わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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病気の話

アトピー性皮膚炎と温泉のお話

年末です。皆様はどこでこの年末をお過ごしでしょうか。

私は相変わらず仕事をしています。統計などをとっているので、時間があれば皆様にお目にかけることもできるかとは思いますが。

 

さて、年末の診察をしていると、よく旅行の話が出てきます。

この中でも、よく聞かれる事は温泉のお話。

特にアトピー性皮膚炎や乾燥肌の子の温泉のお話です。

今回はそんなお話をしていきましょう。

 

だたし、気をつけていただきたいのは小さい子と大人ではだいぶ話が変わるということです。

つまり、成人の場合は、リラックス効果や温度に対する鈍感さがあり、温泉がアトピー性皮膚炎の治療に

有効になることもあるのです。

ですので、あくまでも今回は小さな子の温泉のお話とお考えください。

 

さて、子どもが温泉に行っていいのか?これは別に問題ないでしょう。

ただし、気をつけて欲しいのは、小さな子は温泉に行っても別にリラックスすることはありません。

息抜きして、のんびりするということはあまり期待できないでしょうね。

自分をふりかえってみても、温泉地の旅館でのんびりは退屈だった記憶が有りますし。

 

問題は温泉に入ること。これは条件付きです。

まず、確認すべきは泉質です。これはしっかりと確認して下さい。

まず、硫黄系。これは皮脂をとってしまいます。

「ニキビを、乾燥して、なおしマース」というCMを昔、目にしたかもしれませんが、あれも硫黄系ですね。

このように、硫黄分は皮膚を乾燥させてしまいます。

 

ついでアルカリ系。特に「美人の湯」などと言われているものは注意が必要です。

なぜ、「美人」なのか?これは皮膚の表面がつるつる・ぬるぬるするからなのですが、

このぬるぬるの理由は皮膚の角質が溶けているからです。

つまり、弱くはありますが、ケミカルピーリングをしていると考えてもよいでしょう。

逆にいえば、皮膚のバリアを落とす行為です。

もともと皮膚のバリアが弱い子では更に症状を悪化させる可能性があります。

 

海水系はまだよいかもしれませんが、一般に浸透圧が高いのが特徴です。

したがって、湿疹やかきこわしがあるとしみる可能性があります。

また、塩分をよく取らないと、皮膚に付着した塩分により、湿疹が悪化する可能性もあるでしょう。

大深度地下水は逆にそんなに問題と捉える必要はなさそうです。なにせ井戸水ですからね。
(あ、もちろん海のそばでは海水を汲んでいるところもありますから確認はするべきです)

 

もう一つの問題は湯温です。

一般に温泉の温度は高めです。たまに、入れないこともあるくらいです。

また、子どもは体積は無いためにすぐに体温が上がってしまいます。

これが問題。体内深部の体温が上がると痒みが強くなってしまいます。

また深部体温はなかなか下がってくれません。

なので、いつまでも、「ほっこり」してしまうのです。

大人にとっては「きもちのいい」ほっこりさですが、子どもにとってはかなりつらいものがあります。

そして、引っ掻いてしまうのです。

 

このように子どもを温泉に入れるということはいくつかのリスクが存在しています。

最終的に実際に入ってみて/入れてみて、症状が悪くなるかどうかを見るしか無いでしょう。

ただし、心配でしたらお部屋備え付けのお風呂に入れてあげてください。

 

最後に家族で温泉に行くことが、子どもの乾燥肌の治療になるかということですが、

多くの場合は良い方向に行くと思います。

 

理由はいくつかあります。

まず、アレルゲンの暴露。温泉旅館と自宅ではアレルゲンの質と量が異なります。

特にダニについてはずいぶん異なります。

室内の環境アレルゲンに暴露されることで湿疹が落ち着かないような子は別の土地にいくと

良くなることがあります。転地療法という言葉もあるくらいですからん。

 

ついで、「ゆっくりできること」。これは本人にとっても家族にとっても良いことです。

特に母親は家事から開放されてのんびりと過ごすことができます。ストレスも多くの場合減るでしょう。

スキンケアを行う人のストレスも、病気に結構関係します。

ゆったりとした気持ちで、ゆっくりと薬を塗ってもらうだけでもずいぶん効果は変わってくるでしょう。

もちろん、本人も何かに追われることなく、生活することができますから、これだけでも違います。

自分でスキンケアを行う時間もきっと出来るでしょう

 

ということで「温泉地に行くこと」はアトピー性皮膚炎の子にとっては決して悪いことではありません。

ただし、「温泉」そのものには気をつけて。

 

ということで、今年のお話はこれで最後です。

では、また来年です。

 

ではでは。

ベビーカーは通気性がないものと最初から考えておくべき。汗疹対策のお話

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ベビーカーの通気性の広告内容について、消費者庁から是正勧告が出たそうです。

リンクを張っておきますが、リンク切れの可能性もあるので、コピー&ペーストでお願いしますね。
http://www.aprica.jp/system/uploads/191/original/warning_message_final.pdf?rf=20131226top
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG26038_W3A221C1CR8000/

そのページによると、どうも中綿の通気性は高いものの、その周囲を覆うカバーその他の通気性が不十分なために

結果として通気性は宣伝の通りではなかったということのようです。

これじゃあ、結果として特定の方向に誘導する表示と受け取られても仕方ありませんね。

 

ということで、今回はベビーカーの通気性のお話をしましょう。

赤ちゃんのあせもは夏と冬で出来る場所が違うという印象を受けます。

夏は背中、冬はお腹。

というのも、1年間外来をしているとわかるのですが、これば多分に

ベビーカーと抱っこひもの使用割合に関係しているという印象を受けます。

熱いところ、くっついているところにできるのが汗疹ですから、これが生活を反映したもので、合理的と考えます。

かように、ベビーカーは汗がたまるものです。

 

今回のケースはシートの通気性ですが、このシートの通気性と居住性は相反するものがあります。

当然です。一番通気性がいいものはハンモックのような網ひもの上に乗せることですが、これでは安定して座ることができません。

少し歩くたびにゆらゆら。ゆらゆら。

これでは赤ちゃんが車酔いになってしまいます。

では、もう少ししっかりとした網目にしたら?

と考えていくと、現在のしっかりとしたクッションにはそれなりの理由があることがわかります。

 

でも、その分、通気性は絶対に制限されてしまうのです。これが難しいところです。

というわけで、赤ちゃんのベビーカーによる汗疹問題をベビーカーの面から改善することが難しい。

とすると、洋服や赤ちゃんのほうで対処するしかないのです。

でも、赤ちゃんは汗をかくものですしねえ。

 

すると、洋服で対処する必要があります。

可能であれば、汗をかかせたら洋服を着替える。これがベストです

しかし、これも難しい。着替えをいっぱい持っていくのも難しですから。

なので次善の策として、タオルを利用する形がよいでしょう。

肌着の下に一枚タオルを敷いておく。

そして、しばらくベビーカーにのったらタオルをとる。場合によっては新しいタオルをかけてあげる。

これで、ある程度汗疹を予防することが可能になります。

また、たまに抱っこをして、ベビーカーのクッション部分を乾かしてあげることも当然有効ですよ。

電車に乗る時など、たまには抱っこさせてもよいかもしれませんね。

 

 

この方法は車のチャイルドシートに乗せる場合にも応用ができます。

飛行機のシートについても同じことができますので、試してみてくださいね。

 

おや、そろそろ帰省ラッシュの時期ですね。また、そろそろ空港も混んでくる時期ですね。

赤ちゃんの汗疹にも気を付けてあげて、よいご旅行を。

ありえへん∞世界でみた「ジンバブエの民間療法」には科学的な根拠がある(かもしれない)

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クリスマスイブの夜、Googleでサンタさんが出陣するのを見ながら娘は寝てしまいました。

 

その後何となく、テレビをザッピングし見つけたのがテレビ東京の「ありえへん∞世界の世界スぺシャル」でした。

 

その中でジンバブエの紹介があり、その最後のコーナーはジンバブエの民間療法が紹介されていました。

紹介された後に、スタジオでは「ありえなーい」の大合唱でしたが、

実は意外に科学的な根拠があるのではないか。

というお話です。

 

さて、番組の内容ですが、 まず一つ目は「傷口を治すのに砂糖を振りかける」ということです。

番組内では傷口を水で消毒し、粉砂糖を振りかけていました。

実はこれ、日本でも使われています。

まあ、粉砂糖をそのままかけるわけではありませんけどね。

精製した白糖を使用することにより、創傷治癒が進むというデータがあります。

白糖は浸透圧が高く、傷口の余計な水分を吸い取ります。

つまり、傷口のむくみをとることができます。

また、繊維芽細胞の増殖を促進する作用もあるとのことです。

 

現在、精製白糖そのものは医薬品にはありませんが、これに消毒剤のイソジンを加えたものは

処方箋医薬品として立派に通用しています。

ユーパスタという名前で処方されていますよ。

 

次に出てきたのは、頭痛に対してある木材を粉にしたものを鼻から吸入するというものです。

木の粉を吸うなんて・・・と思う方もいるかもしれません。

しかし、もっとも有名な頭痛薬はもともとある植物から作られたものです。

 

その頭痛薬はアスピリンです。

アスピリンは正式な名前はアセチルサリチル酸といいますが、大元はサリチル酸です。

そのサリチル酸の安全性を高めるためにアセチル基を付加し、化学的に合成したものがアスピリンです。

そもそも元のサリチル酸はヤナギの木に含まれており、化学的にヤナギの木から分離されました。

そのため、ヤナギsalixから分離されたサリチル酸salicylic acidと呼ばれるようになったのです。

 

もともとヤナギの木が鎮痛作用を持つことは遠くギリシア時代から知られていました。

またアメリカ先住民や日本人の間でも知られている知識でした。
(日本でも歯痛には柳楊枝を使うことで痛みが軽減できることが江戸時代には広く知られていたようです)

したがって、ある種の植物にはサリチル酸が多く含まれている可能性は十分にあるのです。

 

また、番組では鼻から吸引していましたが、これも合理的なのかもしれません。

サリチル酸は強力な酸であり、内服すると胃に障害を与える可能性があります。
(まあ、そのために安全なアスピリンが合成されたのですが)

アスピリンは胃や腸から吸収された後に肝臓でサリチル酸に代謝され、

薬剤としての作用を発揮します。

これに対して、サリチル酸を鼻から直接吸入すると考えると、 直接血管に吸収され、

サリチル酸が頭痛に効く可能性は十分にあり得るのです。

 

まあ、しっかり植物名を確認し、検証したわけではないので、あくまでも仮説ですが、

十分に効果を発揮する可能性はあると思います。

 

私たちは錠剤になった薬剤を飲んでいます。

しかし、その薬剤が開発されるまでは別のものを使用していました。

その薬の祖先は自然に由来するものはほとんどです。

極端な話、薬の祖先はみな民間療法から始まりました。

それを様々な人が少しずつ改良し、使いやすいように作り変えてきたのです。

私たちはそのことを忘れてはいけないと思うのです。

虫さされを心配するときに確認しておきたいこと

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診察をしていると、虫さされについて相談を受けることがよく有ります。

特に、屋内でのダニ・ノミ刺症を心配して相談を受けることが有ります。

相談を受ける側から、「こんな風にしてくれると嬉しいな」についてお話したいと思います。

 

まず、屋内での虫刺されで考えられることについてお話していきましょう。

屋内で虫に刺されるにはまず、屋内にいなければいけません。

今さらなにを。と思われるかもしれませんが、これは重要な事です。

つまり、虫刺されの症状の強さは、その屋内に居る時間に関係してきます。

つまり、家族の発生状況をしる必要があるのです。

誰に、いつから出来たのか。

発疹の数はどのくらいか。痒いか、痒くないか。

を確認することが、診断の上で重要になります。

そのため、同居している家族全員を一緒に診察することが大事なのです。

多くは普段から家にいる子ども、母親、高齢者の順に出ることが多いです。
(父親に症状が出ることは少ないのが現状です)

また、特に高齢者では病気を持っていたり、飲み薬を飲んでいる方も多いのですが、

それが、虫さされの反応を歪めることが有りますので、

基礎疾患と内服薬の種類と量を確認する必要があるのです。

 

もう一つは虫の種類です。

多くの虫は「家に」もしくは「部屋に」憑きます。

しかし、一つだけ気を付けなければいけない虫がいます。

それが、疥癬です。この病気は「ヒゼンダニ」というダニの1種が原因で起きる病気ですが、

このダニは「人に憑きます」ので、別途考える必要があるのです。

ヒゼンダニの見つけ方ですが、疑わしい人の皮膚を削ってみて顕微鏡で確認します。

そして、顕微鏡の画面の中に虫がいれば確定です。

もう一つの見つけ方はステロイドを塗ることです。

ステロイドの作用として、湿疹を始めとするアレルギー反応を抑えることが有ります。

しかし、微生物は増やしてしまいます。

そのため、

部屋や家に憑く虫・・・ステロイドを塗ると症状はよくなるが、新たに症状が出てくる
(虫さされによるアレルギー反応は抑える。しかし、虫は退治できていないので、新しく刺される)

人に憑く虫・・・ステロイドを塗っても症状は良くならない。新たに症状が出てくる
(虫さされの反応は抑えているが、ヒゼンダニも増えてしまい結果的に症状が落ち着かない)

と違いが見えるのです。

(と書いていますが、厳密に区別をすることは大変です。皮膚科医に経過は見てもらってください)

診断と治療を同時にしていきましょう。というお話ですね。

 

次に、媒介する動物を考える必要があります。

いくつかの虫は普段は有る動物に憑いていて、時に人の血を吸うという生活をしているものもいます。

ですので、まず、ペットを確認する必要があります。ペットを飼育している人の場合は、

ペットの種類、年齢、持病、異常な行動の有無について確認する必要があります。

但し、ペットも高齢になると免疫が弱くなり、虫が憑いていても痒みを感じないことも有りますので、要注意です。

疑わしい場合はペットを獣医さんに診察してもらうことも必要です。虫が憑いていない証明があると、大分診断は楽になります。

また、野良ネコ、ハトが家のそばまで来ていないか注意が必要です。

同様にネズミも家にいませんか?ハクビシンということも有りましたが、野生の動物が家に住み着いていないか確認することも大事です。

最後にヒトです。野良のヒトはまずいないかと思いますが、

特に疥癬では注意が必要です。家族に介護や看護職の人がいないか。デイケアなどの高齢者が集まる施設に行くことがないか。

については必ず情報を確認する必要があるでしょう。

 

最後に、もしも虫がいれば、捕まえるか写真を撮ってきてください。

それが出来なくとも、目撃情報でも構いません。(信用度は物証が無いため少し落ちますが)

もしも捕まえた虫がいれば、顕微鏡で確定診断を行うことが出来ます。

 

私が虫さされの診断を行うときには以上の情報を集めてから診断を行います。

虫が心配な方は上記の情報を持ってきてもらうと、診断を素早く行うことが出来ます。

診察前の参考にしてくださいね。

これから、トコジラミ刺症は増えるかもしれませんね

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開業して、9ヶ月が経ち最初の年末がやってきます。

多くの患者さんの診察を行いましたが、意外に多いと思ったのが、トコジラミでした。

すでに数人の患者さんを見ています。

今までほとんど診察していなかったのにね。と思い、色々と原因を考えてみました。

多くはその地域の状況に依るのでしょうね。きっと。

 

トコジラミ。南京虫(ナンキンムシ)と言った方が通りがいいかもしれません。

この虫は小さな虫です。大きさは米粒くらいでしょうか。

黒っぽい色をし、普段は扁平な円盤状の形ですが、ヒトの血を吸って丸くなります。

一般に古くなった住居に棲むことが多いようです。

 

問題は、その古くなった住居。というところです。

この住居の築年数はその地域が開発された時期によって、大きな格差があります。

東京という街の開発状況に大きく依存するところがあります。

吉祥寺が開発されたのは戦後すぐのことでした。

そうすると、昭和30年台頃に建築された建物は現在築50年くらいになります。

逆にバブル期直前の時期に建築された建物はまだ築20年と少し位です。

つまり、その地域の建物の老朽化の度合いとトコジラミの発生率には関係があると考えられます。

 

もう一つ、トコジラミの発生要因が有ります。

そこに住んでいる人の年齢です。

一般に築年数の高い住居に住んでいる方は、高齢者である傾向があります。

高齢者と若年者の違いはいくつか有りますが、

まず、症状の出方が違います。

同じ虫に刺されても一般には若年者の方が早く、強く症状が出ます。

これは免疫状態によって決まることなので、仕方ないのですが・・・

また、静的視力、動体視力のいずれも高齢者になると衰えてきます。

そのために「虫を視る」ことができなくなってしまい、結果的に発見や診断がおそくなってしまいます。

 

高齢化社会の問題は現在色々なことが言われています。

このトコジラミを始めとする環境害虫の問題も注意してみる必要がありますね。

 

しもやけ警報発令中

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冬も深くなり、毎年恒例の「雪に注意」がマスコミから出てきました。

今日の夜から明日の朝までどうも雪が降るようです。

時期を考えると地面の温度は十分に下がっていないので、

積もることは無いかと思いますが。

 

但し、気温はかなり下がっています。最高気温で10度以下、最低気温が0度くらいになりました。

実際の温度を考えると、早朝から朝にかけては5度以下といったところでしょうか。

 

そして、明日は雨。

ということは、結構な確率でしもやけになる子どもが出てくるでしょう。

要注意です。

 

さて、しもやけの対策ですが、まず、予防です。

暖かい靴を用意すること。可能ならスキー場などに行けるくらいしっかりとした防寒の靴を使いましょう。

同様にしっかりとした手袋や耳あても用意してあげてください。

靴下も忘れずに準備してください。

なお、靴下は替えを必ず持たせてください。

登校時に濡れたらすぐに。濡れなくても汗をかきますから昼休みか放課後に変えるようにお話しましょう。

 

帰宅したらすぐに暖かいお風呂に入れてください。無理でも足浴はさせたほうがよいでしょう。

床暖房やこたつもしっかりと準備してください。

室内でも暖かく乾燥した靴下を履き、スリッパや室内ブーツを履かせることで十分に予防ができます。

こたつもよいでしょう。

くれぐれも裸足でフローリングの床を歩かせないでくださいね。

また、温度の下がる時間帯にでは特に不要不急の外出は取りやめたほうが良さそうです。

 

残念ながらしもやけになってしまった場合、痒くなることが有ります。

保温に気をつけることも大事です。また、痒みにはステロイドの塗り薬も有効です。

 

ここまですれば、しもやけはしっかりと予防できます。

頑張って。

面接官とアトピー性皮膚炎

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受験とアトピー性皮膚炎のお話、その続きです。

 

さて、受験や入社試験など、多くの選考を行うべき局面では

試験官と相対する面接を行う場合もあるでしょう。

今回はその場面でアトピー性皮膚炎がどのような影響をおよぼすのかについて考えたいと思います。

 

結論から述べると、年齢が上がるほど、不利になる。

でしょうか。

 

まず、面接官の素性を考えてみましょう。

受験ではおおむね学校の先生ということになるでしょう。

しかし、就職や転職についての面接官はその会社の社員でしょう。

しかも、偉い人だけではなく、一般の社員も駆り出されることもあると聞いています。
(特に大量の応募者を篩分けするような面接の場合はそうなるでしょう。)

 

ここに一つの大きな違いが有ります。

 

学校の先生は教育学を学んでいます。また、子ども達と接することが多い以上、子どもがどのようなものかも知っています。

また、アトピー性皮膚炎の子どもがどのような存在かを知っている。

コントロールされたアトピー性皮膚炎が学力に大きな影響を及ぼすものでは無いことも肌感覚で知っているでしょう。

 

しかし、会社の面接官にそのレベルの知識や知恵があるでしょうか?

残念ながらあまり期待をするべきでは無いでしょう。

すべての面接官にアトピー性皮膚炎に関する知識を持っていることを期待してはいけないでしょう。

逆に無知からくる偏った知識を持っている可能性は否定できません。
(アトピー性皮膚炎の人はみんな・・・・・っていうやつですね。)

同僚にアトピー性皮膚炎の人がいればまた違うんでしょうけれども。

 

そして2つ目の問題はまさに「同僚にいれば・・・」なのです。

アトピー性皮膚炎は年齢とともに発症している人の割合が減少します。

幼稚園、小学校、中学校、高校とそれぞれ人数が減っていきます。

受診する人もそうですし、実際に学校の検診のデータも同様の結果が出ています。

これはアトピー性皮膚炎が発症する一つの理由として「皮膚が子どもだから」ということも有るでしょう。

このお話はよく知られたものです。

 

では、それ以上ではどうなのか?

成人期になってからのデータはあまりないのですが、成人になってからも年齢とともに少しずつ

患者さんの数は減少していく印象を受けます。

 

このことから考えると、以下のことがわかります。

学校の先生はまずみんなアトピー性皮膚炎の子を見ている。

社会人の社員では、アトピー性皮膚炎の同僚や部下を見る確率は学校の先生よりは少ない。

ということが考えられます。

当然、アトピー性皮膚炎に対する理解度も同様の傾向を示すでしょう。

 

最後にもう一つ考えてみましょう。

面接を行い、合否判定を下すのは原則として上役です。

上役は多くの場合年齢が上になるでしょう。

学校は教頭先生や校長先生。

会社は社長や常務専務部長。

といったところでしょう。

さて、彼らのアトピー性皮膚炎に対する知識はいかがなものか?

と考えると、どうでしょうか。

やっぱり、ここでも差が出てくるのでは無いでしょうか。

 

知っているのか、知らないのか。

残念ながらあくまでもこのお話は推論です。

手元にはっきりとしたデータが無いのが現状です。

だれか、詳しい情報は持っていませんか?

もしもおもちこ方がいればコメントください。お待ちしています。

アトピー性皮膚炎は受験では不利なのか?

アトピー性皮膚炎と受験のお話。

今回は病気そのものが受験に影響するかというお話をしたいと思います。

 

でも、調べてみたのですが、あまり情報がありません。

但し、一般的にアトピー性皮膚炎という病気そのものは学習能力には直接影響してはなさそうです。

 

しかし、アトピー性皮膚炎を持っている人が受験に対してどうかと考えると、

やはり不利。ということになるかもしれません。

以下にその考えを述べましょう。

 

1)痒みによるパフォーマンスの低下。

痒いということはそれだけで勉強の集中を妨げます。
同じ時間勉強をした時に、痒い人はそれだけ能率が落ちる可能性は十分にあるでしょう。

2)治療による時間のロス

アトピー性皮膚炎の人は毎日薬を塗る必要があります。
もしも全身に薬を塗るのであれば、それだけで1回あたり5分から10分程度の時間がかかってしまいます。
また、医療機関に通院する時間もロスになる可能性があります。
学校をお休みまたは早退していくとなると、その機会損失(学校で聞ける知識を聞けない)も有るでしょう。

3)飲み薬による眠気

アトピー性皮膚炎に対して飲み薬を処方されている方も多いかもしれません。
最も頻用される抗ヒスタミン薬ですが、副作用として眠気が有ります。
特に気をつけないといけないのは、インペアード・パフォーマンスと呼ばれるものです。
つまり、眠いわけではないけれど、脳みその一部が寝ているという状態です。
厄介なことに、気が付かないうちに効率が落ちていることが有るのです。

4)整容的な問題

これは面接の時に問題になるかもしれません。
特に顔面に強い湿疹が有り、そのために見た目で損をする可能性があります。
また、見た目によるバイアスが掛かる可能性も否定できません。
知識のある教育者ですからそのようなことは無いかと思いますが、
当落線上ギリギリにある時には問題になるかもしれません。

 

アトピー性皮膚炎が直接的に影響しているのはこのくらいでしょうか。

間接的な影響としてはどのようなものが有るでしょうか

5)性格の変化

一般的にアトピー性皮膚炎の人は性格が抑うつ的になる傾向が見られます。
そのために、本来得ることの出来る知識が得られない。また、人よりも強い不安のために
その知識が定着しない可能性があります。

また、特に小さい時に顕著に現れますが、引っ込み思案になっている場合は、
努力に対する正のフィードバックがかからない可能性があります。
つまり、他の子の前に出ない。褒められる機会が減る。褒められることを報奨とする努力志向が出てこない。
という可能性も考えられます。

 

さて、長々と考えてきましたが、これらはあくまでも仮説です。

当然人により大きな差があるでしょうし、

多くの人を対象とした調査もなされてはいないかと思います。

少なくとも私は聞いたことはありません。(調べてもそのような調査はありませんでした)

 

このお話はもう少し掘り下げてみたいと思います。

爪噛み癖にバイターストップを使ってみる。特にアトピー性皮膚炎の子には有効かもしれない。

マヴァラ バイターストップ/10ml 【HTRC3】

 

外来で診察をしていると、結構な頻度で目にするのが爪噛み癖です。

両手指の爪前部が凸凹していることもあります。

 

この爪噛み癖。くせがあること自体は様子を見てもいいのではと思うのですが、

この凸凹している爪で皮膚をひっかくと、結構な確率で切り傷ができてしまいます。

出血して、かさぶたが出来てしまうと、そのかゆみが頑固になってしまいます。
(これは科学的にも証明されているのです)

なので、特に湿疹の子の爪噛みを止めることはひとつ重要な事になります。

でも、痒い→精神的ストレス→爪噛み→掻爬→湿疹の悪化→痒い

といった悪循環をどこで断ち切るかは問題になります。

 

このような場合、まず湿疹を抑えてということになりますが、掻爬が強く湿疹を抑えきれないことも有ります。

でも、このバイターストップを使うことで湿疹を間接的に抑えることが出来るかもしれません。

 

バイターストップの原理は簡単です。

「苦い。」ただそれだけ。

方法は爪に塗るだけ。爪をなめたらとても苦く感じるために爪噛みをやめる。

という算段です。

そうすると、噛んでいる子でも、爪を噛むと苦くてイヤだ

ということに気がつくので、爪を噛まなくなるわけですね。

いわゆる条件付けという方法です。悪い言い方をすれば「パブロフの犬」でしょうか。

 

この方法ですが、以前に試したことが有ります。

使用する薬剤はゲンタシン軟膏。

傷薬に使うアレです。緑のキャップ。

この薬も結構苦いのです。

そのために爪に塗ることで爪噛みの対策としたことが有ります。

結果は半分位の人で効果ありました。

 

今度、実際に自分で使ってみて苦さを確認したいと思います。

 

 

追記

普通の子の普通の爪噛みを無理に止める必要性は無いと考えます。

爪噛みというものは、その子に加わるストレスを自分なりの方法で解消しようとして出てくる行動です。

もしも、この薬で爪噛みを止めさせたとしても、時には別の方法でストレスを解消しようとするかもしれません。

例えば、チックや抜毛などという形で出ることも有ります。

使用の際にはメリットとデメリットをしっかりと考える必要があります。

心配でしたら近くの小児科、皮膚科の先生に相談してみてください。

受験とアトピー性皮膚炎 

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診療が終わり、吉祥寺の駅前に向かって歩いている途中に、予備校がありました。

ふと中を見ると、壁に張り紙がありました。

「センター試験まであと50日」

ああ、もうそんな時期ですね。

今回はアトピー性皮膚炎と受験についてのお話をしたいと思います。

 

人生には「たった1日のパフォーマンス」でその後すべてが変わってしまう日というものがあります。

そんな日はあまり多くありません。

幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院の入学試験、

就職試験、転職試験、デートやお見合いの日、

資格試験の日

といったところでしょうか。

 

これは、私の個人的な考え方なのですが、アトピー性皮膚炎を持っている人に取って、

「ガッチリと抑えこんでおきたいとき」と「通常通りしっかりと治療していれば良いとき」の

2つに分けることができると考えています。

「ガッチリ抑えこんでおきたいとき」は、普段であれば副作用を考えてあまり使わないような治療を短期間だけ、しっかりおこなうこと
(例えば、ステロイドやシクロスポリンの内服、強いステロイドの外用)

言ってしまえば、「後先考えず、その時だけ抑えこめればいいや」という方法です。

「通常通りしっかりと治療」は、普段から行っている、効果と副作用のバランスを取った治療法ですね。

 

大きく分けると、

ガッチリ治療・・・各種入学試験、資格試験

通常治療、時にがっちり治療・・・就職試験、転職試験

通常治療・・・デート、お見合い

となるのでは無いでしょうか。簡単に説明したいと思います。

 

各種試験は基本的に一発勝負になります。
(資格試験はものによるでしょう。数回にわけることが可能であったとしても、
その1回に失敗するだけで数ヶ月人生が変わることも往々にしてあると思います)

特に面接のある試験では見た目も重要である可能性があります。

なので、その後のことを考えるよりも、その瞬間に症状を抑えることが必要になるでしょう。

したがって、それらの試験の時にはガッチリ治療。

 

逆に就職や転職、お見合いやデートについては長期戦です。

その瞬間をしのいだとしても、その後の事があります。

もちろん就職、転職については本命の面接など、ガッチリとした治療が必要になる瞬間はあるかもしれません。

しかし、長期戦をずっと、後先考えない治療法を続けていくことは問題です。

また、デートやお見合いについては、うまく言ったあとは長い人生を一緒に過ごす相手となるわけですから、

後先を考えず、その瞬間のみに注力する治療法はおすすめできません。

 

 

言うまでもないことですが、通常からしっかりと治療を行うことによって、

アトピー性皮膚炎の症状をきちんと抑えておくことがベストでしょう。

しかし、そうも言っていられない時もあるかと思います。

もしも、そのような状況になったらどうすればよいのか?

 

まず、そんな時には皮膚科の先生に相談してください。

本当に大切な瞬間がいつなのかをきちんと話をしてみてください。

皮膚科医は現在の治療法の他にも、「副作用その他リスクは高くなるけど、治療効果も高い方法」を知っています。

普段はリスクの事を考えてその方法は治療法の俎上に載せないわけです。

ただし人生で大事な瞬間、出し惜しみしていられない瞬間であれば、場合によっては

普段考えない方法も検討の余地が出てきます。

ですので、まずは恥ずかしがらずに相談してみることが大事なのです。

 

次は実際に受験そのものと湿疹の関係についてお話をしていきましょうか。