わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市吉祥寺東町)

武蔵野市・杉並区・練馬区他の赤ちゃんから子供、大人、老人まで幅広く診察をする皮膚科クリニックです。アトピーやあざを始め、水虫、とひび、湿疹などの相談・治療を行なっています。

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〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町2丁目11-2 伊藤ビル1F

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手荒れの体質

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手荒れ体質はあるのだと言ったらみなさんはびっくりするでしょうか。

 

毎日診察をしていると、沢山の手荒れの患者さんがやってきます。

当クリニックでは問診票を書いてもらっています。

その問診票を見ていると、元々アトピー性皮膚炎を持っている人が結構多いんですよね。

まあ、ウチは小さな子どもとそのお母さんが多いので、若年者の比率が多い可能性はあるのですが、

それでも、世の中のアトピー性皮膚炎の患者さんの比率よりもずっと多い印象があります。

 

手の湿疹とアトピー性皮膚炎。

ぱっと見あまり関係がないような2つですが、共通のキーワードでつながります。

そのキーワードは「フィラグリン」です。

 

フィラグリンとは何か。簡単に言うと皮膚のバリアを司るタンパク質です。

フィラグリンが少ない人は、小さい時には尋常性魚鱗癬という症状を発症します。

すねの前の部分にあたかも鱗のような皮膚の割れ目が出来る病気です。

この病気は大きくなるに連れて良くなってくるのですが、

手のひらや足の裏の指紋が深くなることが知られていました。

 

また、このフィラグリンはアトピー性皮膚炎の一部の人でも少ないことが知られています。

大体1/4から1/3くらいのアトピー性皮膚炎の人に異常があることが知られています。

このアトピー性皮膚炎もおとなになると多くの人が良くなることが知られています。

でも、あくまでもはっきりと出なくなっただけであり、大人でも調子が悪くなると、

関節などに湿疹が出来る人もたくさんいます。

 

多分、アトピー性皮膚炎の人の「調子が悪くなったとき」の調子の良くない皮膚が

手のひら、手の指なのでしょう。

なので、体に何も湿疹がなくても、指や手のひらに症状が出るのでしょう。

 

つまり、これがアトピー性皮膚炎と手の湿疹の関連性と考えられます。

では、治療はどうするのか?

これも、アトピーと同じ。まず、生活指導。ついで塗り薬です。

 

治療の話は次回以降にしましょう。

 

手荒れがとにかく悪化しています(2020年2月)

消毒回数、手洗い回数が明らかに増えたからでしょうね。きっと。

 

当院でも手荒れの患者さんの数は明らかに増加傾向が見られます。

少なくとも子どもたちについては例年よりもとにかく多い印象を受けます。

 

まあ、COVID対策としての手指消毒や手洗いの回数の増加があるので、

やむを得ない面もあるのですが。

 

ひりひり感くらいまでの自覚症状であれば市販の保湿剤で対応は可能です。

しかし、かゆみが出現する場合、ひっかき動作が出ているような場合は

保湿剤ではもう対応不可能です。

ステロイドを塗り始めたほうが治りは早いので、

早めに皮膚科受診したほうが良いかと思います。

 

とにかく今は感染症の予防をしっかりと行うこと。

その上でその予防による影響を最小限に食い止めていくことが必要です。

早めに対応を始めるようにしてください。

 

今回は手荒れのお話でした。

具体的な対策のお話を確認したい場合はこちらから確認ください。

手掌多汗症・掌蹠多汗症に対する塩化アルミ外用薬を販売いたします

AlCl

手のひらの多汗症である、手掌多汗症。または掌蹠多汗症に対する治療薬、

20%塩化アルミニウム水溶液の販売を開始いたします。

 

20%塩化アルミニウム水溶液 100ml 1000円

 

掌蹠多汗症の塩化アルミですが、実は一般にも販売されています。

しかし、ドラッグストアで購入できるものは大体10%までの濃度のものです。

 

当院では院内調剤することにより、更に濃度が高いものを用意することができました。

その分効果も高くなります。

 

こちらは購入前に一度診察を行う必要がありますが、

2回目以降は直接購入することも可能です。

なお、体の一部分のみ使用いただく薬剤ですので、

「全身性の多汗症」には使用できません。

ご了承ください。

 

武蔵野市吉祥寺東町2-11-2伊藤ビル1F
わかばひふ科クリニック

手の甲のカサカサは何故起こるか

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東京では毎日、雪が降るか降らないかのぎりぎりの天気が続いていますね。

最近、手足の冷えが気になるようになり、外出時には手袋が手放せません。

でも、子どもたちは手袋もせずに外を楽しそうに走り回っています。

でも、手袋をしないと湿疹ができますよ。

 

冬の寒さも身に応えるようになると、乾燥の子も増えてきます。

特に幼稚園児から小学生位の子で特徴的に目にするのは、両手の甲(手背と言ってもいいでしょう)に見られる

乾燥と湿疹です。

全体的に赤褐色になり、角度によってはひび割れたようにも見え、少し粉を吹く湿疹です。

皮膚表面がちりめん状に見えることもあります。

 

このような子には共通点が有ります。

それは、外出時に手袋をしていないこと。

また、自転車によく乗っていることもあげられるでしょう。

何しろ、自転車に乗って受診する子がほとんどですから・・・

 

この湿疹ですが、原因は風です。

風に吹かれることにより、手の甲の皮膚のみが強く乾燥します。

そのために乾燥を原因とする湿疹がその部分だけ極端に強くなってしまうのです。

 

ということは対処法は「風を防ぐこと」になります。

手袋をすることが予防になります。

当然、湿疹の薬や保湿剤も大事です。

ただ、出来てから治療を行うよりも出来る前にしっかりと予防することの方が簡単なのです。

しっかりと手袋をはめて予防していきたいものですね。

手のひらと足の裏だけの赤い発疹(2014年3月)(2017年追記あり)

(2018年3月追記)

2017年-2018年にも同様の発疹が流行しています。

こちらのページも参考にしてください。

 

 

 

今年に入ってからでしょうか。

 

手のひらと足の裏だけの発疹が流行っている印象を受けます。

年齢はだいたい2歳から4歳まで。保育園の子が多いかな?

手のひら、足のうらが全体的に真っ赤になり、ぱんぱんにむくんだような感じになっています。

時には手指、足趾の甲まで赤みは出ることがあります。また、点々とした赤みができることもあります。

しかし、不思議なことに足首、手首を超え、体の方に広がってくることはないようです。

 

詳しく話を聞いて見ると、風邪を同時に症状が出ているようです。

風邪の症状はあまり強いものではなりません。発熱、咳、腹痛といった一般的なものです。

でも、全身の症状が引くのと同時に皮膚に症状が出てくることが特徴です。

 

痒みはあまりなさそうです。でも、ときどきこすりつけるくらいの痒さはあるようです。

痛みはありません。

 

症状ですが、1ヶ月位で赤みは徐々に引いてきます。

引いた後には少ししわしわした皮膚になり、皮がめくれたように見えることもあります。

でも、心配は要らなさそう。その皮がめくれたら後は何も残りません。

 

詳細な検査は行えませんが、(なにせ採血させてくれませんからね)

多分ウイルス感染に伴う発疹の一種かと考えています。

皆さん元気ですので、痒み止めの塗り薬(必要があれば飲み薬も)出して経過をみてばみんな落ち着きます。

 

まだぽつりぽつりと出ているようですので、要注意ですかねえ。

もしも心配でしたら皮膚科を受診してください。

近くに住んでいる方でしたら当院でも診察可能です。

 

でも、この症状は武蔵野市だけかなあ。うーん。

 

 

手のひび割れもでてきましたね(2022年11月)

冬の乾燥の症状がもう一段強くなったようです。

 

手の甲の乾燥とそれによるひび割れのお子さんの受診が目立ってきました。

真っ白に粉を吹いている状態で一目で乾燥とわかります。

 

そうです、冬のカサカサが出てきたのです。

外出時は常に手袋をさせたほうが良い季節になってきたということですね。

 

しっかりと北風をブロックして乾燥の予防に努めましょう。

もちろん保湿剤や湿疹のおくすりを使ってあげたほうが症状の抑え込みにもなりますので、

早めの受診をお願いします。

戦い済んで日が暮れて

2月です。

毎年の恒例行事となりつつありますが、先月末にプリキュアが終了しました。

今週から新しいのが始まるようですね。

 

アニメにかぎらず、通常のドラマなども含めて、テレビ番組の改編時期と言うのは決まっています。

連続ドラマなどを見ているとそうですよね。

一般に1クールは12から13週。

そして、4月10月がメインの改編、そして1月7月にサブの改編がありますよね。

 

でも、プリキュアは2月。

奇妙に思いませんか?

 

実はこの番組はマーケティングを強く意識した番組を作っていることで有名です。

子供向けの番組の特徴として関連商品が多いことが挙げられます。

もう少し対象年齢の大きな番組や連続ドラマなどと比較すると一目瞭然ですが、

おもちゃ、お弁当用品、学習用品

が際立って多いことが分かります。

そして、もう一つの特徴は企業が主体となっていること。

提供会社は有名な玩具会社なのですが、この番組は原作は無いのです。

つまり、マンガや小説があり、それがアニメになったのでは無いということ。

スポンサーが作品を一から作っているんですね。

 

となると、2月から新番組を作るメリットは大きいわけですね。

「入学祝いにおばあちゃんに文房具セットを買ってもらおう」

となるので、購買意欲の高くなるであろう新学期前に

新しい商品を出すことにより、売上に貢献できるのです。

 

というわけで、商品のラインナップが新しい番組のものに変わっているんだろうなー

と思いながら、テレビを見ている娘の傍で別の仕事をしながらぼんやりとテレビを眺めていたわけです。

 

 

そして、その日の午後に家族で買い物に出かけることになりました。

目的地は大型スーパーです。

上の階には赤ちゃんコーナーがありましたので、ママさんが買い物している間は

ぼーっと下の娘を遊ばせておきます。

上の娘は一人でおもちゃコーナーをうろうろ。

そして、家族全員集合して帰る途中。おもちゃコーナーを通りましたが・・・

見事なくらい、古いプリキュアの商品は全く見当たりません。

正確には1個だけありましたが・・・

それはどうも新旧プリキュア移行に伴うなにやらについてのおもちゃのようです。

 

・・・商魂たくましいなあ。

魔法つかいプリキュア! リンクルステッキDX

 

成育医療研究センター語?

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先日、近隣のお世話になっている小児科さんにうかがって、

先生とお話しする機会がありました。

 

旧国立小児病院時代から成育医療センターへの

歴史的な流れなど様々なお話を聞き、

そのなかで、

『上塗り』『下地』

という用語が、ポンと飛び出しました。

 

皆さん、意味がおわかりになるでしょうか?

 

 

これ、成育医療センター語なんだそうです。

旧国立小児病院時代から、

皮膚科のドクターと患者さんの間で

当たり前のように使われてきたコトバなんだそうです。

 

開院初日、診療補助についていたところ、

院長と顔見知りのアトピーの患者さんとのこんなやりとりがありました。

 

院長  『薬は足りてますか?』

患者さん『下地はまだあるんですけど、上塗りがもうないです。』

院長  『オッケー。じゃ、上塗りだけでいいね〜』

正直、聞いていた私には、何のことやら???

 

薬剤師として病院畑を10年歩いておりましたが、

過去勤務した4つの病院でも聞いたことがありませんでした。

 

今回、小児科の先生にうかがって、納得がいきました。

もちろん、初めての患者さんには、きちんと薬の説明、塗り方、

すべてご説明しますので心配いりません。

 

ですが、院長の口からポンとこのコトバが出たら・・・

ああ、成育語〜!と思って頂ければ幸いです(笑)

成育医療研究センターは子供だけのための病院ではありません

今回は、私が以前に務めていた成育医療研究センターのお話をしていきましょう。

まあ、昔話と思ってお付き合いください。

 

成育と私はいつも略して読んでいますが、正式名称は

独立行政法人 国立成育医療研究センター

です。

 

成育と言うのは聞き慣れない単語ですよね。

この意味を病院ホームページから拾ってきました。わかりやすい図があったので貼っておきます。

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とまあ、このように、子供が大人になって、その子を産んでいく。

その円環を医療の面からお手伝いするのが成育医療というわけです。

 

いままでの小児医療と異なるのは、小児のみならず、妊娠・出産というイベントも含めているところに特徴があります。

時には不妊、不育(妊娠するも出産できない)にも関与するわけですね。

 

つまり、成育医療研究センターでは小児だけでなく、妊娠・出産にも力を入れているんですね。

コレ、意外に誤解されがちです。

 

スタッフもそれに合わせて多種多様な専門家が揃っています。

小児科はもちろん、麻酔科、救急。

また妊婦さんを相手にしますので、産科。婦人科も少しあります。

また、不妊。不育科などど言うものも有りますね。

 

もう一つ、スタッフは妊婦さんに対しても治療を行えるように教育されています。

小児科の先生はまあ、関係ありませんが、

マイナー科と呼ばれる、眼科、耳鼻科、整形外科も妊婦さんに対応することができます。

当然私達皮膚科でも妊婦さんの対応を行うことがあります。

 

実は、成育、妊婦さんの治療も得意なんですよ。

私も結構得意だったりします。

 

この話はまた後日にしていきましょう。

 

成人の水いぼ発症についてのカルテ調査を行ってみた 2018年7月

というわけで、雨も続いているので、カルテをひっくり返してみました。

大人の水いぼの方はどれくらいいるのか?です。

 

まず基本情報から。

当院を一度以上受診された方は1万3千人ほどです。

その中での子供(18再以下)は概ね半分ですので、6千5百人。

では、子供の中で水いぼの病名が付いた子は約800人程度。

成人は24人でした。

なお、成人例は全部カルテをひっくり返して水いぼと診断されたことを確認済みです。

 

少し詳しく見ていきましょう。

水いぼの子の受診率は800/6500ですので、12.3%。

結構高いですが、これにはからくりがあります。

「一度でも水いぼと診断された」子なので、現在もうなくなっている子もたくさんいます。

現在水いぼがある子に限定するともう少し頻度は下がるでしょう。

水いぼ取りの処置を行った件数からすると、全患者数の4%。小児では7-8%くらいかと思います。

もちろん発生年齢もありますので、保育園児・幼稚園児では10%を大きく超えますが。

 

では成人はといえば24/6500ですので0.37%ですね。

小児に比べると結構低い数値です。

でも、300人に一人と考えると、結構な人数です。

月あたり1名ですので、極端に少ない人数ではありません。

 

0.37%ですかー。結構居ますね。

と思われるかもしれませんが、実はこれにはからくりがあります。

つまり、子供が多いクリニックなので、お母さんも多い。

で、そのお母さんに水いぼが出ていることを受診するというパターンが結構あるので、

多分その割合になっていると思われます。

一般の社会人を母集団とするとさらにその割合は下がるのでしょう。

といっても、0.1%くらい?

極めて稀というには少し多い印象受けますが。

 

あとは年齢です。

30代、40代でおおよそ8割以上を占めます。

逆に20代や50代以上はほとんどいません。

つまり年齢による偏りは多く存在しているのも一つの特徴になります。

もう一つの特徴は子供から感染される例が多いこと。

頻度の高い年齢の方はほとんど子供からの感染を起こしています。

 

では、実際に感染を起こされた割合を見ていきましょう。

先程の子供の水いぼの発生数は概ね800人位。

成人の水いぼの発生数は24人。

ということは感染確率は24/800で3%。

・・・思ったよりもあります。

3%であれば、無いとは言い切れません。

 

もう一つの違いは性別です。

24名中、男性は5名。女性は19名と明らかに女性に多く見られました。

ちなみに男性はほとんど30代です。

パパさんが最近子育てをしっかりと頑張っている様子が目に浮かびます。

昔は全く子育て男性の水いぼは見ませんでしたから・・・

 

細かく見てきましたが、つまりはこういうことです。

・多くは子供から親への感染が見られるが、稀ではない。(確率は3%程度)

・当然感染するのは母親が多い(30代、40代の感染が多い。男性よりも女性の患者が多い)

 

では、なぜ前回の様に、

「発生は稀である」「免疫抑制を考えるひつようがある」

となるかといえば、来院する患者層が異なることがあるでしょう。

 

子供が来る=お母さんも一緒に受診することが多いクリニックでは

子供の水いぼも多く、ひいては大人の水いぼも多く見られます。

逆に高齢者の多いクリニック、働き盛りの男性が多いようなクリニックでは

成人の水いぼはきっと珍しくなってくるでしょう。

 

結局は来院する患者さんの傾向により、珍しいか否かは決まってくるのでしょうね。

 

最後に言えること。

お母さんには無視できない確率で水イボが感染することがあります。

それは確率の問題であり、感染された人の免疫が問題なのではありません。

大人の水いぼもふつうに感染することのある、心配のいらない病気なんですよ。

ということでした。