ではないのか?

無いんです。

 

そもそもアトピー性皮膚炎の原因の一部には遺伝的な要因が関連していると考えられています。

アレルギーの体質しかり、皮膚の弱さの体質しかり。今後はもしかするとかゆみの体質が見つかるかもしれません。

ただこの体質は何かというと、遺伝子です。

生まれつきアレルギー反応が強い。生まれつき皮膚が弱いということを表現しているわけですね。

ですので、例えば湿疹がもしもなくなったとしても、このような体質が残っている限り、

できやすい皮膚はそのまま残されているわけです。

そして、何かの拍子に一気に症状が出てきてしまうわけなんですねえ。

 

実際にこのことは外来で診察をしているとときに見かけます。

湿疹がある日出たから受診したという患者さんの診察をしているとその湿疹がどうもアトピーっぽい。

そこで詳しくお話を聞いてみると小学生の時まで実際にアトピー性皮膚炎があった。

その後症状はなくなっていたので治ったと思っていた。

ということがよくあるお話だったりするのです。

 

つまり、アトピー性皮膚炎の湿疹の症状はなくなったとしても、

できやすい遺伝的な素因はそのまま変わらず残っているので、それがちょっとした刺激で

再度皮膚の表面に顔を出してきた

ということが起きたわけですね。

 

つまり、アトピー性皮膚炎の症状は確かに出たり引いたりするのですが、

その下、水面下での体質というのはずっとうねりとして残っており、何らかの拍子に

皮膚表面に現れる。

ということはあるんです。

 

ですので、そこをよく知っている皮膚科医は決してアトピー性皮膚炎が治癒したとは言いません。

寛解した。また「今回のこの症状は治った」という言い方はするのですがね。

 

本当にアトピー性皮膚炎というのは一筋縄ではいかないのですよねえ…

難しいです。

洋服のタグを切り取っていますか?

今回はアトピー性皮膚炎のお話。特に小さい子のお話ですね。

 

洋服のタグとアトピー性皮膚炎と。

一見関係なさそうに見えますが、実は密接に関係していたり。

特に1歳から3歳くらいまでの子ですかねえ。

 

この年代の子の湿疹の特徴として

背中の湿疹が多く見られることが挙げられます。

特にできやすいのは3箇所。

一つは左右の肩甲骨の下のあたり。(上にもそこそこできるかな?)

こちらは肩甲骨と洋服のこすれによってできると考えられます。

ちょうど肩甲骨の骨の輪郭に沿って湿疹ができますからね。

もう一つは真ん中の上部。

この原因の一つは首の骨。

頚椎の突起が真ん中にあり、こすれることが原因となります。

もう一つの原因が背中の真ん中にある洋服のタグなんですよねえ。

これもこすれることで湿疹の原因になるのです。

 

ではどうやって予防するか?これは非常に簡単でして。

タグを全部切り取ってしまう。

これだけで解決します。

当たるなら、当たるものを取ってしまうという実に脳筋的な解決策ですが、

結構効果があったりします。

最近のタグの中には目立つものとかありますからねえ。

ただ小さい子の洋服のタグって、周りの人は全く見ていないですからね。

と割り切ってしまうのも一つかなと思うのです。

 

タグ、邪魔かな?と思ったら思い切って切り取ってしまいましょう。

それが湿疹の予防にもなったりするのです。

というお話でした。

 

円形脱毛のセルフチェックはどこをみればいいのか?

今回は円形脱毛症のお話です。

 

 

円形脱毛症の患者さんの受診はだいたい2週間から4週間に1回です。

ではその間、円形脱毛症の自己評価は何に気をつければいいのか、今回は簡単に説明していきましょう。

 

円形脱毛症、診察のときのチェック項目はまず何よりも局所の確認です。

それぞれの局面が生えてきているのか、まだ変化はないのか、むしろ悪化しているのかを

評価するのですが、大事なポイントが一つありまして。

それは、診察のときの点でしか評価できないということなんですね。

つまり診察していないときの2週間なり4週間マイナス23時間何分間の評価とはできていないのです。

そこが外来診察の一番の弱点であったりするのです。

 

では逆に自宅で細かく毎日評価出来るのか、する必要があるのかというと

こちらも否定的に感じています。

だって、一般の方がまず自分の円形脱毛は見えないですよね。

そして見たとしてきちんとそれば生えているのかそうでないか確認できるかというと

それは無理でしょう。

(というか皮膚科の先生でもそのあたりの判断が怪しい方もおりますので…)

 

したがって毎日細かく評価する必要がないのですが、では何が出来るかというと、

「少なくとも悪化していないかどうか」の判断は可能です。

つまり拡大している=髪の毛が抜けてきていないかの確認です。

 

この評価は実に簡単。

まず円形脱毛の周りを軽く引いてみる。

引いて抜けるなら悪化傾向。抜けないならそこまで悪化はしていないですね。

もう一つ、抜け毛がどのくらい有るのか。

こちらは入浴後の排水口と寝室の枕の周りの毛の量で評価できます。

抜け毛を軽くまとめてボールまたは山にする。

そのサイズは平均と比べてどうか。

平均より大きいのであれば抜けているつまり悪化結構に有るということがわかります。

この2つは毎日誰でも出来るのではないでしょうか。

そして悪化しているなら受診を繰り上げて治療法の相談。

ということができます。

 

円形脱毛の症状の評価は、

・自宅で悪化していないか

を毎日確認し、診察室では

・円形脱毛が良くなっているか

を評価してもらうといいかもしれません。

 

少なくとも悪くなっていないのであれば一安心することも出来るのではないでしょうか?

こちら、自宅でも簡単に行えますので、ぜひ試してみてくださいね。

わかばひふ科クリニックでの後発医薬品の使用方針について(2024年10月:先発医薬品の選定療養費化に合わせての変更)

今回はおくすりの使用方法についてのお話です。

 

 

2024年10月1日から先発医薬品の選定療養費化が始まります。

この制度、簡単に説明すると

・後発医薬品のある製品を

・医師が後発品を指定しているのに

・患者さんが先発品を希望した

というときに実費で誰にでも先発品と後発品の差額を支払う必要がある

という制度です。

こちら、乳幼児0割負担の方にもかかってきますので、ご注意ください。

 

そのため、今回から後発医薬品の使用方針について明示することにします。

 

<内服薬>

まず内服薬についてです

こちら、

すべて後発品

でお出しする形になります。

 

過去には先発品と後発品の製品により治療効果が変わってくるという話もありましたが、

今はもうそうでもなさそうです。

またメーカーごとの細かな違いに影響される疾患というのもクリニックの外来ではそうそうありませんので、

こちらは全部後発品指定という形になります。

 

<外用薬>

塗り薬目薬その他のおくすりについてですが、こちらは少し複雑になります。

というのも効能効果の問題ですね。

皮膚科の軟膏は「混合」つまり、混ぜるという作業が発生することがあります。

こちらが曲者でして、軟膏の種類によっては分離したり、効果が落ちたりするわけなんですね。

カレーにいれるじゃがいもの種類が変わると、口当たりだったり変わってきますよねえ。

ということが軟膏でも起こってきます。

なので、軟膏については

基本的にはすべて後発品

では有るのですが、

「下地」:保湿剤+抗炎症外用薬の混合剤については先発品と医師指定を行う

という形になります。

流石にアトピーの子の全身にプロアクティブとして使用する薬剤については

安定性のデータを求めていきたいとことです。現時点でそのデータが十分に揃っているのは先発品のヒルドイドだけなのです。

特にコレクチム、モイゼルトといった新規の抗炎症外用剤との混合データはたぶんジェネリックさんは持っていないと思うのです。

(持っているメーカーさんは資料を送りつけていただけると嬉しいです)

ステロイドとの混合データはジェネリックさんは持っていそうですが、逆に今は混合しませんからねえ…

というわけで、下地に関しては先発品指定を継続する方針となります。

 

また他の混合剤についてですが、

保湿剤+保湿剤の混合剤は以前は「軟膏つぼにするのが目的で」処方していましたが、

つぼタイプの保湿剤も出てきていることもあり、今後は行わない方針とします。

混合の欠点でもある、微生物汚染の問題もありますし、純粋に薬剤交付が遅れる問題もありますので。

もしもつぼタイプが希望の方がおりましたら薬局で(つぼ代は有償でしょうが)詰めてもらうか、

おうちで詰めて行くかのどちらかでお願いします。

またそれ以外の混合材についても単剤化を進めていく方針です。

 

以上2024年10月現在の方針について簡単に解説させていただきました。

アトピーの治療薬のせいで汗をかく?

今回はアトピー性皮膚炎のお話です。

 

 

アトピーの全身治療薬を行っている方からときに聞くのですが、

「最近汗の出が強くなったのですが、それは薬の副作用ですか?」

これ、薬のせいではなく、アトピーが良くなった結果として出てくるのです。

 

そもそもアトピー性皮膚炎では汗の出方に異常が出ることが知られています。

量も少なくなりますし、場合によっては質にも影響しているかもしれません。

アトピーが皮膚の炎症である以上、皮膚に存在する汗の管も影響を受けるわけです。

その異常が全身治療薬のために解除されたらどうなるか?

汗の出方は正常に戻るのですが、例えば生まれてからずっとアトピーだった方は

本来の皮膚の汗の出方を経験したことがありません。

そのため、今までよりも全然多くの汗が出るということでびっくりしてしまうわけです。

実際には普通に戻っただけなのですが。

 

まあそれだけ全身治療薬の効果があるということでありがたい話ではありますが、

一気に汗が出る側からするとそれはびっくりしますよねというお話でもあるのです。

運動会の練習で湿疹が悪化する季節(2024年9月)

今回は湿疹のお話。

 

 

運動会の練習のお話が聞こえてくると、ああ、湿疹が悪化する季節になるのねというお話です。

 

秋の湿疹の悪化はいろいろな要因があるというお話をしてきましたが、

春秋の湿疹の悪化の要因の一つは運動会の練習もありそうですねえ。

 

運動会をすること自体は良いんじゃないと思うのですが、

練習の量がそれに比べて多すぎるよねというのは個人的な印象です。

 

まずホコリをたくさん浴びる、汗をたくさんかく、

紫外線をずっと浴びる。

これらはいずれも湿疹の悪化要素になります。

裸足で校庭を歩く。こちらはヤケドとイボのリスク。

 

と考えると皮膚科的にはリスクがまとめてやってくる学校行事に見えてくるのです。

現状のこのシステムでの運動会、本当に必要なんでしょうかねえ?

よくわからなくなってきました…