わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

TEL0422-22-1232


〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

病気の話

赤ちゃんの湿疹にステロイドを使わずに治療ができる条件とは

当院は小児皮膚科が中心のクリニックですので、赤ちゃんも沢山来院されます。

赤ちゃんの治療についてもいろいろなことが見えるのですが、今回は簡単な質問に答えたいと思います。

 

Q:赤ちゃんの湿疹にステロイドを使わないで済ませることができますか?

 

A:条件次第でしたら可能です。

その条件は「引っ掻いていないこと」ですが。

この「引っ掻いている」という条件は非常に大事なんですね。

 

赤ちゃん(に限らず小さな子供全体に言える話ではありますが)の特性としては

ひっかき始めたら止まらないというのがあります。

大人と違って自制することは全くできません。

したがって一度ひっかき始めてしまったら止まらずにどんどん悪化してしまいます。

保湿剤でもコントロールできなくなってしまうんですね。

更にひっかくという行為自体が痒みを更に悪化させて引っ掻いてしまいます。

専門的にはitch-scratch cycleと言うのですが、どんどん悪化させる方向に向かいます。

もう一つ、おつゆ(じくじく)が出てくるとその中にも痒みを悪化させる成分があるために

更に痒くなるという悪循環が回ってしまうわけなんですね。

 

したがって痒くなっているかどうかは非常に大事な分岐点です。

わかりにくい?引っ掻いているときに赤ちゃんの手を軽く押さえてみてください。

それを振り払ってもう一度引っ掻きに手が戻ったらそこはかゆい証拠です。

 

そうなったときにはステロイドを必要な時間必要な時期だけ使って湿疹をしっかりと抑えてあげないとけませんね。

 

必要なときには必要な薬をしっかりと使っていく必要がある

そしてその見極めをしっかりと行っていく必要がありますよ。

というお話でした。

12歳から内服可能なアトピーの治療薬が出てきました

さて、今回もアトピーの飲み薬の話です。

 

今月からJAK阻害剤というアトピー性皮膚炎の飲み薬の2種類目の製品

リンヴォックが使用できるようになりました。

 

この薬剤の特徴としては12歳から内服可能なんですよね。

デュピクセント、オルミエントはいずれも15歳以上なので、3歳の違いがあります。

ちょうど中学生、小学6年生が使用できるようになったわけですね。

 

治療手段の選択肢が増えるのはいいことです。

特に中学受験、高校受験生を控えている子にとっては良い話かもしれません。

アトピーの症状は勉強の妨げになりますからね・・・

 

ただし、誰でも使用可能なわけではありません。

・症状の強さがある一定以上必要なこと

・使用前に内科で血液検査などを行う必要があること

・感染症にかかりやすくなる副作用があること

という特徴もあり、簡単には処方はできませんが、

もしも興味のある方がおりましたら外来を受診いただけましたら

説明させていただきます。

 

選択肢の増えたアトピー性皮膚炎の治療をどのように進めていくのか?

悩ましいところですが、中学生の重症のアトピーも治療できるようになったことを

まず喜ぶことにします。

0才児の赤ちゃんには日焼け止めは必要ありません

意外でしたか?

実はそうでもないんです。

ポイントはビタミンです。

 

人間が生きていくのに必須なビタミンですが、

一部は食事から入手することができます。

ではそれ以外に生成する方法はないのか?

実は日光にあたることで作られるビタミンもあるのです。

それがビタミンDです。

 

離乳食の赤ちゃんはまだ食事では十分なビタミンDが入手できません。

そのためにある程度は日に当たる必要があるのです。

 

但し気をつけるべきことは、過剰な日光は必要ないということ。

日陰を選ぶこと、日差しの強い時間帯は外出しないこと

など、ある程度の量でコントロールしてください。

真っ赤になるまでの紫外線は必要ありません。

日陰で反射して入ってくるレベルでの紫外線量で十分です。

 

逆に日焼け止めをガンガンに塗った赤ちゃんでビタミンD不足になるという話も出ていますので、

まあ、塗るにしても程々に。

塗らなくても大丈夫ですよという考え方で良いのではないでしょうか。

 

焦らず騒がず、のんびりと子育てをしていくくらいの気持ちで十分ではないでしょうか?

来年の春に花粉症+αで苦労しないためにも、今から舌下免疫療法始めませんか?(2020年5月)

例年同様のお話となりますが、今年は昨年までと少し異なります。

 

今年の花粉症は皆さん非常に軽く過ごせたように見えます。

そもそもの花粉量は例年よりも少なかったこと、

もう一つ、今年独自の要因として外出時間が例年よりも短かった事があるでしょう。

 

で、もう来年の話?

ということになるのですが、今回は少し違います。

 

来年の冬から春にかけて、花粉症だけではなくCOVIDの影響も出てくるだろうということがります。

COVID感染の要因として指で目や鼻をいじることが想定されます。

つまり、花粉症でグシュグシュしているときにこすると、それをきっかけとして

COVID感染が成立してしまう可能性があるのです。

幸いにも2020年春は花粉症の最盛期にはCOVIDの蔓延はありませんでした。

しかし来年はどうでしょうか?

冬にCOVIDの感染が拡大されたときと花粉症の時期が重なると、

花粉症持ちの患者さんの感染率が上がるリスクは否定できません。

 

現状では不確定要素が強いために仮説のレベルですが、

非常に不気味な話でもあります。

 

幸い、花粉症を抑える方法として舌下免疫療法があります。

今から始めることで来年の花粉症はだいぶ改善することが予想されます。

面倒ではありますが、時間をかければそれだけ花粉症の症状は抑制できます。

 

ぜひ、いまから舌下免疫について検討してみてはいかがでしょうか?

手荒れがとにかく悪化しています(2020年2月)

消毒回数、手洗い回数が明らかに増えたからでしょうね。きっと。

 

当院でも手荒れの患者さんの数は明らかに増加傾向が見られます。

少なくとも子どもたちについては例年よりもとにかく多い印象を受けます。

 

まあ、COVID対策としての手指消毒や手洗いの回数の増加があるので、

やむを得ない面もあるのですが。

 

ひりひり感くらいまでの自覚症状であれば市販の保湿剤で対応は可能です。

しかし、かゆみが出現する場合、ひっかき動作が出ているような場合は

保湿剤ではもう対応不可能です。

ステロイドを塗り始めたほうが治りは早いので、

早めに皮膚科受診したほうが良いかと思います。

 

とにかく今は感染症の予防をしっかりと行うこと。

その上でその予防による影響を最小限に食い止めていくことが必要です。

早めに対応を始めるようにしてください。

 

今回は手荒れのお話でした。

具体的な対策のお話を確認したい場合はこちらから確認ください。

子どもの顔、手足の発疹症が増加しています(2020年2月)

ここ1週間位の話でしょうか。

 

子どもの顔と手、足に赤いぶつぶつができて受診する患者さんが増加しているようです。

・・・手足口病ではありませんよ。

 

症状の出る順番は様々ですが、

顔面特に頬部

耳たぶ

腕の外側、手のひら

スネの外側、足の裏

に赤い発疹が出てくることが多いようです。

またみみたぶ、手のひら、足の裏は全体的に赤くなることもあるようです。

 

痒みはあったりなかったりです。

無いことも結構あるのが特徴です。

 

また特徴的なのは分布です。

左右対称性に出ていることが基本となります。

 

逆に左右対称性、体の一番遠い場所に同じような発疹が出ていることが

体の中から起きている炎症であることの証明にもなるわけです。

 

 

原因はウイルスかと考えれます。

然し、全身にウイルスがいるわけではなく、アレルギー的な反応かと考えられます。

というのも、そういった患者さんの中には

上気道炎や胃腸炎などの全身の感染所見が無いことも往々にしてあるからです。

つまり、ウイルスが皮膚に居て暴れているような水疱瘡などと異なり、

ウイルスはおらず、ウイルスに対するアレルギー的な反応になります。

したがって、発疹が出ている子から発疹が直接感染することはありません。

(間接的にその他の感染症が他の子に移り、アレルギー性の発疹ができることも

可能性としてはありますが、非常にまれなことかと考えられます)

 

治療法はアレルギーの治療に準じて行うことになります。

ステロイドの塗り薬、抗ヒスタミン剤などの飲み薬を使います。

治療期間は1ヶ月弱です。徐々に改善してくることがほとんどですが、

2,3ヶ月の間は少し茶色い色素沈着は残存しているようです。

 

以上、今回発生しているウイルス性発疹症のお話でした。

 

新型肺炎への当院の対策について(2020年1月末)

中国の武漢にて発生し、全世界に拡大しつつある、新型肺炎に対する

当院の対策をお話します。

 

現状国内での感染はほとんどなく、あくまでもの予防を行っている段階です。

 

・スタッフのマスク着用

しておりますので、ご協力お願いいたします。

 

また、場所柄、専門柄、子供が多いこともありますので、

・来院時消毒

をお願いします。

 

海外在住者の方も多いところもあり、

・海外在住もしくは帰国者は申告

をお願いします。

 

 

現時点では上記の対応を行っております。

今後感染の拡大の状況によっては追加での対応を行う場合があります。

まずブログでの告知を行いますので、確認をよろしくお願いいたします。

コレクチムのインタビューフォームを読み込んでみる(2020年1月)

先日の記事にも書きましたが、アトピー性皮膚炎の新規外用薬である、

コレクチムが承認され、販売にむけて話が進んできています。

 

本日PMDAにコレクチムのインタビューフォームが掲載されていましたので、

少し読み込んでみました。

ページはこちらです。

インタビューフォームとは薬の説明書詳細版です。

薬の箱に付属して入ってくる能書に比べ詳細な情報が掲載されていますので、

薬の評価の一つの手段となるわけですね。

 

まずは、適応疾患と適応患者さん。

基本的には年齢です。昨日のプレスリリースでもありましたとおり、

2歳以上16歳未満については治験中ということもあり、販売当初は

16歳以上の成人が対象になるかと考えられます。

その後2歳以上に拡大されるのではないでしょうか。プロトピックと一緒ですね。

また、制限がかかるのは妊婦さんと授乳婦さんです。

どうしても今までの使用経験がない以上安全策を取るのはやむを得ないかと思います。

ステロイド、プロトピックなどの代替薬がありますので、

大きな問題にはならないかと思います。

疾患はアトピー性皮膚炎のみとなるようですが、

こちらも妥当かと思います。

 

次は使い方についてです。

塗布方法は一日2回。これはプロトピックと同様です。

投与量制限あり、こちらは1回あたり5gまでとなっています。

つまり、一日2回の投与で10gまでOKですので、

プロトピックよりも制限は緩いと考えられます。

投与期間についての指定はありませんが、

4週以内に改善なければ中止をとの指示があります。

当然効かなければやめることになりますので、こちらも妥当かと思います。

 

次に気になる副作用ですが、

こちらも独特なものはありません。

免疫を抑える特性上、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症のリスクは上がりますが、

こちらもステロイドやプロトピックと同様に考えて良さそうです。

ヘルペスウイルス感染が多い印象を受けますが、プロトピックにもその傾向ありますので、

注意すべきことではなさそうです。

プロトピックのような刺激感はどうもそこまで高くはなさそうな印象があります。

つまり、ステロイドと同程度、プロトピックよりは少ないと考えても良さそうです。

また、長期投与による副作用についてはプロトピックと同等、

ステロイドより少ないと考えて良さそうです。

 

効果についてはいろいろ書かれていますが、正直わかりませんので、

保留。

使用したあとに考えることにします。

 

 

結論

まあ悪くはない薬剤かと思います。

ステロイド、プロトピックに続く3種類目の薬剤として

非常に期待したいところです。

 

あとは使用してみての感じでしょうか?

そちらについては実際に処方してからお話をしていきたいと思います。

 

今年の花粉はだいぶ少ないようですね。(2020年1月)

花粉症の季節も始まってきましたが、最新の予報も出てきたようです。

 

2020年春の花粉飛散予測第3報

 

昨秋の予報と同様、関東地方の花粉の飛散は例年と比べて少ないようですね。

ただし、あくまでも少ないだけで花粉は舞います。

 

また、アレルギーの反応は極微量から始まることもありますので、

例年に比べて症状が少なくなるかというとなかなかそのように言い切ることはできません。

軽くなる人もいるかな?くらいに受け止めるほうが精神的にもいいかもしれません。

期待しすぎると失望に変わることもありますしね・・・

 

でも、今年の花粉症。少なくなりそうと考えてもいいかもしれません。

例年通りの治療をしっかりとしていけば、かなりの確率で症状の悪化が防げる可能性があります。

また舌下免疫療法を行っている方の場合、明らかに昨年よりも症状が改善したことが

わかるかとも思います。

 

そろそろ花粉症本番ですが、しっかりと対処をしていきましょう。

水虫の薬でいちごが消える?

ネットのデータを漁っていたらこんな話はありました。

 

抗真菌剤つまり水虫の薬である、イトリコナゾールの投与でいちご状血管腫が改善する可能性が

あるとのことです。

 

いやいや、そんなと思いましたが、まあ、薬には思いも寄らない効果的なものがあるかもしれませんね。

なにせ高血圧の薬がいちご状血管腫に効果的な事がわかって、内服薬として一般的に使われるようになった世の中ですから。しかもここ10年の出来事ですから驚きはしませんが。

 

ただし、すぐに薬が登場するというわけではなさそうです。

あくまでも細胞レベルでの話であり、人間に投与した場合のお話ではありません。

ましてやいちご状血管腫の患者さんは0才児ですから、なおさら慎重に投与する必要があります。

また、その抗真菌剤自体も肝臓に影響を及ぼすことは往々にしてありますので、

軽々しく投与はできないのは当然のことです。

 

まあ、今すぐにということではありませんので、今後の進捗を見ていきたいところではありますね。

 

参考までに文献について記しておきます。

今後読み込んで見たいところですね。

J Invest Dermatol. 2019 Jul139(7):1574-1582. doi: 10.1016/j.jid.2018.12.028. Epub 2019 Jan 25. PMID: 30690033