わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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わかばひふ科クリニック院長野崎誠(皮膚科医)及びスタッフのブログです。

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2017/3/14
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皮膚科受診日は水虫の市販薬は塗らないで

来てほしいのです。

 

 

ということで今回は水虫のお話。

ドラッグストアや薬局では水虫の市販薬が色々と置いてあります。

水虫かもと思ったときは、市販薬を塗って皮膚科を受診したほうが良いですか?

というお話です。

 

皮膚科は、

水虫の市販薬を塗って受診すると、結果的に水虫の診断治療が遅れますよ。

という考えです。

 

水虫とは何か?白癬菌いわゆる水虫のカビが足の皮膚につくことにより生ずる病気です。

なおこの白癬菌は水虫で無い方の足にはおりません。

つまり、白癬菌が有るかないかが水虫の診断の基準となるわけです。

実際に皮膚科では水虫の診断をするために足の皮膚を削って

顕微鏡で水虫の有無を確認するんですね。

 

ただ、その検査は市販薬を塗ってしまうとわからなくなってしまうのです。

薬のせいで水虫がいなくなってしまうんですね。

そうなると逆に診断できないのです。

だって元々いないのか、居たけど居なくなったのかの判断は顕微鏡ではできないですから。

 

そうすると皮膚科としてはまず何も塗らずにしばらく経過を見て、

症状が出たら再度顕微鏡で検査をしてという形で対応をせざるを得なくなるのです。

また再度受診していただくことになるので、手間がお互いかかってしまうのです…

 

 

また、そもそも論として、水虫と言って受診される方のある程度の割合で、

水虫でない方がいるのです。

汗による湿疹だったり、多汗症だったり、ウイルスによる病気だったり。

そういったものを水虫と言って受診される方も多いのです。

だから顕微鏡で検査をする必要があるんですけどね。

逆に市販薬をそういった病気に対して塗っても効果は期待できません。

というところもあまり水虫の市販薬をおすすめしない理由でもあったりします。

 

できれば皮膚科を受診する日は最低でも市販薬は塗らないでほしいですし、

本当のことを言えば市販薬を使う前に一度受診していただきたいところですねえ。

浸水した道を歩いて帰った後にすることは?

今回は災害対応のお話です。

皮膚科的に少し考えてみることにしましょう。

 

昨今の集中豪雨、以前よりも凄さを増していますねえ。

お家も浸水のリスクを考える必要がありますが、それ以外にも、帰宅途中に

浸水に見舞われその中を歩いて帰ったとき、その後どうしたらよいかを考える必要がありますね。

 

足がびしょびしょでお家に帰る前に行ったほうが良いことがあります。

それは家族に連絡を取ること。

自宅でもあらかじめ準備をすることで被害を最小限に食い止めることができます。

ではその被害は何か?健康被害ですね。

つまり浸水した水はただの雨水ではありません。

雨水、下水の入り混じった水である可能性があります。

少なくとも一度側溝に入った水ですので、側溝内のさまざまな有害物質に汚染されていると考える必要があります。

また側溝内には動物の死骸などがありますので、病原微生物への暴露も考える必要があります。

そのようなモノを家に持ち帰るわけですから帰ってこられる側でも相応の対応をする必要があります。

なので、事前連絡からの準備は大事です。

 

では連絡された側は何をするかというと。

まずは玄関にバケツやビニールの大きな袋を準備してください。

可能ならざっと洗えるようにお湯/水を準備すること。

そしてお風呂場まで、床を歩かなくても良いようにお風呂場までタイルや防水シートを敷いておく。

最後にお風呂にお湯を張っておくこと。

以上は帰宅直後に行えるように準備することを推奨します。

可能であればアルコールで消毒する準備も必要です。

というのも時間が経てばその汚染物質は乾燥し、ホコリとなって舞うことになります。

そのリスクを下げる必要があるんですね。

 

ということで事前に準備をしてもらってから帰宅します。

帰宅して玄関先でまず行うこと。

脱いでください。

靴も、濡れたズボンも全部脱ぎましょう。

上半身も汚れたのであれば、汚水のついた服は全部脱ぎます。

そしてそばに置いたバケツなり、大きなビニール袋なりにしまい、

蓋をするかくくるかをして、汚水でそれ以上周囲を汚染しないようにします。

 

で、タオルや防水シートの上を歩いてそのままお風呂場へいきましょう。

そしてまずはしっかりとシャワーをして汚れを落としてください。

一般的に石鹸は1回使えば良いと思いますが、心配なら2回石鹸で洗いましょう。

その後湯船に入り、体を温めると良いかと思います。

 

湯船に入って行うことはまず汚水付着部に傷が無いかの確認です。

水虫、擦り傷、虫刺されなど、皮膚の一部に傷があればそこから感染を起こす可能性が

跳ね上がります。

同様にふやけて破れた皮膚についても要注意です。

湯船の中でゆっくりで良いので全身特に下半身はくまなく確認してください。

問題なければOK。

温まったら、まず湯船のお湯を抜き、浴槽内を洗剤で掃除し、もう一度シャワーで汚れと湯船のお湯を落として上がります。

その後は清潔な服を着て、汚水が付着した可能性があるところを消毒して回りましょう。

最後に寝る前に再度足を中心に皮膚のチェックを行います。

その頃にはふやけた皮膚も乾燥していると思いますので、再度傷の確認を行います。

 

(汚水の付着した洗濯物・靴への対応は専門の方の情報を確認してください。

こちらでは割愛します)

 

当日の対応はそれでOKです。

翌日以降ですが、

・もともと免疫の低下している方(糖尿病、ステロイド/免疫抑制剤内服、抗がん剤治療中など)

・汚水付着部に傷、虫刺され、水虫など皮膚ダメージが見られる方

・新たに皮膚になにか症状が出てきた方

は早く医療機関を受診することをおすすめします。

持病があり、定期的に通院している方はそちらの受診を検討してもよいですし、

皮膚科や形成外科、外科などいわゆる皮膚や傷の対応ができる医療機関を受診しても構いません。

免疫力が低下している方であれば状況によっては予防的に抗生剤などを飲むことも考えられます。

またそれぞれの皮膚症状がある方は、感染症を注意しつつそれぞれの皮膚症状を抑える必要があります。

なお、受診時には汚水に触れたことはきちんとお伝え下さい。

その情報が有るか無いかによって医療従事者の感染症対応が変わってくる大切な情報ですので、

状況の説明をしていただけるとありがたいです。

後は医療の方で対応という形になります。

 

感染症ですが、吸い込みからの呼吸器感染症もありますが、まず最初に考えるべきは

皮膚局所からの感染症です。

一般の方であれば大きな問題になることがありませんが、特に糖尿病などの方では

対応が遅れると切断レベルの話に進行することがありますから注意が必要です。

本当に怖いんですよ…

 

最後に繰り返しになりますが、

浸水した水はただの雨水ではありません。有害物質、病原微生物を含んだ汚水です。

きちんと対応し、その後の感染症もしっかりと予防してくださいね。

アトピーは秋に2回悪化する?

今回はアトピー性皮膚炎のお話。

その中でも学生さん以下の年齢のお話になりますかねえ?

 

秋のアトピー性皮膚炎。

季節の変わり目にはアトピーは悪化しやすいと言うお話はよく耳にするかと思います。

ただ、秋に関しては悪化のポイントは2つ有るのですよ。

簡単に説明をしていきましょう。

 

一つは気候変動によるものです。

大体9月終わりから10月にかけてですが、気温が下がるとともに湿度が徐々に下がります。

そのため乾燥が強くなり、アトピーが悪化します。

一般的に言われる秋のアトピー悪化というのはこのことを指すことが多いです。

対応としてはしっかりと保湿をすること、保湿剤そのものを夏用から冬用に切り替えることでしょうね。

 

ただ、秋の悪化にはもう一つあります。

こちらは先の気象条件とは異なる社会的なものです。

つまり、9月1日。

いわゆる夏休みの終わりですね。

もっとも最近の学校は8月中に2学期が始まるところも多いので、

以前よりは幅が出ますが、夏休みの終わりから学校の始まりにかけては

悪化するパターンが多いようです。

こちらの原因は実は難しく、いろいろな要因が考えられます。

一つはスキンケアの低下。

夏休み中に毎日シャワーをしていた子が2学期になって止めてしまう。

ということも往々にしてあります。

そのために悪化する可能性があります。

あとは、睡眠不足やストレスですね。

夏休みの宿題の仕上げだったり学校の準備だったり。

睡眠時間は短くかつ不規則になる子も多いでしょう。

学校に行くこと自体がストレスになる子もいるでしょうし、

心理的な障壁がなくとも生活習慣が変わりますからそれはストレスになります。

そのために湿疹が悪化するということもあります。

最後、受診できない問題ですね。

忙しく、やることがおおい新学期当初は物理的に時間が取れないとか、

保護者側もバタバタするために受診がなかなかできないということになりがちです。

そのために薬がなくなってもそのままになってしまう。

という問題が発生し、結果的に治療強度が下がるから湿疹が悪化するということになります。

 

そういったわけで、空気の乾燥の時期は要注意ですが、

夏休みの終わりから二学期の始まりは子どもたちのアトピーにも負荷がかかりますので、

要注意ということになるのです。

 

秋も少しずつ顔を出してきた気候ではありますが、しっかりとケアは続けていきたいところです。

秋に流行する皮膚病って何がありますか?

今回は秋のお話。

もうそろそろ夏もおしまいですからね。

 

秋に流行する皮膚の病気はいくつかありますが、

代表的なものはこの3つでしょう

・いぼ

・みずいぼ

・しらみ

この3つは夏にすでに種がまかれているのですよ。

 

種がまかれていると言っても植物のように本当にタネがあるわけではありません。

原因となる微生物はすでに取り付いているというお話です。

いぼはイボウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)

みずいぼは水イボウイルス(伝染性軟属腫ウイルス)

しらみはシラミ

ですね。

 

いずれも潜伏期間を持って発症する病気です。

潜伏期間というのは感染が成立してから症状が出るまでの時間のことですね。

いぼとみずいぼはウイルスが皮膚に感染して発症するわけですが、そのウイルス粒子は非常に小さいので

当然目には見えません。

ウイルスが多く出現し、皮膚に変化を起こして初めて症状として捉えることができます。

そういうタイムラグが生じるのが特徴です。

シラミは逆に目に見えます。

ただ、隠れるのは上手なので、シラミが取り付いた段階では目で見つけることはまず不可能。

ではなぜ症状が出るかというと、シラミが頭皮から血を吸う。その時皮膚に入るシラミのタンパク質に対する

アレルギーとして痒みが生じるんですね。

つまり、刺された当初は何も起きないのですが、何度も吸われるうちにある日突然アレルギーが成立する。

そのために症状が出る。

ということでしらみが取り付いてから症状が出るまでの時間差が潜伏期間ということになります。

 

でき方は違うとは言え、潜伏期間はそれぞれ数週間暗いと考えます。

つまり秋に流行する病気というのは今頃に感染が成立している可能性が高いというわけです。

秋の病気は夏に始まっているわけなのです。

毛虫の季節がやってきました?(2024年8月)

毛虫の季節がやってきたんでしょうかねえ?

 

今回は毛虫の話です。

 

毛虫による皮膚炎というのがあります。毛虫の毛が皮膚に刺さり、アレルギー反応を起こすわけですね。

ちなみにこの皮膚炎を起こす毛虫は蛹にも成虫になった蛾にもその毒針があるのですが、

数からいうと毛虫の毛の数がダントツで多いのです。

その毛虫皮膚炎の患者さんを目にするようになりましたというお話です。

 

毛虫皮膚炎は年に2回春と秋に発生します。

問題はシーズンごとに発生量が大きく変わること。

つまり、患者さんが多く受診するシーズンと全然受診しないシーズンがあるのです。

今年の春は全然受診しないシーズンでした。

秋はどうなるのかというとまだまだ読めないのです。

ただ患者さんが来ましたよというお話。

しかし、この時期は帰省先で発症して帰って来る方も多いので東京で発生しているかというと

そこがまだわからないんですけどねえ…

 

ただ、毛虫皮膚炎の特徴として、

特に体の一部に密集し、その集中部分から離れるに従って徐々に密度が下がってくる。

そしてとてもかゆい。

そんな発疹を見たときには毛虫からの皮膚炎を疑ったほうが良いのです。

これから増えてくるかもしれませんので要注意ですね。