わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

薬の話

プラス3日

と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?

試験まで後3日ほしいとは、学生の時に良く思っていましたけどね・・・

 

このプラス3日。

実は湿疹の治療のキーとなる言葉です。

 

湿疹とは何か。

難しいお話になるので、これはまた別の機会にしますが、

ひとつ言えることは

「目に見えるものだけが湿疹ではない」

ということです。

 

赤いから湿疹。ザラザラしているから湿疹。

もちろんそうです。でも、

赤くないから湿疹ではない。ザラザラしていないから湿疹ではない。

と言い切ることはできないのです。

つまり、目で見てもわからない湿疹は多数ある。

ということなのです。

 

 

これは何を意味するのかというと、

湿疹というものは目で見えなくても残っていることがある。

ということです。

そして、目で見えなくなってもそこには湿疹が残っていますから、

治療をやめるとすぐにぶり返してしまう。

ということなのです。

 

ここで冒頭の「プラス3日」なのです。

湿疹がなくなった。目で見えなくなった。

そう思ってからプラス3日治療をしてみてください。

それだけで湿疹のぶり返す頻度は一気に少なくなるはずです。

 

この法則がよく効くのが赤ちゃんの湿疹です。

特にお顔の湿疹がすぐにぶり返してしまい、悩んでいる方にとっては、

このプラス3日。

それだけで良くなることもたくさんあるのです。

蕁麻疹の治療は内服時間の設定から

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iPhone5Sの投げ売りが始まってるようですね。そろそろ新機種発表でしょうか。

販売価格を見ると、販売直後が最高値で後継機種の出現直前が底値になりますよね。

実は蕁麻疹も同じことが起こるのです。

・・・まあ、蕁麻疹はお店で買うことはできませんが。

 

他の病院で蕁麻疹の治療の治療をされている患者さんが来院されることがあります。

私は最初は薬剤の種類を変えたり、量の変更を試みることは殆どありません。

まずやること。それは蕁麻疹がよく出る時間を確認し、

その時に血液内の薬の濃度が最大になるように飲む時間を変更してもらうことです。

それだけでだいぶ症状の出方が変わってくることが多いのです。

 

蕁麻疹の治療は飲み薬で行います。

飲み薬の血液内の濃さにより治療は決まります。

飲み薬は飲んだ1時間後くらいが最大になります。

ということはその時間が蕁麻疹に対する治療効果が最大になり、

その後少しずつ落ちていくのです。

 

したがって、蕁麻疹の治療効果を最大にするためには

蕁麻疹のよく出来る時間帯を確認し、その時間帯に薬剤の濃度が最高になるように

少し前に薬を飲む。

 

結構効果ありますよ。蕁麻疹にお悩みの方は試してくださいね。

妊婦さんが飲める薬、飲めない薬

前のお話で、妊婦さんと薬の話を長々とさせていただきました。

問題問題といっているけど、じゃあどうすればいいのさ。

という声があがるもの尤もですので、今回は対策についてお話をしていきましょう。

 

妊婦さんがその薬を飲めるのか否か。

実は薬の説明書だけを鵜呑みにするわけには行きません。

というのも、先日の記事に記載した通りあくまでもこれは公式なものに過ぎず、

製薬会社が試験を行っていなければ何も記載できないのです。

(まとめたサイトはこちら。PMDA

まあ、家電やパソコンなどの説明書とお考えください。

 

しかし、あくまでもこれは日本国内のお話です。

アメリカなど、他の国では妊婦さんに対する使用が許可されているものもたくさんあります。

というのも、日本の薬は日本人を対象に試験を行わなければいけないからなんですね。

 

また、実際の問題として妊婦さんに飲んでもらったことがある。

という薬ももっとたくさんあるのです。

先日ドラマで放送されていましたが、妊婦さんが乳がんになり、抗癌剤の投与をしなければいけない。

しかし赤ちゃんへの影響がわからない・・・

というお話も海外での使用報告を確認することにより、飲めるか否かの判断をできるのです。

 

では、実際に妊婦さんが飲んでも大丈夫という海外からの報告をまとめたページは無いのかというと、

実はあるのです。

私が以前に勤務していた国立成育医療研究センターでは「妊娠と薬情報センター」として

このような情報をまとめ、一覧にして配布をしています。

ページはこちらです。

 

但しあくまでもこのページはダイジェストであり、正式なものではありません。

正式な物を確認したいというのであれば専門家向けですがこんな本があります。

薬物治療コンサルテーション妊娠と授乳

専門家向けの本ですが、もしも心配な方でしたら、

読んでみてもいいかもしれませんね。

 

もうちょっと簡単な本もあるようです。まだ読んでいませんが・・・

妊娠・授乳と薬の知識―飲んで大丈夫?やめて大丈夫?

 

息ができなくなった妊婦さんのお話 続き

今回は少し間が空きましたが、妊婦がトラブルになった時のお話。

まとめ編です。

 

今回の結論ですが、

妊婦が病気になった時に対応できる医療機関はとにかく少ない!

ということなんです。

 

とってもイヤーな話なんですが、どうもこれが今の日本の現実のようです。

 

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

 

まず、妊婦さんの絶対数が少ないことがあります。

今この時点で妊婦さんがどれだけいるのか考えてみましょう。

日本での出生数は大雑把に100万人/年です。

一般に40週で赤ちゃんは産まれてきます。

双子などもいるので大まかな数字しか出ませんが、今日この日の妊婦さんは

70万人くらいといったところでしょうか。

東京都内で7万人。

これは非常に少ない人数です。

人口が少ない上に、1年で皆さん卒業しますので、入れ替わりも激しいのです。

 

また若年(から中年?)で妊娠しますので、もともと病気を持って妊娠する人が少ないこともあるでしょう。

したがって、現在の細分化された医療(特に内科はものすごく細分化されていますね)では、

妊婦を対象にした内科というものができる余地が非常に少なくなります。

 

また、病気を持った妊婦を津梁する施設は結果的に限られてしまいます。

そのため、妊婦に対する薬の治療を行うというスキルを持った内科医が少なくなってしまう。

 

また、同様のことは救急領域でも言えるでしょう。

これは考えてみると怖い話です。

 

では産婦人科医はどうなのか?

この人達は妊婦に対しては慣れています。

しかし、内科医ではありませんので、難しい内科の病気になるとお手上げです。

 

したがって、病気をした妊婦と言うのは

内科、救急、産婦人科

の間の隙間に落ちてしまいます。

 

 

ついで薬の問題があります。

薬の中には「妊婦には使用しないでください」とよく記載しています。

この記載がクセモノです。

 

というのも、妊婦に対して使っても問題のない薬がこの中にはたくさん含まれているのです。

外国では問題の無いことがわかっている。

しかし、日本では調査や検査したことが無いのでわからない。

そのために「妊婦には使用しないでください」

と書いておけば問題は起きない。

そのために記載されている薬のなんと多いことか・・・

 

更に面倒なことは、一部の薬を妊婦が飲むと問題になることがあるのです。

それも、「妊婦には使用しないでください」と書かれているのです。

 

したがって、妊娠と薬の関連性に疎い医師が薬を処方しようとして

薬の説明書を確認し、使用できないと思って処方できない。

 

ということが起きてしまいます。

 

最後に実際の診療場面でのお話です。

現実問題として、妊婦さんとお話をするのはとても気を使うものなのです。

そりゃあ当然で、妊婦さんも必死なわけです。

自分だけでしたらまあ、仕方ないか。で済むお話であったとしても、

自分の赤ちゃんも関わってくるお話ですから、2人分の責任があるので、

その分、話が長くなることは当然です。

 

でも。それって当然だよね。

と思う医師もいれば、逆にそれを面倒くさい。

と思う医師もいるのが真実。

露骨に嫌がる医師もいるのも事実です。

(実際、今回の大学病院の医師も、結構嫌そうな口調でしたし)

 

いままで長々とお話をしてきましたが、

医療者側の要因、薬の側の要因などもあり、

病気になった妊婦さんをさらりと診察してくれる医師が少ないということが図らずも露呈してしまった

と言うのが今回のお話のまとめでした。

 

 

 

・・・ここまで文章を書いていて思ったのですが、

妊婦さんを専門に診ることのできる内科が幾つかあってもいいと思うんですけどね・・・

 

 

このお話について、皆様の意見を募集しています。

何らかの形でフィードバックさせていければと思っております。

ご意見、お待ちしています。

 

お薬手帳の是非を考えてみる 皮膚科医の立場から おまけ

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昨日までお薬手帳のお話をしてきました。

今回はそのおまけ。番外編です。

 

情報は薬だけほしいのか。

実はそれだけではありません。

薬疹とは言いますが、その原因として市販薬や健康食品やサプリメントも有るのです。

できればお薬手帳には市販薬や健康食品やサプリメントについても記載してください。

 

どのような情報がほしいのか?

まず、薬の種類が大事です。正式な名前をフルネームで書いてください。

最近はジェネリック医薬品が増えていますが、その場合は面倒くさくても会社名まで書いてください。

というのも、会社によって本来の成分以外の添加剤が異なることも有り、

可能性は低いのですが、その添加剤に対してアレルギーを起こすことも有るのです。

そのためジェネリックA社でアレルギーが出てもB社では出ないということがあります。

市販薬も正式な名称をフルネームで書く必要があります。

特に市販薬では同じブランドネームでも使われている成分がぜんぜん違うために

コレを違えると、原因不明となってしまうことまで有るのです。

 

一例をあげましょう。誰もが知っているバファリンですが、

バファリンプレミアムでは有効成分はイブプロフェンとアセトアミノフェン。

バファリンAはアスピリン(アセチルサリチル酸)。

でも。小児用バファリンでは有効成分がアセトアミノフェンです。

一文字書き忘れるだけで、全然違ったものになってしまうのです。

コレ、怖いんです。診察する側にしてみると。

 

最後に、容量も書いておいてください。(何mgというものですね。)

次に大切なのが、飲み薬を開始した日。既に飲み終えた薬では飲み終えた日も記載してください。

飲み薬に対するアレルギー反応はその化学成分が血液の中からなくなれば弱くなります。

症状の強弱と飲み始め、飲み終わりに関係があれば、その薬が犯人の可能性がグッと高くなります。

 

最低限これだけの情報があれば対処しやすくなるんですね。

また、可能であれば病名と処方した先生の名前も確認しておきたいところです。

必要があれば直接電話して連絡を取ることもできますので。

 

 

最後に私はどうしているかですが、

サプリメントや健康食品は一切飲まず、市販薬も時にバファリンを飲むのみです。

処方薬も沢山飲むわけではないので、クスリ手帳は持っていません。

でも、自分で何を飲んでいるか言えるので問題は無いのです。

でも、コレ、あまり参考にはならないですよね・・・

お薬手帳の是非を考えてみる 皮膚科医の立場から その2

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今回は昨日の続きです。

 

前回はお薬手帳が無いと困るお話をしていきました。

でも、よく考えると、別に薬局からもらうお薬手帳でなくても良いのです。

自分の手持ちの手帳にしっかりと書き付けていてもいいのです。

但し、医療関係者が見てもわかるように一覧になっているものがいいですね。

 

また、外来ではこんなことも有りました。

お薬手帳を持ってきたお母さん。いくつかのページには薬局のシールが張ってありますが、

いくつかのページには手書きで記載がされています。

・・素晴らしい!

 

実は私達が知りたいのはお薬手帳ではありません。

いつから、どんな薬を、どのような飲み方をしているのか。

だけです。

したがって、手書きのメモでも、その情報がしっかりと記載されていることが大事なのです。

 

最初の質問に戻しましょう。

お薬手帳は必要なのか?

答え。

自分が飲んでいる薬を完全に把握出来ている。記載出来るのであれば必要ではありません。

でも、それが出来ない場合はお薬手帳があれば、便利ですよ。

ということになります。

お薬手帳の是非を考えてみる 皮膚科医の立場から

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最近、ネット界隈ではお薬手帳の有無について何かと話題になっているようです。

確かに手帳をもらわないと少し値段は安くなるのは事実ですが、

それでよいのか?を皮膚科医の立場で考えてみました。

 

「なんだい、皮膚科医なんて塗り薬しか出していないじゃん」

と言われますが、それはそのとおりです。

特に私はあまり出さない方ですので、何種類も飲み薬を飲んでいる患者さんは数えるほどしかいません。

 

では、なぜ皮膚科と飲み薬に関係があるのか?

それは薬剤アレルギーの話です。

皮膚にも薬剤でアレルギー反応が起きることがあります。

「薬疹」と皮膚科医が呼ぶ病気です。

つまり、体の中に入った薬の成分に対してアレルギー反応が起きるわけですね。

 

この薬疹ですが、本当にピンキリです。

薬をやめたら数日ですぐに引いてしまうものがほとんどですが、

(アレルギーの原因となる薬をやめるのが唯一の治療です)

重症になると本当に命に関わる病気も中にはあるのです。

スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症、薬剤性過敏症症候群といったものがあります。

 

この診断は唯一つ。

原因となる薬剤を突き止めることです。

ここで必要になるのが内服歴あるいは服用歴と言われるものです。

 

実はこの内服歴を確認するのがとても大変なのです。

何を飲んでいるのか?

それを調べるために数日必要となることも往々にしてあります。

(皆さん、現在飲んでいる薬の名前を全種類、ソラで言えますか?)

 

ここで活躍するのがお薬手帳です。

この手帳がひとつ有るだけで数日かかるものが10分で済んでしまうのです。

 

この違いは大きいですよ。

治療方針を立てるのが、格段に楽になります。

治療開始も早く出来る。

時には失われる命を救うことが出来るかもしれません。

 

たかが手帳、されど手帳です。

薬局の数十円節約するメリットとトラブルになった時の対処が変わるメリット。

そちらを取りますか?

運動会と日焼け止め

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運動会シーズンになりました。

私が子供の頃は運動会といえば毎年秋だったのですが、

最近は春に運動会を行うところも多くなったようですね。

今週、来週に運動会を行うところも多いようです。

 

運動会の準備、いろいろありますが、忘れてはいけないのは日焼け止めです。

太陽の高さが高いということは紫外線の量も多いということ。

しっかりと日焼け止めを使うようにしましょう。

 

さて、ここで気をつけてほしいことがあります。

昨年蓋を開けたものをそのまま使用していませんか?

これ、あまりオススメは出来ません。

というのも、蓋を開けて時間が経っていると、劣化や変質の可能性があるからなのです。

 

蓋を空けることにより、空気中の雑菌が侵入します。

また、日焼け止めの成分も時間とともに変質し、

日焼け止めの効果が落ちる可能性はあります。

また、場合によってはかぶれたりすることもあるでしょう。

 

ということもあり、蓋を開けたままの日焼け止めはあまりオススメできませんよ

というお話でした。

 

皆さん、運動会がんばってくださいね!

虫除けは場所で考える

虫の季節がやって来ました。

すでに蚊に刺されましたよ・・・

成育医療センター前のバス停は蚊の多発地帯です。

多分、東京で一番蚊に刺された場所はそこでバス待ちをしている時に刺されているのだと思います。

まったくもう・・・

 

ということで最近虫除けについて相談を受けることが増えました。

どのように虫除けをつければいいのかというお話です。

 

虫除けは大きく2つに分けることができます。

アロマ系

DEET

です。

 

いずれも揮発して効果を発揮するものになります。

したがって、塗る際には一番外側に塗る必要があるのです。

しかし、皮膚に塗る以上、どうしてもかぶれの問題がつきまといます。

最も使いたい乳幼児は最もかぶれやすい体質ですので、これは悩ましい問題となります。

また、使用上の注意をよく読んでみると、乳児には直接付けないように書かれていることも多いのです。

 

じゃあ、どうしたらいいのさ!

と思ったことはありませんか?

 

解決策はいくつかありますが、簡単なものからお話をしていきましょう。

 

まず塗る虫除けは使わないのです。

逆にシールやバンド、器械式の物を使います。

 

それを、直接乳児にはつけない。

抱っこ紐のバンドに括りつける、

ベビーカーのフレームに括りつける。

そのようにすることで、ある程度の虫除け効果を発揮しながら、

赤ちゃんの皮膚に対する直接の影響を最小限に留める事ができます。

 

是非試してみてくださいね。

 

水虫の菌が破裂する瞬間

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暖かくなってきました。

シャッターを開ける時に、寒さにあわてて室内に逃げ込むことが無くなったのは嬉しいですね。

 

暖かくなってきて、水虫の患者さんが増えてきました。

水虫の検査の回数が一気に増加した印象があります。

 

水虫の原因は白癬菌です。

これは「菌」は菌でも「真菌」というカビの仲間です。

カビだけに、菌糸を伸ばし、枝分かれをしながら増えていきます。

 

そして、水虫の薬を塗って治療をすると、白癬菌は死んでしまう。

というのも理解している方は多いかと思います。

 

では、どのように白癬菌は死んでいくのか?

と言われると、???と思われるのでは無いでしょうか。

 

実際に白癬菌に水虫の薬を加えた時の動画がありました。

リンクはこちら。

見ていただくとわかるのですが、白癬菌の先端部分が破裂していくんですね。

皮膚科医でもなかなかこのシーンは見たことが無いと思います。

実際、私も見るのは初めてでした。

 

・・・そうか、白癬菌はこうして死んで行くのか。

知らなかった・・・